60/100
つまらないから絵の具を垂らした
真っ白い世界に独りきり
つまらないから絵の具を垂らした
いろんな色を混ぜて楽しんだ
美しくなれば良いと想った
どこまでも広がる僕の世界
それで満足したくないから
たくさんの人を産み出した
たくさんの人を育て始めた
やがて世界の主役は人へ
僕は傍観者になった
くるくると回る世界を
楽しんでいたはずなのに
次第に憎み殺しあう
僕の大切な人が亡くなる
悲しみで世界を洗い流そうと
何度も思いとどまる
もしも絵の具を垂らさなければ
悲しみは生まれなかったのかな?
だけど喜びもあったはずさ
僕は見守り続ける




