後始末~その1~
『竜の巫女パーティが一人、戦士ローデリック、有翼獅子を討ち取ったりー!!』
城の前、中央広場にて宣撫官の声が大きく響く。
その脇には、切り落とされた有翼獅子の頭部が、存在感を放っている。
こうして見るとさほど大きくは無いけど、あんなサイズの鷲などいない。見間違えることはないだろう。
集まった民衆がどよめく中、反対の脇に居たローデリックが大剣を上に掲げ、
『おおおおおお!!』
と雄叫びを上げる。すると…
『お――っ!!』
と民衆が応じる。【イーストエンド】に新たな英雄が生まれた瞬間である。
端から眺める『私』も鼻が高い。今日は街を挙げての祭りとなるだろう。
「現実で例えると「地元出身のスポーツ選手が国体で優勝した」ってところかな?」
「命懸けな所が違い…ああ、人生を懸けてるって意味では一緒かしら?」
「そこまで夢中になれる物があるって、いいよね~♪」
あら?
「鏡子は歌が好きなんじゃないの?」
思わず聞いてみる。
「流石に人生懸けてってのはね~…その気だったら今ここでゲームもしてないし、下手したら高校も行ってないんじゃない?」
ちょっと深い話になってしまった。
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あの後どうなったか、説明が要るかしらね。
まずローデリックは休息ね、治療したとは言え瀕死の重傷だったし。
並行して有翼獅子の解体。嘴に皮に翼に…カイヴァンに言わせれば素材の宝庫なんですって。
ふと気付いた。
「ねえ龍治、このゲームには魔石って無いの?」
「真輝ちゃんも思った? 僕も探してみたんだけど、どのサプリメントにも無いんだよねぇ…」
「へ~、ファンタジーのラノベには大抵出てくるよね。ドラファンに無いのって返って不思議かも」
鏡子に同感。てっきり【ドラゴン・ファンタジー】がそういうの全ての元祖だと思ってた。
街まで運ぶのが難点だったけど、
『肉を我らにくれるというなら、ひとっ飛びして応援を連れてくるぞ?』
とハーピーが申し出てくれたので一任。片道一日強かかってた道のりを、翌日の昼には戻ってきた。…肉の魅力って凄いわね。
その数なんと25人。子守と伝令だけ残して全員来た…ってクイーンまで来てるじゃない!
『はっはっは、こいつの肉が食えるのは久方ぶりでな。それはそうとして、こいつの巣は探したのか? 我らと同様に光物を集める癖があるが』
え、そうなの?
『知らぬか。では数人放って探させよう。なに、他に居たとしてもそう多くはあるまい』
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帰り支度をしながら待ってると、探索に出たハーピー達が戻ってきた。…仕事早いわね。
『長よ。少し登った所の山肌に開いていた洞窟に、動物の骨とこれがありました。こいつの巣で間違いないかと』
と言って差し出したのは…
「はい、ここでお宝決定の時間です」
「「わ~~い♪」」
宣言する龍治と喜ぶ私達。
「もっと苦労して取りに行くはずだったんだけどなぁ…」
あらあら、でも楽に取れた方が良いじゃない♪
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「え~、本来グリフォンの巣にある【お宝タイプ】はEですが、今回は1匹の巣の為半分とします」
「え~?」
前者は龍治、後者は鏡子。同じ「え~」でも全然違うわね。ってそれはともかく!
「鏡子、欲張っちゃだめよ? これで「お宝全部よこせ」って言ったら龍治は喜んで追加のグリフォン出すからね?」
と言うと鏡子は慌てて、
「あ…いい、いい、半分で良い! ていうか、あんな空飛ぶ戦車みたいなのもう勘弁!」
手を振って否定する。ふぅ、これで安心…って龍治? なに残念そうにサイコロ手放してんのよ!?
「そっかぁ…じゃあとりあえず貨幣から決めるんだけど、人の住んでない所で貨幣が沢山あるのも変だから、同じ価値の宝石があったという事にします」
「「おお~~」」
これは嬉しい。「銅貨が1万枚出た」って言われても反応に困るし、何より宝石って素敵よね? 見てるだけで幸せになれるっていうか♪
「では、それぞれ1d100をどうぞ」
といって10面サイコロを2個差し出す龍治。…って私たちが振るの!?
「あんまり出なくて恨まれても嫌だし…」
そっぽ向いて言う龍治。…こいつGMの責任投げやがった!
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という訳で私達が振ることになった。まず銅貨から…
「(コロコロ)ごめ~んマキ、出なかった…」
ぐ、幸先悪いわね。ま、まあ銅貨だし?
「じゃあ銀貨を…(コロコロ)ごめん鏡子、銀貨も無し」
「え~? マキなにしてんの!?」
「銅貨外した鏡子に言われたくないわよ!」
「…友情って結構脆いよね」
仕掛け人のお前が言うか。
「次は本命の金貨ね。確率は25%だから…鏡子、2人で振りましょ? 私が一の位で、あんたが十の位」
「うん。……うん? マキちょっと待った、それだとあたしの方が責任重くない?」
ちっ、気付いたか。鏡子のくせに…
「マキずるいよ~~これで外したらあたしを責めるんでしょ? そっちは二分の一で、こっちは五分の一なのに――!!」
「せ、責めたりなんかしないわよ? ただちょっとゴミを見るような目になるだけで…」
「ムキ――!?」
「え~…ただいま大変見苦しい状況になっております。ご不快な方はどうぞブラウザバックを…」
争う私達を尻目に、虚空に向かって説明する龍治。生放送か!?
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「「出た――!!」」
2人で振った出目は、なんとぴったり25。やっぱり神様って居るわ…
「良かったよ~マキ~」
「うんうん、私たちの友情は永遠よね♪」
「こんなに短そうな永遠って見た事ないなぁ…」
やかましい。
『すっげぇ…こんな大粒見たことないぜ』
ディーンが絶句する。『私』も初めて…いや、そりゃ「お爺ちゃま」の所には幾らでも有るだろうけど、あれと比べちゃいけない。
『金剛石…ですな。私もここまで大きいのは初めて見ます』
『高いのか?』
よく分からないながらも聞くローデリックに、
『そうだな…お前さんに例えると「【甲冑】が買えるくらい」と言ったところか』
『あの凄い鎧がか!? は~…』
答えるカイヴァン。ローデリックには良い例えだったようだ。
思わぬ副収入に『私』達が驚いてると、ハーピーがもう一つ差し出してきた。
『あとこれだ。中は見ていない。我らは魔術には疎いのでな…』
それは一本の厳重に封がしてある【巻物】であった。




