◆登場人物紹介◆(笑うムルジム)
※赤い剣の月の夜までの多少のネタバレを含みます。
また、シリーズにおける前夜の話である「シャルル=ダ・フールの暗殺」の重要なネタバレを含みますので未読の方はご注意ください。
◇シャー=ルギィズ
・三白眼に癖毛長髪の長身痩躯の住所不定無職。本作の主人公。一週間ぐらい、小遣い作りに行っていて酒場は久しぶり。
・リーフィのトラブルを頑張って解決しようとするのだが、いつもと違うリーフィになんだかギクシャクしてしまう。嫉妬深いが、意外と傷つきやすい。その過程で知ったキーワード「ムルジム」について情報収集することになる。
・ゼダのことは相変わらず気に入らない様子である一方、やたら兄貴分としてふるまってくるジャッキールには怪訝に思いつつも、やや頼りにするそぶりを見せている。
・剣士としては、スピード重視型で愛刀は極東からもたらされた刀イトキリ。しかし、実戦経験が豊富なこともあり、素手や短剣を使った喧嘩も普通にこなす。しかし、普段はなるたけ争いを避ける主義なのだが……
◆リーフィ
・酒場で働いている無表情な看板娘兼踊り子。落ち着いた性格をしているので、同業の女子たちからの信頼が厚い。でもちょっと天然ボケ。
・シャーとはいつの間にか探偵と助手的な立場になってしまい、いつの間にやらヒロインポジションに鎮座する。シャーがいると、何かしら事件が起こったりするので、刺激があってちょっと楽しいとか不謹慎なことを思ってしまうお年頃。
・実は大変な苦労人であるらしく、色々過去には大変なことがあった様子。そのことで気が咎めているためか、一人で問題を解決しようとしているようだが……。
◇ゼダ(ウェイアード=カドゥサ)
・通称ネズミ。悪徳商人カドゥサ家の御曹司。狡猾で腹黒い二重人格であり、かつ気障で気遣いのできるモテる伊達男。優しい若旦那としての顔で、小料理屋に入り浸っているらしく、ミシェとは顔なじみ。義侠心はあり、意外と人情深い。
・いつの間にやらシャーをからかいに来るのが楽しみになっており、よく遊びに来てシャー的には迷惑なのだが……。女性の扱いが下手なシャーにはあきれつつも、サポートに入ってやったりする(シャー的にすごいクツジョク)。
・鎌剣という特殊な形状の剣の使い手で左利き。相手に錯覚を起こさせるトリッキーな戦法を得意とする。
◇ジャッキール
・流れの傭兵。経歴年齢不詳。シャーのせいで無職となり、現在就職活動中。揶揄と畏怖を込めた通称でダンナと呼ばれる。
・戦闘中に極度の興奮状態に陥ってしまい、見境がつかなくなることがある戦闘狂だが、普段の彼は意外にもおっとりしており、気の抜けた炭酸水のような男。お人よしで何かと弄られやすい。外見は稀にみる水も滴るイイ男だが、あまりそれで得したことはない。ちょっと潔癖症気味。
・シャーに敗北してから何か思うところがあったらしく、王都で比較的穏やかな生活を送り、シャーに対して非常に協力的。どうやら、「ムルジム」について思い当たることがあるらしいのだが、その辺、口が堅いので絶対口を割らない。
・愛用しているのは魔剣フェブリスと呼ばれる両手持ちの両刃剣。冷静な時の彼は理論を実技で見せる技巧派だが、熱狂中の彼は途端荒々しくなる。
◇ハダート=サダーシュ
・銀髪碧眼の将軍でザファルバーン七部将の一人。諜報をつかさどる。なかなかの二枚目で、普段は優雅に振舞っているが、実は毒舌家で皮肉屋。情報のやりとりにメーヴェンという烏を飼っており、溺愛している。
・諸事情あってシャーと繋がりがあり、最近はすっかり彼に協力している。また、ジャッキールとも顔見知り(暗殺編参照)。
*
◆ミシェ
・リーフィの酒場にやってきた娘で、いきなりリーフィに喧嘩を吹っ掛ける。シャーに対して、何やら警戒している様子。
・ゼダが若旦那の顔で行き着けている小料理屋で働いているが、どうやら行方が分からなくなった恋人を探している。キーワード「ムルジム」をシャーとゼダに伝える。
◇ムルジム
・ミシェのつぶやいたキーワード。ジャッキールの推測によれば、賞金首ではないかということ。しかし、何故彼が狙われているのか、何者なのかは不明。
◇べリレル
・リーフィの元婚約者。元々は貴族であったが零落し、博打で借金を作った挙句にヤクザ者の刺客をしていた。シャーやゼダに対戦し、それぞれ敗北している。通称ベイル。ムルジムを追っている?
