過去と行方
九条さんはどこだ。
僕は広い校内を会う人に聞きながらひたすら探していた。
転校したばかりの九条さんのことは知らないものが多くて手がかりはあまりなかった。
しらみつぶしに探していると残りは屋上だけになった。
階段を上ぼり屋上の入り口のドアの窓から九条さんの後ろ姿が見えた。
ドアノブを握りドアを開けようとするとドアは開かなかった。
結果ドアに顔をうちつけて痛かった。
そんなことは置いといて今冷静に考えるとこの学校は屋上の生徒の出入りは禁止されているはずなのだ。自殺や事故を防ぐためらしいが……
なのになんで九条さんは屋上いるのかわからなかった。ドアの鍵は開いていないからである。
僕はドアを叩いた。
すると九条さんはドアを叩いた音にびっくりしたのかとっさに振り返ってこちらを向いた。
その瞬間僕は戸惑ってしまった。
九条さんは泣いていた。少し遠くてよく見えなかったが確かに泣いていたのだ。
その理由はわからなかった。
こういう時どうすればいいのかな。でもなんとなくほっといてはいけない気がした。もう一度ドアを叩いた。
すると九条さんはドアを開けてくれた。
という展開になるはずなのだが、そうなることはなかった。
なぜならドアを叩いた音に聞きつけて先生が来たからだ。
「こら、屋上は生徒の出入りは禁止だぞ。そこで何をやっている」
「ここは屋上につながるドアとは知らなかったなぁ〜。はは」
僕は嘘が下手だなぁ〜自分でも笑ってしまうぐらいに……
「嘘つけ……。まぁいい入学したばかりだし今回は許してやる。次このようなことがあったら見逃さないからな」
「はい」
助かった。そう言うと先生は去っていった。
僕は先生が去ってすぐに屋上の窓から外を見た。だがそこには九条さんの姿は見えなかった……
僕はこれ以上は意味がないと思い教室に戻った。
教室には九条さんはいなかった。
「真壁さっきはごめん。話を途中で終わらせてしまって」
「別にいいっすよ。自分の話なんて、話なんて」
真壁が拗ねていた。
「真壁ごめんよ。本当にごめん」
「許すっす。その代わりこれからもよろしくっす」
真壁は嬉しそうに答えた。何これゲーム攻略じゃないんだから……真壁を攻略とかしたくないないぞ。そんなルートはいらないからな。
てか作戦だったのか……
でも、最初は本当に拗ねているようにも見えたのだが……
そうしてるとチャイムがなったので自分の席に座った。
4限目、5限目も終わり、後は帰るだけとなった。昼休みを最後に九条さんの姿は見当たらなかった。本当に何かあったのかな。
考えても仕方ない九条さんに会った時に聞いてみよう。
真壁は部活があるみたいで5限目の授業が終わると同時に教室から出ていった。
まさに一瞬だったなんてね。真壁のギャグを思わず使ってしまった。
よくそれでさぶいとか言うけど本当に寒くなったらいいのにね。夏とか便利だ。
あと屋上は高校生活のロマンなのに出入り禁止は寂しいな。危ないからっていうのはわかるんだけど。なんだかな〜だよね。中学の頃も屋上は出入りは禁止だったな。
小学校のところはどうだったかな。あれ思い出せない……
あれ小学校の頃のことが何も思い出せない。ただ思い出せない。まぁ何年も前のことだしな。
そして家に帰った。
家に帰ると涼はいなかった。僕とは違い妹は部活をやっている。なんの部活なのかって?
茶道部だ。僕は茶道についてあまり詳しくないのだが僕が中学の2年の頃に茶道の全国大会みたいなので準優勝している。その大会に親も海外から帰ってきてみんなで見にいったからな。
親は準優勝に嬉しがっていてそれに涼も一緒になって嬉しそうにしていた。内心ではとても悔しがっていたと思う。僕はこれでも兄だからな。
その日の夜に言った涼の言葉が忘れられない。
「お兄ちゃん。私負けちゃったよ。悔しいよ。何よりもお兄ちゃんの期待に答えられなかったのが本当に悔しいよ。ごめんね」
僕は次また頑張ればいいよ。など声がかけられなかった。妹の涼は本当に頑張っていた。大会前は帰ってくるのが10時を超えた時もあった。危ないぞと注意しても聞かなかったので、迎えに行くことにしたんだっけ。涼はまだ6年生だからな。
僕はそこまでする理由はわからなかった。だが僕の期待が重荷になっていることには気づいた。それから僕は涼に頑張れよ。という声がかけられなくなってしまった。僕は頑張っていないのに頑張れという言葉は無責任な気もしたからだ。結局僕は兄として涼に何もできていないのだ。無力だと思う。でも現実だ。
これくらいにしよう。あの頃はあまり思い出したくない。
僕は自分の部屋に行き、いつも通り制服から部屋着に着替えた。
今日の授業の復習と明日の授業の予習を始めた。1時間ほどで終わった。
することがなくなったので布団に入り仮眠をとることにした。そして視界が真っ暗になった。
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作品を読んでいただきありがとうございました。




