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シャルル=ダ・フールの王国  作者: 渡来亜輝彦
笑うムルジム

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73/209

13.星空の下の感傷

 ジャッキールは、先ほどの宣言どおり、ゼダの別荘までシャーを連れてくると、頭を冷やしていろと言い残して一方的に彼を中庭に放置していった。

 ゼダの空き家は無駄に広く、中庭まであった。昼間は、そこにジャッキールが洗濯物を干したりしていたらしかったが、今は撤去されていた。几帳面な彼のこと、夕方までそれらを放置しているわけがなかった。

 地面に投げ出されて、シャーはふてくされたように寝転がっていた。別に逃げ出してしまってもよかったのかもしれないが、そうしなかったのは、シャー自身も疲れていたこともある。玄関から出ようとすると、ジャッキールと鉢合わせになるし、そうでなければ庭の柵を越えなければならず、それが面倒だった。

 散々深酒をした後で、大喧嘩したのだから、それだけでも非常に疲れていて当然だった。その上、最後の相手はジャッキール。大立ち回りさせられた上、投げ飛ばされて腰を強打していたかったり、つかまれた喉が痛かったりして思った以上にダメージを受けていたのは間違いない。彼にはあまり自覚症状はなかったが、それは怒りによるものと、酒によって、傷みやだるさをあまり感じなかったからに過ぎない。

 深夜の街中は、静まり返っていた。酒を飲んで暴れていたシャーは、体温がかなり上がっていたのだが、それでも今は少し寒さを感じ始めていた。

 今日の月は半月に近く欠けているぐらいだった。それほど風流さもない情景で、ただ星が静かに瞬いているのみである。

「そろそろ落ち着いたか?」

 ジャッキールの声が背後から降ってきた。目だけをそちらに向けると、ジャッキールは手になにやらお盆を抱えているようだった。

「なんだよ。こんな所につれてきてよ!」

 シャーが、苛立ち紛れにそう吐き捨てると、ジャッキールは心外そうな表情を浮かべたようだった。

「少しは頭を冷やしたかと思ったのだが」

 ジャッキールは、肩をすくめてため息をついていた。シャーは、すぐにそっぽを向く。正直、ジャッキールの考えていることがわからなかった。

 ジャッキールがなにやらしているらしいのはわかったが、気に食わないので無視を決め込んでいると、急に頭を何かで小突かれた。

「いてっ。な、何すんだよ!」

 むっとして睨みつけると、ジャッキールは酒瓶を差し出していた。それで頭を小突いたのに違いない。ジャッキールは、無愛想にそのまま酒瓶を差し出す。

「飲め」

「へ?」

 意外なことに起き上がってきょとんとする彼に、ジャッキールはグラスを無理矢理にぎらせる。見れば、盆の上につまみらしいものものっていた。先ほどいなくなったのは、その準備をしてきたのだろう。

「おごってやる。その程度では、飲み足りないだろう。俺が付き合ってやろう」

「そんな気分じゃねえよ」

 シャーがぶっきらぼうに答えると、ジャッキールはため息をついた。

「素直でないな。貴様の酒好きは知っているぞ」

「別に。そういう気分じゃないって言ってるだけだよ」

「そうか、すまん。俺の言い方が悪かったな」

 ジャッキールは、きらりと目を光らせるとぐいっと酒瓶をシャーに押し付けた。

「俺がおごってやるから、一杯付き合え!」

 その有無を言わさぬ強引で威圧感のある物言いに、思わずシャーはぎくりとした。

 にらみながらそんなことを言うジャッキールは、暗に俺の酒がのめないのか? と強くシャーに迫っていた。

 シャーは、なんとなく気圧される形で、ジャッキールから酒を注がれてしまったのだった。




 酒盛りが始まると、急にジャッキールは無言に落ちた。

 シャーは意地を張ってそっぽを向いて酒を飲んでいたが、ジャッキールはというと、手酌でのんびりと酒を飲んでいた。別にジャッキールの機嫌が悪いわけでもなさそうだったが、いつまでも彼が黙り込んでいるのが気がかりになり、シャーはとうとう声をかける。

「何だよ。人を誘っておいてだんまりかよ」

「貴様が話しだすのを待っていたところだ」

 ジャッキールは、しれっとそんなことを答える。

「チッ、何だとおもってやがる!

