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休日は神官戦士!  作者: 森巨人
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出会いと戦士ローデリック

『話は聞かせてもらったわ、あなた達は全滅する!』


『な、なんだってー!?』


 談笑していた三人は、驚愕の表情を浮かべてこちらを見やると、興味を失ったようにそのまま座りなおす。


戦『何だ、ガキかよ』


魔『フッ、将来性はありそうだけどな。今は無いって意味だが』


盗『あるか? 既に打ち止めだろ、アレ』


 盗賊が『私』のどこを見て言ったのか問い詰めたい気持ちになったが、我慢して再び話しかける。


『失礼しました。でもどうか私の話を聞いてください、私は光の神の神官シャイン。今回のゴブリン退治の話を聞き、ここに仲間を募りに来たのです。それで…』


 懸命に話す『私』に目を向けようともせず、彼らは話し続ける。


魔『フッ、君にはあと5年…いや10年は必要だな』


戦『ところでこの大剣を見てくれ、こいつをどう思う?』


盗『すごく…大きいです。…あっちと違って』


 ブチッ


『話を聞けって言ってるでしょうがーっ!!』


『私』は戦士ローデリックの頭を思いっきりメイスで引っ叩いた。



「散々な出会いになったね…」


「な、なによ。私が悪いんじゃないわよ? 全部このサイコロが悪いのよ!」


 私が指差した2つの10面体サイコロは、ともに1の目を上にして制止していた。これはNPCに最初に出会った時に行う【反応判定】というもので、低いと印象が悪く、高いと友好的になるものである。2d10だから2~20の数字が出るわけなのだが…


「まさか2d10で2が出るとはね…シャインの【魅力】だったら5以上で普通の対応をしていたのに」


 龍治が困ったように頭をポンポンと叩きつつ言う。仕方がないではないか、100回に1回は出るから1%と言うのである。それが最初に来ただけで、私は悪くない。


「…こうなったらロールプレイで乗り切るしかないわね。龍治、この3人について私の知ってることをシャインも知ってていい?」


「え? う~ん…元々真輝ちゃんのキャラクターだからいいか。シャインに神の啓示でもあったということで、このままだと仲間になりそうもないし…」


 よし、GMのお墨付きを得た。見てなさい、ここからはずっと『私』のターンよ!



『て、てめえ何しやがんだ! そんなもんで頭殴って、死んだらどうするつもりだ!?』


 戦士ローデリックが怒りの形相も露わに掴みかかってくるが、『私』は落ち着き払って答える。


『大丈夫です。私は神の啓示により、あなた達の事を知っています。この一撃で貴方が死ぬことは無い。これは神によって定められていたのです』


 ローデリックの表情が怒りから驚きに…そして若干の畏れを含める。


『な、なんだと? それは一体どういう事だ!?』


 『私』は勇敢なる戦士を安心させる為に、優雅な笑みを浮かべつつ答える。


『簡単な計算です。あなたの生命力は7、私のメイスの攻撃力は1d6+1。私の攻撃を受けた所であなたの命は…』


(……あれ? 7-(6+1)だから…)


 ………


『84%で助かります! なんという強運でしょう! あなたには神の加護がありまくりです!』


『え、俺16%で死ぬところだったの!?』


『…何を言ってるのです? 【知力】5の貴方が二桁の暗算とか、ましてや百分率なんて理解してるわけ無いでしょう。これは神の加護です』


『おおぉぉぉ…神よ!』


 感涙(?)にむせぶ戦士に『私』は手をかざす。


『戦士よ、貴方を守ったのは神の加護。そして貴方を癒すのは神の奇跡です【ヒーリングI】!』


 傷ついた戦士を神の光が優しく癒していく。そして、光と傷が消えたのを見届けた後『私』は戦士の手を取り語りかける。


『私に、力を貸してくださいませんか? 勇敢なる戦士よ』


『御意。この命ある限り…いえ、この命尽きようとも! 貴女と神に仕えましょう』


 こうして『私』は、忠実なる戦士を迎えた。



「まずは一人ね。サクサク行くわよ!」


「いい話だったかなー?」

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