踏み込みが足りない!(設定的な意味で)
出来あがった地図を両手で上にかざす。売ってるRPGの物に比べたら拙い物だが、自分達で作った物だと思うと感慨深い。
「じゃあ次は細かい設定だね。シャイン達の居る街を、この地図のどの辺りにする?」
「ん? 家が有る所でいいんじゃない?」
「中央山脈作った時に、もれなく山地になってるけど…」
あら? 本当。
「じゃあ山脈をちょっと東にずらして(カキカキ)…これでよし、と」
「神様が世界を作った時って、こんな感じだったのかな…」
誰も文句言わないしね、なにせ神様だし(傲慢)
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街の場所が決まったから、次は街の周辺の地図だ。流石にアメリカ大陸サイズの地図で日常生活は出来ない。
「松倉川…名前はあとで考えるとして、が東から西にこう流れてて…ここら辺の南側に街があると。あ、龍治? 北側お願い。…竜王の山がこっちで、ここから東は未開地帯かな? 南は…とりあえず森で」
二人でどんどん書き込む。思いつかない時は後回しでいいのよ。
「大体埋まったね。次は、えーと「街の細部を決めよう。あ、民家の一軒一軒全て作れってわけじゃないぞ? やっても君の黒歴史になるだけだ(笑)」」
作者は作ったのかしら…
「具体的には…街の統治者、人口と経済規模、治安状況、各種サービスの有無を決めろってさ」
各種サービスと聞いたとき、私の頭の中で様々な情報が混ざり合い、そして弾けた。(どこぞの種を参照)
「ねぇ龍治! 私が決めていい!?」
「え、まぁ、余りにもプレイヤー有利にならなければ別に…」
よし、言質とった!
「ありがとう! じゃあ、そうねぇ…今を遡ること15年前」
「15年前!?」
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ここからは『私』が解説しよう。ここは東の果ての街「イーストエンド」。といっても伝説の極東の国「ホウライ」とは関係がない。大陸を東西に分断する「世界を分かつ山脈」に、西側の人類社会では一番近いというだけ。
かつて人類は栄華を極め、大陸中央に強大な魔法文明を築いたというが、今はその面影はない。あるのは文明崩壊と前後して起きた天変地異によって出来た、広大な砂漠と遺跡のみ。
この街も15年程前は遺跡だったらしい。だが、勇気ある4人の冒険者によって、巣食っていたモンスターは駆逐され、多くの民が入植し、ここまでの街になったという。
その4人の冒険者とは、
「剣を極めし者」領主にして戦士、ログナー
「全てを知る者」エルフの大魔導士、ルシア
「生死の境を越える者」光の神の大司祭、オリバー
「影を統べる者」シーフギルドマスター、名称不明
であり、『私』はそのうち3人と面識がある。育ての親である大司祭オリバー。様々な事を(気が向いた時に)教えてくれた大魔導士ルシア。よく神殿に愚痴をこぼしに来た領主ログナー(私はお茶組み担当)
聞いたところによると、現在の街の規模は5000人程で、西の王都や大きな地方領に次ぐ大きさらしい。軍隊は200人ほど。少ない? 専業の軍人なんて、これより多かったら街が成り立たないわよ。大丈夫。訓練は行き届いているし、領主の意向で住民は男女問わず自由に戦闘訓練を受けられるの。何かあった時、自分で自分の身を守れないとね。
だからかな? この街は冒険者も結構居るの。元々は遺跡だから、地下の下水道なんて未だにどうなってるかよくわかってないし、辺境で隊商が欠かせないから、護衛は常に必要だしね。領主様は「冒険者のギルドも必要かもしれんな」ってこぼしてたから、そのうち作られるんじゃないかしら。
そうそう、街の北に流れる「天に至る川」を忘れちゃいけないわね。この川は東の「世界を分かつ山脈」から流れてる大河で、西は海まで続いてるって聞くわ。川沿いの村だったら、船で行くほうが早いわよ? まあ川といっても対岸は見えないし、川に住むモンスターもいるから、絶対安全ってわけじゃないんだけどね。
結論としては、荒っぽいしトラブルも多いけど、活気があっていい街よ? では「果てのない世界」に旅立つ前に、まずこの街を良くしましょうか!
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「どう、こんな感じで!」
龍治が逐一メモを取りつつ答える。
「どこかで聞いたような所が多い気もするけど、冒険の舞台としては、まあいいんじゃない?」
設定なんて、深く考えたところでどこかしら似るものよ。そしてここからが肝!
「でね? やっぱりこの4人の勇者は相応の実力があるべきだと思うのよ! そうねぇ…具体的には10レベルくらいがいいんじゃないかしら?」
それを聞いた龍治は、視線を上に上げ、手の平で何か計算する素振りをし、納得したという感じでポンと手を打つ。
「つまり、シャインは街の有力者にコネがあって、魔術師は5レベルの呪文…ぶっちゃけ【ロア】が使えて、指輪とペンダントの鑑定ができて、尚且ついざという時に神官の5レベル呪文【レイズ・デッド】を受けられる様にして置きたい、と?」
ぐ…
「全部読み切らないでよ!」
察しが良すぎると、女の子は引いちゃうんだからね!




