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村の落ちこぼれの私が実は無敵で最強だった

作者: 土田土
掲載日:2026/08/09

ミアは魔法都市ルーメンの片隅で暮らす少女だった。

魔法は使えず、スキルもなく、反応は遅く、運動は壊滅的。

魔法学校では落ちこぼれの象徴として名が通っていた。


詠唱は毎回途中で噛む。

魔法陣は踏んだ瞬間に壊す。

杖を振れば自分の頭に当てる。

訓練場では毎回転ぶ。

しかし、一度も怪我をしたことはなかった。


街の子どもたちは言った。


「ミアなんて誰も守れないよ」

「俺のお父さんはタンクでパーティーを守ってるんだ。お前と違ってな」


ミアは何も言い返せなかった。

事実だからだ。

自分は弱くて、非力で、誰も守れない。

そう思っていた。


その時だった。

空気が震え、地面が揺れ、街の中心に巨大な影が落ちた。


“深紅のバルガスト”。

魔王軍の四天獣の一角。

鋼鉄を溶かす体温、魔力を喰らう牙、王国の騎士団ですら討伐できなかった災厄。


悲鳴が街を満たした。

子どもたちが逃げ惑い、大人たちが叫び、建物が崩れた。


ミアは動けなかった。

それでも、目の前で泣き叫ぶ子どもたちを見た瞬間、胸の奥が熱くなった。


「……助けなきゃ」


ミアは走った。

小さな体を目いっぱい広げて、子どもたちの前に立った。


守れるはずがない。

非力で、魔法も使えず、落ちこぼれの自分が。

それでもミアは叫んだ。


「私が……みんなを守る……!」


灼熱の牙がミアの背に触れた瞬間──

空気が爆ぜた。


バルガストの巨体が弾かれ、石畳を砕きながら吹き飛んだ。

炎の奔流はミアの背で砕け散り、子どもたちに届かなかった。


ミアは無傷だった。

ただ、震えながら立っていた。


子どもたちは泣きながら叫んだ。


「ミアが……守ってくれた……!」

「ミアがいなかったら死んでた……!」


大人たちも理解できずに呟いた。


「どうして……あの魔物の攻撃を受けて無傷なんだ……?」


ミアはただ、息を震わせながら言った。


「……よかった……守れて……」


その日から、街では噂が広まった。


「最強魔物の攻撃を正面から受けて無傷の少女がいる」

「魔法も使えないのに子どもたちを守ったらしい」

「名もない少女が災厄を退けた」


その後、ミアは勇者パーティーの盾役として旅に加わり、

仲間の背を守り続け、魔王討伐の戦いを最後まで歩き切った。


この世界の誰も知ることはなかった。

ミア自身も知らなかった。


彼女の体は生まれてからずっと、とてつもなく薄い最強のバリアで保護されていたことを。

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