 シャーは意地を張って黙り込んでいようとしたが、次第にその表情は弱気になってきていた。そんな彼の気持ちを見透かしたように、ジャッキールが横目で彼を見ながらぼそりと言った。

「言いたいことがあるのなら、聞いてやるから言え。何か話したいことがあるのだろう?」

 シャーは、一瞬むっとした表情を作ったが、それは虚勢にすぎない。それでも、しばらく沈黙を作る。

 いつの間にか、あの胸を焦がした炎はおさまってしまっていた。そして、それがおさまった後は、まるで穴でも開いたかのように空虚だった。沈黙が続けば続くほど、哀しい気持ちがあふれてきて、焦げ付いた胸のうちがやけどでもしたようにひりひり痛んだ。

 視線を落とせば、先ほどリーフィに巻いてもらった包帯が袖口から覗いている。思い出すと少し痛んで悲しくなる。

 シャーは、とうとうふきだした。しかし、それは苦渋と自嘲に満ちた笑いだった。

「あんた、性格悪いよな。全部、わかってるくせにさ」

 そういってしまうと、もう虚勢は張れなくなった。一気にさまざまな感情が逆流して口からあふれてしまいそうになってしまう。

 シャーは、がくりと頭をたらして、顔を手で覆った。

「オレ、本当に最低だ」

 シャーは、搾り出すように呟いた。ほんの少し掠れた鼻声になりながら、シャーは続けていた。

「オレ、あの子に酷いこと聞いちゃったよ。なさけねえなあ。なんでオレ、こんなに……」

 シャーは首を振った。

「だって、リーフィちゃんがあいつを今も好きなんじゃないかって思うと、気が気でなくて……。別にあの子のなんでもないのにさあ」

 ジャッキールは、視線だけをシャーにうつす。

「あの子がただ幸せになってさえくれれば、相手は誰でもいいやって思ってたけど、リーフィちゃんが他の男のことで、いや、特にあいつのことで、一生懸命になっていると思うと、なんだかこうじりじりして苦しくなるんだ。オレみたいなやつなんか、相手にされるわけもないのに。嫉妬なんて見苦しいよな、本当に」

 シャーは、苦しげに唸った。

「あの男は、酷い奴だし、とんでもないロクデナシさ。でも、オレも大差ないんだ、本当は。自分の感情に任せて、女の子を弄んだり、八つ当たりに人を傷つけたり――」

 けれど、とシャーは続ける。

「そういう奴が人を不幸にするのはよくわかるから、リーフィちゃんがこれ以上あいつに近づくのをみるのは辛い。あいつがリーフィちゃんに絡むのが許せない。あいつが、過去、あの子と一緒にいたのが許せない。でも、もし、リーフィちゃんも、あいつを好きなのだったらって……そんな風に思うと」

 シャーはため息をついた。

「だから、オレはあの子に訊いてしまったんだ。本当にあいつが好きだったのかどうかって……。そうしたら、あの子は話してくれたよ。包み隠さず本当のことを。けれど、それは、彼女の辛い過去を、暴いて踏みにじることだった」

 第一、と、シャーは、苦しげな表情になった。

「……第一、あいつがああなった原因、貴族だったあいつが没落した原因は……。あいつの家を破産に追い込んだのは、内乱の後処理。それが原因だったんだよ」

 シャーは、声を落とした。

「それを知ってしまった。そのことを知ってしまったんだ」

 シャーは、袖口から覗く包帯を撫でやった。袖は乾いた血の飛まつで黒っぽくなっている。シャーは、震えるような声で呟いた。

「だから、オレは考えてしまう。もし、あいつがそのまま、貴族のままなら、もしかしたら、リーフィちゃんは幸せな結婚をできたんじゃないかって……」

「そうか、内乱に絡んでいたのか、その男の家は?」

 ジャッキールにきかれて、シャーはうなずいた。

「今の政権に敵対した貴族が軒並み財産没収されたというのは知っている」

「ああ、そうだよ、あいつの家を取り潰したんだ」

 シャーは、吐き捨てるように言った。

「あの時、積極的に政権闘争に絡んで混乱を招いた、いくつかの貴族の財産を没収したんだ。その一つがあいつの家だったんだよ」

 シャーは、苦しげにいい、ジャッキールを見上げた。

「事情を知ってるあんたなら、オレがどの程度、その件に対して絡んでたかわかるだろ? その裁量にオレがどれだけかかわっているかをさ?」

 ジャッキールは、かすかに頷く。

「そうだよ。オレが取り潰したみたいなものさ」

 シャーは、ため息をついた。

「でも、オレにだってそれなりの覚悟はあった。これ以上血を流すのはやめよう。けれど、賞罰はきちんとしなければならない。だから、それは厳格に行ったよ。オレだって自分と自分の周囲の命がかかっていた。だから、無用な情けはかけるべきではない、命まで取ろうというわけじゃあないんだから、と、オレも思ったのさ。けれど、まさかその相手にリーフィちゃんが含まれていたなんて……」

