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僕とヒロインのベタな青春ストーリー  作者: 風翔
第2章 九条明音との過去編
13/19

一瞬の喜びと現実

今回も話しているのは昔の霧島竜視点であり、感じ取っているのは現在の霧島竜です。

昔の霧島竜の感じたことを書いていることについては霧島竜が思い出しているということになります。

自分の文章力不足で迷惑をおかけいたします

さらに半年が過ぎ僕と九条さんは6年生になった。幸いクラスが同じだったこともあり一緒に登校するようになった。

毎朝九条さんが僕の家に迎えにきて一緒に登校するのが続いた。その頃には無表情の九条さんはそこにいなかった。笑ったり、拗ねたり、驚いたりととても明るくなった。

そんな時ふと僕は尋ねてみた。


「ねぇ明音ちゃん、もし良かったら来週の休日僕の家で遊ばないかな?」

「……」


九条さんは誰に遊びの誘いを受けても100%断っている。

これが愛想が悪いと言われていた原因の一つでもあった。


「ごめん。明音ちゃん、忘れて」

「やっぱり行く竜くんの家いきますわ」

「本当!じゃあ今度の土曜日の昼からね」

「うん……。わかった」


少ししょんぼりしていた僕を見たのか気を使ってくれた。そのことに気づかず僕は九条さんと遊べることに嬉しく飛び跳ねていたんだ。やっと九条さんを誘えたことを……

土曜日約束通り九条さんは僕の家に来た。


「はいっていいよ」

「お邪魔します」


九条さんはこのような体験は初めてなのか少し緊張しているように見えた。


「明音ちゃん、いらっしゃい。竜から話は聞いているわ。さぁ上がって上がって」


お母さんは少しこちらに目線を向けて何かを察知したように見えた。


「ここがリビング?」

「うん。そうだけど。リビングがどうかしたの?」

「狭くないの?」

「この広さが普通だと思うけど」


いきなり変な質問をして来たんだった。


「よく明音ちゃんは家で何をするの?」

「お茶、ピアノとか色々ですわ」

「ゲームしたことある?」

「ゲーム?初めて聞く単語ですわ」

「とりあえずゲームやって見ない?」

「百聞は一見にしかずですわね」

「百円は一円に勝てない?当たり前じゃないの?」

「違いますわ。百聞は一見にしかずですわ。聞くより試した方が早いという意味ですわ」

「うん……ゲームやってみよか」

「はいですわ」


そのゲームは九条さんのお気に召したみたいでずっとゲームに僕たちは没頭した。

あっというまに日が暮れて5時になり九条さんが帰る時間になった。


「もう帰るの?」

「門限がありますの」

「家まで送っていこうか?」

「気持ちだけもらっておきますわ。今日はお世話になりましたわ」

「また遊ぼうね」

「いつでもうちにきていいわよ」

「お母さんは出てこなくていいの」

「うふふ〜」

「また学校で」

「それでは失礼いたします」


この時僕は九条さんがお嬢様であると気付くべきだった。九条さんの喋り方、九条さんの家に行くと言った瞬間の動揺、そして何より不思議な質問の数々からわかったはずだった。





ある日僕は九条さんの家の場所が気になり、いつもは交差点で分かれるのだが今日は九条さんの後をついて行くことにした。

この行動が間違っていたことにこの瞬間僕はまだ気づいていなかった。

九条さんの後をつけて行くと大きな屋敷の前で止まった。

すると気配を感じたのか後ろを振り返った九条さんに見つかってしまった。


「明音ちゃん、さっきぶりだね」

「なんで竜さんが……ここにいるんですの?」


話していると誰かが家からでてきた。


「明音どうしたんだ。それと君は誰だ」

「僕はそのーー」

「彼は通りかっただけですわ。わたくしが挨拶をいたしました」

「明音、それは違うなもし通りかかっただけなら彼などとは言わないだろう。知らない人にはこのお方はと教わらなかったのか」

「話の途中に失礼します。僕の名前は霧島竜です。九条さんとは仲良くさせてもらっています」

「ほう、土曜日に明音が遊び、稽古を放り投げた原因か」

「お父様、それは違いますわ」

「何が違うというのだ明音。彼に誘われなくても稽古をしなかったというわけか?その場合なら他に原因がありそうだな」

「いえ、それは違わないですわ」

「まぁいい、これまで明音は頑張っているからな。1回、2回サボってもどおってことない。たまにはそんな日もある。次の日に遅れを取り返せば良い。だがしかし霧島竜お前は見逃せないな。明音、ここで霧島竜とは会うのは今回で最後だと誓え」

「それは……」


九条さんは僕の顔を見てかつてないほど取り乱していた。


「僕が九条さんを誘いました。その時九条さんを少し無理やり誘ったとはおもいます。しかし僕と遊んでいる時の九条さんはとても楽しそうでした。正直僕にはその稽古がなんなのかはわかりません。だけどあの時間が無駄だったとは僕は全くおもいません。なので謝ることはしません」

「竜さん」


九条さんの表情が落ち着きを取り戻したように見えた。しかしそう思うのも束の間だった。


「それが明音のためになるというのか」

「えっ」

「そのような時間の使い方より将来に役に立つことを今のうちに一つでも身につける方がいいと思うがね」

「……」

「いうことはまだあるか?なければ去れ明音は九条家のものだ。お前と明音では話にならん」


全く反論できなかった。僕はなんのためにここにきたんだ。





見ていただき感謝です。


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