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俺氏、家庭教師

いつも誤字報告をありがとうございます。

チェックしたはずなのに、なぜか見落とす誤字脱字。

俺、アルツハイマーなんだろうか(汗。

麻田朱美は、目の前の光景に絶句するしかなかった。


深く考えず「娘の家庭教師」を幻獣にお願いしたのが3時間前。

なにか、面白い経験談でも教えてもらえればいいな程度の気持ちで頼んだ。

しかし


今、ドラゴンが娘の亜里香に算数を教えている。

ドラゴンが算数を理解しているのも驚いたが、教え方が丁寧なのも驚いた。


『…っというわけで73÷5は、14あまり3になるのは理解できた?結局割り算は九九の応用なんだよ。割り算の計算式は、九九で計算できるように小分けにしながら答えを出す方法なんだぞ。』


「はい、段々わかってきました。これなら次の小テストはいい点が取れそうです。」


娘が苦手にしていた、2桁の割り算を克服させるドラゴン。

朱美は、幻獣の実力を十分に理解していない自覚はある。

だが、娘の算数嫌いを克服させたのをみて、確かにドラゴンは偉大なのだと思った。


3時間前の、自分の何気ない一言を褒めてあげたいと思う麻田朱美。

まさか亜里香が、楽しそうに勉強する姿を見る日が来るとは思ってもいなかった。


数日前、夫が持っていた幻獣の資料を少し見たが、幻獣はかなり危険らしいという事は分かっている。

だが、麻田朱美は日本の危機より、娘の笑顔を選ぶ決意をする。

親らしいことを余り出来なかった自覚があるから、ここは親としてのエゴを選んだ。

その悲壮な覚悟をした朱美に、ドラゴン和明は顔を向ける。


『ママさん、今日の亜里香ちゃんのお勉強はこのくらいで良いかな。』


「え、はい、そうね、今日はこのくらいで良いかしら。ドラゴンさん、家庭教師役ありがとうございます。」


『良いって良いって。俺も亜里香ちゃんの役に立てて嬉しいよ。こういうのも楽しいもんだな。』


「そういえば、そろそろ食事の時間ですが、みなさんは何を食べるのかしら?こちらで用意したほうが良いかしら?」


『俺達?俺たちは自前で食事を用意するから気にしないで良いぞ。俺たちの事は気にしないで、亜里香ちゃんとママさんは食事してきなよ。』


「そうなのですか?では私たちは食事にさせてもらうわね。亜里香ちゃん、お食事行きますよ。」


「はーい。ドラゴンさんお勉強ありがとうございます。ワンワンさん、妖精さん、すぐ戻ってきますからね。」


「うむ、ゆっくり食事してくるのじゃぞ。」

『はいはーい、たくさん食べて大きくなるんだぞー。』


部屋から亜香里と朱美が出ていく。

そして3人はだらけてゴロンとした。


『俺、今の生活好きかも。』


「ワシも悪くないと思っておるぞ。」


『おっと、私も当然に今の生活はマーベラス。ペット生活最高だー。』


国家から超危険視されているとは思えない、だらけた姿で過ごす3人だった。



そのころ

国会では、副首相誘拐という大事件に関して侃々諤々(けんけんがくがく)やっていた。


野党からの質問

「なぜ誘拐犯を公開できないのですか。」


福山首相からの返答

「きわめて政治的な理由により、今回は犯人をまだ公開できません。」


野党より追及

「これほどの重要事項を隠し立てするなど、とてもクリーンな政治をしているとは言えないのではないでしょうか。やましいことがないのであれば公開すべきだ。」


福山首相返答。

「捜査が充分進んだ段階で公開いたします。現在は確認できていないことも多く、捜査中であるため情報の公開は控えさせていただきます。」


野党側。

「隠し事をするな!」

「隠ぺい政治だ。」

「不都合な事実を隠しているんだろう。」

「フクヤマ政治反対!」


そのやり取りを見ていた麻田副首相は、ため息をつきつつ小声でぼやいた。

「フクヤマ政治反対は今関係ないだろうが…。」


実は野党側も事実は知っている。

きちんとした手続きをふめば、事実はある程度調べられる。

しかし、与党が答えられない事をわかっていながら、あえて国会で質問を繰り返し、与党が情報操作をしているように印象操作をしているのだ。

それが分かっているので、余計麻田副首相は疲れた。


(今は、こんな政治遊びをしているときじゃないだろう。なんでそれが分からないんだ。いや、分かっていてなおコレなのか?)


