異世界転生しちゃいました...?
尾崎幸太郎十九歳。ありふれた人間の中の一人。
去年まで隠れニートを決め込んでいた俺も今年からはそうはいかなくなった。何故なら親、親戚の目があるから...今までもずっとそうだった。親の目があるから、中学受験を頑張った。親戚の目があるから高校を頑張った。周りの人間のいいなりになりながら、今まで耐えて生きてきた。今まで、、これからもその筈だった。
「(あーあ、何してんだ俺は...)」
マフラーをグルグル巻いて手を上着のポケットに突っ込みながら早足で大通りを歩く。就活中の俺は最近全くゲームが出来ていない...ゲーム不足。とても深刻だ。外野の声がかすれて聞こえる。
「(ん?うるせーぞ外野が...俺の世界に入ってくるな)」
死んだ様な顔面を正面に向けて驚きで目を剥く。交差点に俺と、少し離れた位置に小さな少女が一人倒れていた。それだけだったらなんら問題ない。「立てガキが...!」なんて人前では言えないから心の中で呟く。問題は大きなトラックが倒れた子供に向かってノンストップで走ってきていることだ。
「(ッ...どうする?!俺はただの通行人、目の前の子供が如何なろうと...!)」
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気付いたら俺の前にトラックが突っ込んでいた。子供の鳴き声が大きな声で聞こえる。多分助かったんだろう。子供を抱えた温もりが残る手を握りしめると、グチャリと音がして目の前が真っ赤になった。
「(あーあのガキ、助かったか...俺も早く帰ってゲームしねぇと、レベル上げる仕事がまだだった。ん?これケッコー吹っ飛んでる?)ゔあ?!ッッッテェ〜〜??!」
ボーンと耳の中に音が響いた。腹を見れば太い鉄パイプが貫通している。倒れて瀕死状態の俺を興味本位で覗いてくる奴らが目の端に見える。スマホの録画音が無数に聞こえる。
「(俺死ぬのか?駄目ニートのまま??周りの目を気にしながら死んでいくのか...)」