「敵対勢力の粛清は、やむをえないことだろう。処刑しなかっただけで奇跡的なことだ。それぐらいで済むなら優しいものだ」

 ジャッキールが顎をなでやりながら答える。

「一族郎党皆殺しになれば、あの娘も今頃存在しなかったかもしれない。それが避けられたのだから、よくやったほうだ」

「でも、リーフィちゃんの縁談がそれで破談になったんだ」

 シャーは、がっくりとうなだれた。

「曲りなりにも貴族の男との縁談さ。苦労を重ねてきたリーフィちゃんには、どれほど夢見たことだったんだろう。……それをふいにしちまったんだ。オレがいなければ、リーフィちゃんは……」

「あの男と結婚しても幸せになれたかどうかはわからんだろう。ロクデナシの相手なのだろう?」

「それでも……」

 シャーは、髪の毛をかき乱しながら言った。

「それでも、オレがあの子の人生を変えてしまった。あの子が、あんな場末の酒場で働いて、あんな奴のために借金まで重ねて……、運命だからと自分の将来を諦めてしまった。そんな風にしてしまった原因がオレなんだよ! リーフィちゃんは、オレのおかげで人生が変わったといって感謝してくれた。でも、本当は違うんだ! あの子の人生をめちゃくちゃにしたのもオレなんだ!」

 シャーは、頭を抱えたままうずくまった。

「そんなオレを感謝してるって、リーフィちゃんは言ってくれた。オレは、居た堪れなかったんだ。あいつに嫉妬してリーフィちゃんに辛いことを告白させてしまっただけでも、オレは十分に罪深いのに、まさか、オレのしでかしたことがあの子を不幸にさせていたなんて……」

 シャーは、ぐしゃぐしゃの頭を片手で抱えながら顔を上げた。憔悴しきった表情は、いつもの彼からは想像できない沈んだ表情だった。

「でも、オレは、あの子にそのことを言えない。謝ることもできない。……あの子が、オレのことを知ってしまう。オレはあの子のことが好きだよ。人としても大好きだよ。だから、オレは、あの子の前では、ずっとシャーのままでいたいんだ。例え、二度と会えなくなっても」

 ジャッキールは、ため息をついた。

「わかった」

 しかし、と、ジャッキールは、ゆったりといった。

「あの娘は、今の自分が幸せだといったのだろう。それは、おそらく嘘でもあるまい。結果的には今がよかったのかもしれない。そうは考えないのか?」

「かもしれないって、でも」

「本人がそういっているのだとしたら、それがよいことなのだろう。たとえ、あの娘が結婚して、今より裕福な暮らしをしていたとしても、それがあの娘にとって本当に幸せなことなのかどうかはわからないだろう。それに俺は、あの娘は、今の生活にとても満足しているように思えるのだがな」

 ジャッキールは、優しく言った。

「何が幸せで何が不幸なのか、決めるのはあの娘自身だ。お前が決めることではない。あの娘が今の状況を喜んでいるのなら、結果的に、あの娘を幸せにしたのはお前なのかもしれない。そう考えればよいではないか」

 ジャッキールの言葉は異常に優しく、シャーは一瞬それが彼の口から出たものだと信じられない気がした。この男は、昨夜目を血走らせて殺人鬼のように暴れまわっていた男と、本当に同じ人間なのだろうか。

 ジャッキールは、遠くの闇を見据えるような目をして続けた。

「明日にでも、素直に貴様から見苦しいところを見せたと謝ればいい。あの娘はそんなことを気にはしない。許してくれるだろう」

「そんなこと、わかってるよ。そんなことを気にするような人じゃないってことは。でも、オレは……」

 ぼそりと呟いたシャーをジャッキールは横目で見た。

「顔を見せづらいのか?」

 答えないシャーに、ジャッキールは彼にしては珍しく、畳み掛けるように切り込む。

「顔を見せづらいからといって、ここで逃げるつもりではないだろうな」

「べ、別にそういうんじゃ……」

 いきなりそういわれて、シャーは焦ったように首を振った。が、ジャッキールは、そこから話題を動かさない。

「先ほど二度と会えなくなっても、自分はシャーのままでいたいといったではなかったのか? 貴様、このまま逃げるつもりなのだろう?」

「そ、そんなことは……」

「今まで、本性がばれるたびに逃げてきたのではでなかったのか? 俺は、貴様の噂があちらこちらに点在しているのはそういう理由からだと思っていたのだがな」

 図星を指されたのか、シャーが一瞬言葉を詰まらせる。

「そ、それはその」

「自分の暴力的な部分を見られて今までの人間関係を壊すのが怖いのだろう。怖いからいっそのこと逃げてきたのではないのか」

 ジャッキールの容赦ない追求に、シャーは慌てて答える。

「べ、別に。オレは、オレの本性をみて、今までの見方を変えられるのが嫌だったし、こういう身の上だから、一つところにいられないだけだよ」

「そうか。それでうわべだけの薄っぺらい関係を築いてきた。違うのか?」

 ジャッキールの視線は射るようで、その言葉は剣先のように鋭かった。

「それでは、あの娘に本性がばれた時点で去ればよかっただろう。そこで去らないから、自分の中のより深い闇を見せてしまうのだろうが。もうとっくに上辺だけで付き合うことの出来ない時期にきているのだろう?」