またため息が出た。

今は国難と言える状況だ。

怪獣みたいな連中が、日本を根城にしている。

それなのに、その仕事に集中させてくれない日本の政治状況が憎くすらなる。


(民主主義というのは、本当に愚民政治だ。同じ民主主義でもアメリカの強い政治力が羨ましいな。半年で良いからアメリカ大統領並みの強権が欲しいところだ。)


ない物ねだりで、余計虚しくなる麻田副首相だった。


野党から次に質問が行われようとしたとき、慌てた役人が飛んできた。

国会開催中に、伝令が飛んでくるというのはよほどの緊急事態である。


「総理大臣!大変です、ペガサスが自称保守系達のデモに乱入しました。確認できているだけで、負傷者は200人以上です!」


その声は思いのほか会場に大きく響き、これから質疑をしようとした野党議員の動きも止まる。


福山首相はゴクリと唾をのむ。

「ど、どうしましょう麻田さん。」


麻田副首相は、これ以上ないしかめっつらになる。

「まずは対策本部にペガサス対応を最優先にするように伝えましょう。指揮系統は官邸に移動させる必要がありますな。」


「わかりました。その方向で急ぎましょう。」


国会は一時中断。

高次元生物対策本部の指揮系統は、この日のうちに首相官邸に移された。



----


そして混乱が続いている、安国神社付近の通り。

そこでは、自称保守系のデモに参加した人たちが逃げまどっていた。


ペガサス。

幻獣のそれが、人々を頭上から攻撃しているためだ。


当初、ペガサスは無害な幻獣と認識されていた。

おとなしく、子供にも優しく接しているようにも見えていたから。


だからこそ、マークが外れていたのだ。

麻田副首相を誘拐した組織にいたオーガに注目が行き過ぎていて、この惨劇が始まるまで、ペガサスは気に留められていなかった。

だからこそ対策本部は後手に回っている。


一番優秀な影山室長が、ペガサスに全く興味なかったのも大きかった。

ゆえに、実は全くペガサスがどういう性格なのか、まるで分析されていなかったのだ。


ペガサスは激怒していた。

だが、この場に他の幻獣が居たらあきれていたであろう。

ペガサスの主張は語彙力が少なすぎたから。


「ひひーーん(ネトウヨ共バカばっか。なんでも野党のせいにするしか能がないのか。バーカバーカ。フクヤマ応援団バーカ、バーカ。)」


デモに参加していた人たちに、上空から風を打ち込んで吹き飛ばしたり、近づいて蹴り倒したりして暴れていた。


一応死人は出ていないが、このまま暴れさせていれば、死人が出るのも時間の問題と思われる。


そこに、高次元生命対策本部の第3室長、馬山剣介おでこのホクロがトレードマークが率いた武装部隊が到着する。

5台の装甲車で現れ、装甲車の上には重機関銃が載っている。

第3室は対空攻撃を得意とする、自衛隊出身の部隊だ。


「ペガサスの能力は不明な点が多い。総員、油断せず殺す気で対応せよ。」


馬山指揮のもと、ペガサスに向けて重機関銃が一斉掃射される。

一応、重機関銃の弾丸は300メートルほどで自壊するようになっている『粉弾』というものを使っている。

撃った弾丸は、標的に当たらなければ空中で自壊し、粉になるので街中でも二次被害を出しにくい特殊なモノだ。

ゆえに貫通力はなく、殺傷力は低いが、着弾した時に弾丸がへばりつくように変形するため、力積は大きい。


ドドドドドドドドド


空中のペガサスに容赦なく攻撃が始まった。


「ひひーーーん(いてててて!本性を出したな、軍国主義の犬どもめ。憲法九条をまもらない違憲政権め。なんでも暴力で解決しようとするとか馬鹿すぎるぞ。)」


ペガサスは、羽根から風の刃を打ち出す。


ガッ


装甲車に当たったが、金属の装甲は風の刃を防ぎきった。

ペガサスの攻撃力は通用しないようだ。


「ひひーん(生身の馬に兵器で襲いかかるとか卑怯だぞ!卑劣な暴力主義者!いつか基地に忍び込んで全滅させてやるからな!)」


ペガサスは空に駆け上がり、捨て台詞を残して去っていった。


馬山室長は、装甲車からモアイのような厳つい顔を出し、逃げるペガサスを見つめた。

「使用したのが粉弾だったとはいえ、この至近距離で12.7㎜のM2重機関銃の直撃を受けて何ともないとは。幻獣用の火器はひと工夫必要そうだな。」


その後、第3室の実行部隊は負傷した民間人の応急手当てに奔走する。


(本当は追いかけてトコトン追撃したいのだが。)


民間人の安全確保が最優先。

200人以上も目の前に負傷者がいるのに、それを無視して幻獣を追う事など出来るわけもなかった。


この事件はさすがにマスコミへの報道規制ができず、日本全国に流れてしまう。

これにより、幻獣は「危険な存在」として一般人に認知されてしまう。


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