◇シャー=レンク=ルギィズ
・王都のヤクザ者。内乱時の陰謀に絡んでいたとされる王都の暗黒世界の大物。特に、前王妃サッピア一派との繋がりが取り沙汰されていた。
◇ハーキム
・シャー=レンク=ルギィズと勢力を二分する、王都の暗黒世界の大物。
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◇サギッタリウス
・弓の名人で傭兵。ジャッキールとは深い因縁があるらしい。シャルル=ダ・フール王子の東征時に活躍していた。青兜将軍を撃ち落としたとされる男。
・陽気で無邪気な性格をしており、その外見からは実力のほどはよくわからない。
◇蠍のジュバ。
・小剣を扱う傭兵。
◇エルナト
・弓の名人。若い傭兵。
◇リル・カーン=エレ・カーネス
・先王セジェシスの第四子であり、王妃サッピアの息子。現在のシャルル=ダ・フール王の腹違いの弟にあたる。
・王妃サッピアに似ず、おとなしく優しい性格をした少年。ナズィルという世話係の爺やがいる。
◆サッピア
・先王セジェシスの妃。女狐と世間で称される女。
・セジェシスは正妃を決めていなかったので、彼女もまた正妻の地位を得られていないのだが、その出自からくる後ろ盾を背に、王妃たちの中で最も権勢を図っていた。セジェシス失踪時の王位継承のための内乱を勃発させた中心人物。
・内乱を平定したシャルル=ダ・フールは、血の粛清を嫌い、彼女らにも情けをかけたため幽閉の処分で済まされたが、第三子であった王弟ザミルとラゲイラ卿による、シャルル=ダ・フール暗殺未遂事件により彼らが失脚したのを契機に再始動しているようだ。
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◇ザフ(ザッフール)
・ゼダの付き人。実はゼダとシャーが遊んでいるのをあまり快く思っていない。
◇カッチェラ
・シャーの舎弟その一。情報通で皮肉屋。
◇アティク
・シャーの舎弟その二。優しく思いやりがあり、シャーにも割と優しい。
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◇シャルル=ダ・フール=エレ・カーネス
・カーネス朝ザファルバーン国王。二代目。先王セジェシスが戦場で失踪したことから始まった内乱を制して王位に就く。
・実はその正体は、かつて青兜と呼ばれていた将軍であるシャー=ルギィズ自身。前王セジェシスの庶子であり長子。しかし、様々な理由から、主に義兄レビ=ダミアスが身代わりを務めている。
◇カッファ=アルシール
・シャルル=ダ・フールの後見人であり、現在宰相を務める男。穏やかな性格をしているが、もともとはセジェシス付きの武官。
・シャーを迎え、育てた人物。育ての親に当たるのだが、忠誠心の強いカッファはあくまで先王の王子としてシャーを扱ってしまったことが、彼らの関係にややフクザツな影を与えている。シャーについては、即位後も「殿下」と呼ぶことが多い。
◇レビ=ダミアス・アスラントル
・セジェシス王の妃の連れ子。実質セジェシスが嫁入りさせる形で親子ともども保護した他国の王妃(未亡人)の息子であり、彼とは血のつながりはない。幼いころからシャルル=ダ・フール王子とは光と影の関係にあり、常に影武者を務めてきた。しかし、レビ=ダミアスがすでに帝王学をおさめていたこと、シャーの立ち振る舞いがあまり王子らしくなかったことなどか、彼が本物のシャルル=ダ・フールであるような誤解を生んでいた。彼らはそれを利用する形をとることになる。
・病弱であまり外出できず、戦場経験もほとんどないのだが、政治能力はかなりのものであるらしく、カッファをうまくサポートして執務している。
・性格は穏やかで優しいが、生まれ持っての貴人としての風格を持つ。ハダート曰く、「意外とやる兄ちゃん」。




