表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
休日は神官戦士!  作者: 森巨人
30/81

義務って辛い

「税金だよ、税金!」


 龍治が滅多に見せない輝かんばかりの笑顔で言う。…前に見たのはいつだろう、小学校の遠足の時だったかしら(軽い現実逃避)


「………ぜいきん?」


 自分では確認できないが、この時の私の表情は「仏頂面」と言う言葉が良く似合うものだっただろう。


「え、社会のインフラやサービスを維持する為に、所得や資産に応じて徴収…」


「だから意味は知ってるわよ! 取るんでしょ!? 私の、シャインの、なけなしの収入から! 払わないと犯罪なんでしょ!?」


 半ばやけになって言う。おっと、少し声が大きかったかしら、静かに静かに。…でもお金取られるのよね、せっかく翌日の買い物の事を楽しく考えてたのに。


「う~ん、でも社会のシステムを表現するには外せない要素だし、ルールブックにも「税金はしっかり取ろう。払いたくない? 荒野にでも放り出せ!」って書いてあるし」


 世の中って厳しい。


「う~…わかったわよ。で? いくら払えばいいの? 5%? 10%?」


 それが例えどんな少額でも、気持ちの良い物ではない。…お父さん達の苦労がちょっと分かった気がする。


「嫌だなぁ真輝ちゃん。そんなに少なくないよ、25%だね♪」


「にじゅうご!? よんぶんのいち!? そんなに持ってかれるの!?」


 どうやらイーストエンドはブラック企業…いや、ブラック領地だったらしい。


「え、日本だってその位だよ? 累進制で5%~40%の幅が有るだけで」


 …なるほど。稼げば稼ぐほど持っていかれる分が多くなるのね。お金持ちが脱税したくなる気持ちが分かるわ…



「え~と、一人当たり金貨が50枚で、銀貨は250枚。銅貨が500枚だから…計算しづらいわね。えーと、こういう時は一番価値が低い銅貨に合わせて…」


 持っていかれるお金の計算って、こんなにやる気出ないものなのね…


「銅貨にして8000枚の25%だから…(ポチポチ)銅貨2000枚分かぁ。じゃあ…銅貨全部と銀貨150枚ね。はぁ…」


 溜息つきつつキャラクターシートを訂正する。まあ沢山あった銅貨を片づけられたと思えば…


「えー…ここで真輝ちゃんに悲しいお知らせです」


「なによ、改まって。もう十分悲しいわよ」


 キッと龍治に視線を向ける。そんな私に龍治は「ご愁傷様」とばかりに手を合わせ、


「シャインは神官だよね」


「…そうね」


 何が言いたいのか。


「日本でも、神社やお寺ってお賽銭集めてるよね」


 …まさか、


「お布施の時間です」


「やっぱりいぃぃぃぃ!」


 呻いて頭を抱える。もうお金払ったじゃない! まだ払えって言うの!?



『司祭様、これを…』


 と言って『私』は袋を差し出す。中身は銀貨が80枚。これは神に仕える者達が、己自身に課している「十分の一税」と言われる物だ。領主様からも神殿への補助金は出ているが、それだけでは到底足りない。


『すまぬな、シャイン。そなたに光の神の加護が有らん事を。…儂にもっと力が有ればいいのだけれどな』


『いえ、むしろ私は嬉しいのです。今までのご恩を、少しでも返す事が出来て』


 孤児であった『私』が、こうして生きてこられて神官になれたのも、神殿と司祭様達のおかげだ。その恩を返せて、それが次の者達の糧となるなら、こんなに嬉しい事は無い。


『司祭様、あとこちらを…』


 言いつつもう一つの小袋を出す。こちらには金貨が…


『これ以上は受け取れんな。いいかい、シャイン。冒険者となった以上、義務を果たした後は、自分と仲間達の為に尽くさなくてはならない。装備を整え、知識を得、苦難に備える。それを怠れば、結局多くの人が不幸になってしまう。努々忘れてはならないよ?』


 差し出した手を抑え、優しく語られる。…やはり、この方は『私』の「父」だ。


『…はい。仲間たちと相談し、次に備えます。司祭様にも光の神の加護が有りますように』



「う~~、80万円稼いだら28万も持ってかれた…しかも中世も現実も大差ないって、酷くない!?」


「…僕は二人のキャラの差の方が酷いと思うなぁ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