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ネクロマンサー〜手紙が紡ぐ旅路〜  作者: 西瓜すいか
第二章 つぎはぎの化け物〜宿場町ブルーメンベルクより〜
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第二十一話『等価交換』

「へえ、ボスマン家のご令嬢か……。」


ツバキはなにか考え込む動作をした後、何かを思いついたかのように一瞬ニヤッとした。しかし、ツバキはフリージアを見て、一瞬で微笑みの顔に戻る。フリージアは何を考えることがあったのかと疑問に思った。


「君はその妹さんのために、腕をとったわけだ。」


「そうです。」


フリージアはツバキの反応を伺いながら答える。ツバキはそんなフリージアの表情を見ながら言った。


「やっぱり、君は怯えた顔も可愛いね。……まあ、そんなことはどうでもいいか。言っておくけど、君が腕を取ったことはしょうがないことだと思ってる。」


「どうしてですか?……少なくともツバキさんのしようとしてたこと邪魔しましたし、」


「まあ、そうだけど、君はその妹さんから生き返らせるという依頼をもらって、生き返らせたんだろう?だから依頼がバッティングしたってわけだ。」


「依頼?」


フリージアがその言葉に引っかかる。フリージアのしたことは確かに、カタリーナに頼まれて行ったため依頼という形になるのだろう。そのことはフリージアも納得しているが、どうにもツバキの「依頼」とは何なのかが話の中から見えてこなかった。


「ああ、そのこと?俺は、その死体を使って、売ってるの。珍しい生物とか。」


「珍しい生物?」


「そう、ボスマン家にペガサスを売ったのも俺。今回依頼した人はインドの腕がたくさんある神様が見たいんだって。それで、腕を集めてたの。」


依頼とは、自身のネクロマンシーを使い、組み合わせて珍しい生物を売ることであったらしい。フリージアはその発言に言葉を失った。死体を売る、自身のネクロマンシーを売るなんて考えたことがなかった。今回は結果的に金銭をもらってしまったために、ネクロマンシーを売る結果になってしまったが、お金なんて要らなかった。


フリージアはツバキの方を見る。ツバキは別になんとも思っていない。むしろ、商売が成功して嬉しいというような顔をしていた。ツバキはフリージアに言った。


「まさか、同じようにネクロマンシーを売って、生活しているネクロマンサーがいるなんて。さすが、商人がたくさんいる街だ。来たかいがあったよ。それにボスマン家から大量のお金をもらえたしね。」


そういうツバキは同類を見つけたかのように喜んでいた。フリージアはその視線に酷く吐き気を覚えた。


(彼と同類なのだろうか。私はネクロマンシーを売って、社会に溶け込みたいわけじゃない……。)


しかし、結局は経済の社会の一員として、ネクロマンシーを売ったことは事実であったので、フリージアは言い逃れも現実から離れることもできなかった。フリージアはツバキの話を逸らそうと、別の話題を提示する。


「あの、別のネクロマンサーの居場所を知りませんか?」


「他のネクロマンサー?」


「さ、探してるんです。サフラン**って人とか、最近生まれ変わったネクロマンサーとか。」**


そういうとツバキはすぐに返事を返す。


「う〜ん。ネクロマンサーは同じ実体を見たのは君が初めてかな。」


「……そうですか。」


「実体を見たのはね。噂であれば、二人のネクロマンサーを知っているかな。」


「二人!」


そのことにフリージアは目を輝かせる。しかし、ツバキはその期待には応えられないと言わんばかりに食い気味でフリージアの言葉に被せる。


「いや、サフランって人も知らないし、最近生まれたネクロマンサーも知らないよ。」


その言葉にフリージアは少し落ち込むが、ツバキがさらに別のネクロマンサーについて言及した。


「一人は、いつも違う体をしている。死体を入れ替えて移動するネクロマンサーらしいってこと。一人目はそのぐらいしか情報ないかな。二人目は、向こうの方の島国に位置する方面にいるらしい。噂で聞いただけだけどね。……なんか実験に関わってるみたいな話。それでその向こうの島は豊かになっているらしいよ。」


「そうなんですね。」


噂話であったが、ネクロマンサーのことについて少しだけの情報でもフリージアにとっては嬉しかった。ツバキはそのことに少しホッとしたかのように、


「良い情報だったみたいだね。」


とフリージアに言った。


「はい!ありがとうございます。」


「お礼なんていいよ。それよりも俺も情報が欲しい。俺がこっちの西洋に来たのはつい50年前の話なんだ。」


「50年前……。」


その50年という時間は不思議だ。まだ150歳であるフリージアにとっては長く感じるものであるが、これからの人生を考えた際に短く感じるものでもある。ツバキは言った。


「もともと、こっちの文化じゃないと、ネクロマンサーは生まれないらしいよ。俺の母がずっと遠い極東の人なんだけど、俺の父がその極東に渡った時にできたのが、俺っぽいんだよね。」


その言葉にフリージアは驚く。フリージアは自身の出生について何も知らないからだ。気づけば、森の中にいた。親がいるとなれば、捨てられていたのだろうかともフリージアは考えた。ツバキはフリージアの顔を見て言った。


「だからね。俺、他のネクロマンサーの情報を君が持っていたら教えて欲しいんだよね。……これこそ、情報の等価交換だろう?」


ツバキはフリージアの目を真剣に捉えて、軽く冗談を交えて言った。

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