◆登場人物紹介◆(苦い昼の挿話)
※サギッタリウスの夜までのネタバレを含みます。
また、シリーズにおける前夜の話である「シャルル=ダ・フールの暗殺」の重要なネタバレを含みますので未読の方はご注意ください。
◇シャー=ルギィズ
・三白眼に癖毛長髪の長身痩躯の住所不定無職。本作の主人公。意外と嫉妬深い。
・リーフィとは探偵と助手的間柄になったので、このところ休みの日に遊んでもらっていたが、ラティーナが現れたために構ってもらえなくなり、ラティーナに嫉妬の炎を燃やしているどうしようもない男。
・ジャッキールとザハークの友人なのか宿敵なのかわからない関係に興味があるが、ジャッキールからはどうも聞き出せないのが不満。
・かつては青兜と呼ばれる東征大将軍を務めていたことがあったが、そのころはなんだかんだカリスマ性をまき散らしていたらしい。しかし、今はごらんのとおり。
◇ジャッキール
・流れの傭兵。経歴年齢不詳。現在就職活動中。通称ダンナ。かつての傭兵仲間からは「エーリッヒ」という古い名前で通っている。
・住処がシャーにばれた為、居座られて非常に迷惑している。潔癖症気味のきれい好き。部屋の両隣が空いていた筈なのに、どうやら角部屋に誰か入ったらしい?
・戦闘狂で戦闘中は異常に熱狂してしまう悪癖を持つが、最近はすっかり王都で穏やかに憧れだったカタギ生活を送る。今や気の抜けた炭酸水のようだが、若い頃はもっとギラギラしたアブナイ男で、戦闘中しょっちゅう見境がなくなっており、誰にも気を許さない高慢な男だった。
・愛用しているのは魔剣フェブリスと呼ばれる両手持ちの両刃剣。剣に特化しているが、剣であれば実は何でも使える。戦闘中は熱狂の中にいる彼だが、通常冷静さも残している。その為、切り返しが絶妙であり、考えが読めなくなる。なお、戦闘中はひたすらテンションが上がり、普段からは考えられないほど饒舌になるし高笑いもする。
◇ザハーク=ウロボロス=ハイダール
・通称蛇王さん。ザハークが不吉な名前であるため、あだ名か異名である「サギッタリウス」で呼ばれることが多い。彼自身の本名は「ウロボロス」であるがそれは秘密の名前。零落しているが高貴な家柄の出であるらしい。
・弓術で知られた傭兵で、年齢不詳のリオルダーナ人。ヒゲの似合うイケメン。美味しいもの大好き。豪放磊落で天真爛漫だが、何を考えているのかわかりづらい上、オンオフの切り替えがはっきりしすぎていて得体のしれない部分のある男。ジャッキールとは宿命のライバルであり必ず殺すと明言している割に、なんだかんだ普通に構っているし仲も良さそうにしか見えない。彼やシャーがいてメシがうまいという理由で、王都に住み着いたという噂。
・愛用しているのはシャムシール・ラ・ルーナという名の新月刀だが、基本的に剣士というより戦士で総合的に戦え、弓術や槍などの長兵器に加え、接近戦での極め技を奥の手とするなど実は多彩。見かけによらず流麗で優雅な太刀筋を持つ。なお、ジャッキールと反対で本気になればなるほど無口で無表情になる。これは彼の本性が、非常に無口である為。
◆リーフィ
・酒場で働いている無表情な看板娘兼踊り子。不愛想だが、別に悪気があるわけではない。ちょっと天然ボケ。
・ラティーナという同性の友人ができて彼女と遊びに行ってしまう。たまには女の子同士で遊びたい。シャーが構ってほしそうだなーとは思っていて、それなりには気を遣っているのだが、表面に出てない。よくよく考えると周囲の男たちにロクな奴がいないのだが、あんまり気にしてない。
◇ゼダ(ウェイアード=カドゥサ)
・通称ネズミ。悪徳商人カドゥサ家の御曹司。狡猾で腹黒い二重人格であり、かつ気障で気遣いのできるモテる伊達男。
・気に入っていたザハークがどうやら王都に住んでいるらしいので、素直に喜んでいる。シャーを誘って宴会でもしようと考えているらしい。シャーは彼には過剰にツンケンしているが、実はシャーが無遠慮に話せる同年代の男は彼ぐらいなものであるらしい。
◆ラティーナ=ゲイン=サーヴァン
・貴族であるサーヴァン家の姫君。気が強く行動的だがやや暴走しやすい性格をしている一方、割と常識人な一面も。
・前回の経緯からシャーとも普通に接することができるようになり、リーフィと親しい友人になる。リーフィの周囲の男がヤバイ奴しかいないのをひっそり嘆いている。
*
◇ハダート=サダーシュ
・銀髪碧眼の将軍でザファルバーン七部将の一人。諜報をつかさどる。なかなかの二枚目で、普段は優雅に振舞っているが、実は毒舌家で皮肉屋。情報のやりとりにメーヴェンという烏を飼っており、溺愛している。妻は、元同盟国将軍のエルテア=ハス。かつては主替えを頻繁に行っていたため、蝙蝠と呼ばれることも。
・基本的に淡白な男だが、親友であるジェアバード=ジートリューとの友情にはやたら熱い。そんなこともあってか、ジャッキールとザハークの奇妙な人間関係に興味深々。
◇ジェアバード=ジートリュー
・赤い髪の軍閥ジートリュー一族の当主でザファルバーン七部将の一人でハダート=サダーシュとは親友。しかし、世間的には仲の悪いフリをしている。
・結構無茶もするが、ハダートが暴走気味の時は留める側にも回る。結構人格者。ハダートと一緒にちょっとした悪事や小細工にかかわることもあり、実は口うるさい古参の七部将のゼハーヴなどに睨まれているらしい。
*
◇蠍のジュバ
・流れの傭兵で小剣の使い手。ジャッキールやザハークとは古いなじみ。ジャッキールの口利きでハダートに雇われている。
・淡白であまり他人に興味のない性格をしているせいか、逆にほかの傭兵達が避けがちな彼等とはそれなりに親交があり、組んで仕事をしていたこともある。ジャッキールがこの街で穏やかに生活していることに対して訝しがっている。
*
◇レックハルド=トゥランザッド
・ジャッキールがザハークのことを調べていた時に出会った隊商の長。人を食ったところのある男で、相棒に金髪碧眼の大男をつれている。ジャッキールにザハークの重要な情報を教えてやる。
*
◇アルヴィン=イルドゥーン
・リオルダーナの王子(現王とみられる)で、リオルダーナの征西にかかわっていた、通称「戦王子」。シャルル=ダ・フールとは宿敵関係にあった。年齢はジャッキールやザハークとさほど変わらない。
・戦王子の名前の通り、戦場が好きでたまらない好戦的な男だが、彼自身もリオルダーナ王国の熾烈な権力闘争に巻き込まれており、危険なため都に戻れない体だった。傭兵としてやってきたジャッキールの才能を見出し、彼を取り立てて隊長にし、自分に専属的に使えないかと口説いていたが、そのためにジャッキール自身も闘争の渦の中に巻き込まれてしまうことになる。
*
◇シャルル=ダ・フール=エレ・カーネス
・カーネス朝ザファルバーン国王。二代目。先王セジェシスが戦場で失踪したことから始まった内乱を制して王位に就く。
・実はその正体は、かつて青兜と呼ばれていた将軍であるシャー=ルギィズ自身。前王セジェシスの庶子であり長子。しかし、様々な理由から、主に義兄レビ=ダミアスが身代わりを務めている。