俺氏、生まれ変わる
とりあえず、衝動で書きました。
上手く続けられればいいのですが(汗。
名前とか修正するかも・・・。
「ここ、日本じゃないかーーーーい!」
佐藤和明は天に向かって吠えた。
あまりの仕打ちに、そのまま膝から崩れ落ちつつ両手を地面について泣き出す。
「死んだから転生させてあげるって言われたら、普通は異世界に行けるもんだろうが!」
和明は泣いた。
今から数時間前。
飛び降り自殺に巻き込まれて死んだ和明は、気が付いたら白い部屋に立っていた。
そこで、きれいな女性に言われたのだ。
『おもしろ・・・いえ、可哀そうな死に方をしたあなたに転生のチャンスを上げましょう。その際に希望を三つ叶えますが、何か希望はありますか?』
和明はピーンときた。
これが噂の異世界転生なんだと。
しかし、いきなり三つの願いが叶うと言われても思いつかない。
しばらく悩んでいたら、女性は困った顔になる。
『いきなり三つの願いと言われても困りますよね。では超長寿で基礎能力が異様に高い上位種族に転生するように操作しますので、それ以外の希望で考えてみてください。』
そういわれて、和明は喜んだ。
(ハイエルフとかバンパイアとかになれるのだろうか)
そうと決まれば、能力系のチートはいらないだろうと考える。
(生活に便利なものが良いだろうな。)
で、決めたのが
・ショッピングモールにあるようなモノなら自由に生産できる能力。
・亜空間を自在に使える能力。
・エンチャント能力。
女性は静かに微笑む。
『はい、承知いたしました。では第二の人生をお楽しみください。』
(これで異世界奴隷ハーレムでも作れたら良いな)
そんなことを考えながら意識が遠のく。
意識が消える瞬間、女性の姿がドロリと解けるのが見えた。
(うわ、グロっ)
和明は闇の世界に落ちていくのだった。
そして目を覚まして今に至る。
で、目の前に東京タワーが見えた。
場所はビル街ど真ん中。
その時の和明のガッカリ感は半端なかった。
おもわず叫んでしまうほど。
(でも能力をもらったんだから、悪くないかもな)
そう思いなおし立ち上がろうとして自分の手を見る。
そこで硬直してしまった。
(え?え?え?この手って・・・まるで恐竜みたいに見えるけど・・・。)
近くのビルの窓ガラスを見る。
そこに映っている姿は予想外のものだった。
恐竜のような体に、蝙蝠のような大きな羽根。
大きな口に、黒と赤の目玉。
思わず左右を見まわし、目をごしごしこすってから再びガラスをのぞき込む。
右手を挙げてみる。
ガラスに映った恐竜もどきも右手を上げる。
左手を上げてみた。
やっぱりガラスに映った恐竜もどきが左手を上げた。
和明は現実から目を背けるように、腕を組んで目を瞑りちょっと考えてみる。
(まさかと思うけど、俺の姿がドラゴンに見えるけどまさかね)
冷汗が流れた。
そういえば女性は『超長寿で基礎能力が異様に高い上位種族』と言っていたが、人型だとは一言も言っていなかった。
(あかん、もしかすると現実がつらすぎるかも)
ゆっくり目を開ける。
やっぱりガラスに映った姿は黒いドラゴンであった。
しかもよく見ると、周りで人が遠巻きにこちらを見ている。
パシャパシャとスマホで撮影もされているし。
(俺、ドラゴンっぽいけど大きさはそれほどでもないな。周りの人の大きさから判断すると150cmくらいだろうか。)
振り返ると、和明を見ていた人たちは数歩下がる。
(そうだよな、ドラゴンぽいのと目が合ったらビビるよな)
キョロキョロ周りを見ると、こちらを遠巻きに囲んでいた人たちはみな身構えた。
(ですよねー)
どうしようかと悩むこと数分。
で、当たり前のことに気づいた。
(そうだ、一応話しかけてみよう。)
「ギャオオオオオオン(僕は危険なドラゴンじゃないよー)」
ビルの窓がビリビリ震える。
一拍置いて再度和明は叫んだ。
「ギャオオオオオオオン(人語が喋れないのかーーーーい!)」
(ってことは、最初の「ここ、日本じゃないかーーーーい!」という叫びも「ギャオオオオオン」だったのだろうか。
恥ずかしい。全然気づかなかった。)
しかし、実はこれは仕方がない。
自分の言葉は自分で理解できるのだから、意識しなければ気づかないのは当然だった。
それはさておき、
となると、自分の意志を伝える方法が思いつかない。
一瞬途方に暮れそうになる。
だがそんな暇はなかった。
遠くからパトカーが大量に向かってくる音がしたから。
(ヤバイ、このままじゃ捕獲か屠殺されてしまう、逃げたい!)
いったん逃げようと考えたが、背後はビルの壁。
周りには続々とパトカーが集まって来ていて逃げられそうにない。
思わず遠い目になる。
(ヤバイ、転生したばっかりなのに詰んだかも。あは。)
警察官が銃を構えて周りを囲みだす。
「みな気をつけろ!羽根があるってことは飛ぶかもしれないぞ!」
指揮をしている警察官のその一言が和明の胸に刺さる。
(あ、そういえば俺はドラゴンじゃん。羽根あるじゃん!ダメもとで飛んでみるか!)
羽根を動かしてみる。
なんか羽根にエネルギーのようなものが纏わりつき、少し体が浮くのを感じた。
(いける!)
今度はジャンプするように飛び上がりながら羽根を動かした。
ふわっ
体が軽々と浮く。
さらに空を蹴って羽根を大きく動かすと、グンと加速してさらに空に浮き上がる。
そこからは簡単だった。
羽根からジェットのようにエネルギーのようなものを吹き出し、あっという間に上空にあがる。
(すげー。空を飛べるとか感動したかも。)
上空100mほどで停止し地面を見下ろした。
「飛んだぞ!狙撃班はまだか!逃げられる前に撃ち落とせ!」
警察の指揮官は顔を真っ赤にしてさけぶ。
(殺意たかいなー。日本の警察ってもっと平和主義かと思ってたのに)
ヒュン
羽根の横を何かがかすった。
すぐに理解する。
(ヤベ、もう撃ってきた!)
慌ててさらに上昇して逃げる。
ヒュン ヒュン
さらに弾丸が羽根をかすめた。
(ヤバイヤバイヤバイ)
焦った。
急いで上昇をやめて一直線に逃げた。
(助けて助けて助けて)
がむしゃらに逃げる。
これからどうなってしまうか不安になりつつ、今は逃げることしかできなかった。
お読みくださりありがとうございます。