「それは、その、……リーフィちゃんは約束を守ってくれるし、オレがどうでも態度を変えるような子じゃなかったからさ……。オレは、リーフィちゃんのこと、本当に信用してるんだ」

「信じているのなら、なにを迷うんだ?」

「そ、それは」

 シャーは、突っ込まれて戸惑う。

「あの子は、オレのつまらない嫉妬も何もかも許してくれるってことぐらい、本当にわかってるんだよ。で、でも、オレは……、あの子の側にいるのが辛いんだ。一生、事情を言えもしない罪悪感を一方的に抱えてあの子の顔を見るのが辛いんだよ」

 シャーが吐き出すようにいうと、ジャッキールは、顎に手をやりながらため息をついた。

「要するに、自分が許せないと?」

 シャーは、答えない。それは肯定ととってもよいのだろう。

「なるほど、よくわかった」

 ジャッキールはやれやれと言いたげに物憂げに告げた。

「貴様が自分を許せないというなら、俺が気が済むまで殴り飛ばしてやる。だが、ここで逃げるとずっと後悔するだけだぞ」

 シャーは、うつむいて黙り込む。

「貴様の抱えている真実は、それは容易に口に出来ることではなかろう。永遠に口をつぐんでおかねばならない秘密を抱えて人と付き合うのは、それは業火に焼かれるように苦しいことだ。その気持ちは、俺にも理解できる。だが、リーフィさんだって、相当な決意を持って貴様に過去を打ち明けたのだろう? 勇気を出して過去を告げた後、貴様がいなくなって戻ってこなかったとしたら、あの娘は傷つくだろうな」

「ダンナ、何が言いたいんだよ?」

 シャーは消え入りそうな声で訊いた。

「自分の身の上を告げたのだ。だから、お前が自分が淫売だったことに幻滅したのだと勘違いして傷つくのは想像できるだろうが」

「そ、そんな……、オレはそんなつもりないよ」

「それなら、逃げるな。これ以上あの娘を傷つけたくないのならな」

 ジャッキールは、シャーに視線をくれると、酒を飲み干して立ち上がる。

「もし、逃げたなら、貴様はあの娘を二重に傷つけたことになる。それを一生後悔して生きる方がよいのか、あの娘とちゃんと向き合う方がよいのか、よく考えろ」

 シャーは、返事をせずに黙っていた。しばらく静けさが耳を突く。

 しばらくして、ジャッキールは、ため息を一つつき、シャーに背を向けて歩き出した。

「おい、待てよ。ジャッキール!」

 数歩も歩かないうちに、シャーの声が聞こえた。ジャッキールは、足を止めて振り返る。シャーは立ち上がって、砂を払った。

「ふふん、全く、あんたって男はわからねえ奴だよなあ」

 シャーは、苦笑しながらいった。

「暴れて手がつけられねえと思ったら、普段は本当に意外なくらいまともなこというのな。柄じゃねえよ」

 振り返ってからかうようににやりとする。

「ふん、何を言う。柄でもないことを言わせる状況を作った奴が一番悪い」

 ジャッキールは、苦々しく吐きすてるが、どこか照れ隠しのようなものが見え隠れしていて、シャーは思わずふきだした。

「ははははは。ま、なんにせよ。悪かったよ、ダンナ。柄にもあわねえ気を遣わせちまってよう。なにさ、そんなにオレが可愛いわけ?」

「べ、べ、別に気を遣ったつもりはないぞ、俺は」

 急に慌ててそんなことを言うジャッキールに、シャーはにやにやした。

「オレ、もう寝るわ。アンタに投げられて腰が痛くてしょうがねえよ」

「自業自得だろう」

「まあいいさ、この借りはそのうち返してやるよ。ありがとよ」

 シャーは、ぶらぶらと家の方に歩き出す。

 夜の暗がりの中を歩く彼の様子が、どうやら普段と同じようになったので、ジャッキールは、ひっそりと安堵した。

 彼の姿が見えなくなるまで、その背中を見送っていた、ジャッキールは、ようやく深くため息をついた。

「やれやれ、まったく世話の焼ける……」

 欠けた月だ。今宵は狂気に取り憑かれることもないだろう。

 ジャッキールは、冷静にとあることに思いをはせていた。

「今回の件は深入りしたくはなかったのだが、仕方がない」

 星の瞬く夜空を見つめながら、ジャッキールは、昔のことを思い出していた。そして、ぽつりと呟いたものだ。

 ”ムルジム”と。


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