本当の意味での初めての出会い
九条さんと明音ちゃんと出てきますが同一人物でそれは霧島竜の子供の頃の視点と高校の今の視点との違いです。
わかりにくくてすいません。
九条さんが過去について話す時がきたのだ。
「詳しく正確にお話しいたしますのは無理なのでこの機械を使ってお教えいたしますわ」
「その機械は?」
VRみたいな機械が出てきた。最近ではもっと現代は進化している。この話はまた今度で
「竜さんの記憶そのものですわ」
「?」
どいうことだ僕の記憶が機械……よくわからない。
「よくわからないという顔ですわね。竜さんの記憶がなぜ機械なのかは見てもらった方が早いですから、見てわからなかったその後にでもよろしくて」
「わかった。そうする」
僕も決心がついた。
「それでは、この機械の説明を簡単かつわかりやすく申しますと記憶の保存と再現ですわ」
九条さんの言葉を聞き終わると僕は頭に機械を装着した。すると意識がとんだ。
ここはどこだ。見渡すとどこかの教室のようだ。その教室にいるのは小さい子供たちだった。でもその子供たちは小学生だとわかった。
直感がそういっている気がするのだ。確信できてることもあった。黒板には2890年と書かれていたからである。それは僕が小学生5年の頃の年だ。
今の僕は意識だけがそこに存在するだけだと考えた。誰も僕のことを見ている視線すら感じなかったからである。
「朝の会を始めようね。おはようございます」
「おはようございます」
女性の先生が言った挨拶に対して子供たちは元気よく答えた。
「今日は転校生がいるの。入ってきていいわよ」
そういうと一人の女の子が教室に入ってきた。
「自己紹介しようね」
いきなり大勢の前に立ったその女の子はとてもおどおどしていた。
「わわわたくしは……わたくしはそのあの九条明音とおもうしするあっ申します」
これが昔の九条明音さんなのか……言葉の丁寧さは変わってないみたいだけどおどおどしている見たい目だけをみるととても僕は九条さんにみえなかった。
「緊張したのによく言えたわね。それじゃ後は学級委員の霧島竜くんに明音ちゃんのことを頼もうかしら」
「わかりました。先生」
「ありがとう。助かるわ」
あれが僕……うっ頭が痛い……記憶がこんがらがってきた。
「僕は学級委員の霧島竜だよ。明音ちゃんってよんでいい?僕も名前でいいよ」
「……」
それが僕と九条さんとの初めての出会いだったと思い出した。
少し別のことも思い出だした。九条さんはいないみたいなあつかいをされてたんだ。きっかけはみんなが九条さんに話し掛けた時のことだ。本当に些細なことからはじまった。
「明音ちゃん。これからよろしくね」
クラスの一人の女の子が九条さんに声をかけた。
「……」
「どうしたの?具合悪いの?ひょっとして喉の調子がよくないの?」
「……」
ずっと黙る九条さんにさすがに飽きたのかその女の子は九条さんの元を去った。
この時九条さんは何を思い話すことをしなかったのか僕にはわからなかった。
これを繰り返すことをきっかけに九条さんと話す子はいなくなった。当然の結果かもしれない。話しかけてそれで何一つも返事をしてくれなかったらどうなるかは目に見えていることだ。
そんな九条さんを僕は学校が終わった後案内したんだっけ。
「明音ちゃん。ここが図書室であっちに見える建物が体育館だよ」
九条さんはその後をついてくるだけで何も言わなかった。
そうこうしているうちに学校の案内が終わった。
「明音ちゃん、わかったかな?」
「……」
「そうわかったならよかったよ。少し心配だったんだ。説明がわかりにくかったかなと思ってて」
そう答えたことに九条さんはとても驚き信じられない顔をした。それはまるでこれまで信じてこなかったことが目の前で起こってしまった時のような顔だった。九条さんはすぐその場を走って僕の元を去った。
転校した日の次の日から九条さんに話しかける人はいなくなった。それは僕が九条さんに積極的に話しかけたことの一つのかもしれない。よくみんなにこういわれたんだ。
「どうせあいつ話してくれないから無駄だぞ」
「僕は学級委員だからね」
そう答えたがほんとうは少し違った。たまに九条さんは他の子たちが遊んでいるのを羨ましそうにしているのが無表情の奥に少し、ほんの少しだけかすかに見えた気がしたからだ。それに本当に無関心で興味がなかったら見ることなんかしないだろうし幼いながらそう僕は考えていた。
そして僕は毎日毎日九条さんに話しかけた。そのおかげもあって半年をした頃九条さんの重い口を開くことに成功したんだ。
「どうしてわたくしにかまうの?あなたのメリットは何?私に何をさせたいの?」
今思うと子供ながらすごい質問だと感じる。
「メリットって何かはわからないけどなぜかまうのかは決まってるじゃん。そんなの理由がほしいかな」
「えっ?」
九条さんの顔があの案内をした日のようになった。
「明音ちゃんは食べることに疑問を感じる?」
「それはわたくしたち人間が活動するためにエネルギーを補給するためですわ」
珍しく九条さんは話にくいついてきた。
「明音ちゃんが言っていることは僕には少ししかわからないけどでもそれは理由ではないよ。明音ちゃんはその理由がなかったらご飯を食べないの?それだけならお菓子などを食べる必要はないと思うよ。僕はそのこととあまり違いはないんじゃないかな」
そうこの日この言葉で九条さんは僕と喋ってくれるようになった。でも相変わらず僕以外の子とは話そうとは一ミリもしなかったのだけどね。
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