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ネクロマンサー〜手紙が紡ぐ旅路〜  作者: 西瓜すいか
第二章 つぎはぎの化け物〜宿場町ブルーメンベルクより〜
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第十八話『疎外感』

 使用人たちはカタリーナの兄に群がった。その光景をフリージアは最初は良かったとほっとして眺めていたものの、次第に呆然と眺めていた。フリージアはまるで自身が疎外されているようにさえ感じた。まるで、フリージアのネクロマンシーさえ使えれば、それでいいというように。カタリーナはフリージアの方を見ることさえしなかった。


使用人たちは、カタリーナの兄の腕を念入りに触った。そのことにカタリーナの兄は


「みんな、くすぐったいよ。」


と笑った。その笑った顔を見て、使用人たちは彼が本当に蘇ったと確信したようだった。腕は綺麗にくっついていた。縫ったような後もない。その完璧と言える状態に使用人たちは、笑顔になっていった。


「旦那様に、報告を!」


という、声に答えるように他の使用人たちが扉から外に出て、階段を駆け上がっていった。それにより少し寂しくなったような室内で、カタリーナの兄が部屋の隅にポツンと立っているフリージアに声をかけた。


「君は……?使用人ではないようだけれど……。」


そう聞かれて、フリージアは、


「フリージアです。」


とだけ返す。そのことにカタリーナの兄は首を傾げた。


「えっと……、」


「フリージアが、お兄様のこと蘇らせてくれたの!」


カタリーナのその発言が場の空気を完全に凍らせた。蘇らせることのできる人間はただものではないことは確かである。使用人は恐怖した顔でフリージアを眺めた。カタリーナの兄は、一瞬目を見開いた後、目を下に向けて自身の体を眺めた。そして、確信した顔をしてフリージアに聞いた。


「君は、ネクロマンサー、なのか……?」


その問いかけにフリージアは静かにうなづく。カタリーナは慌てて言った。


「でも、フリージアはいいネクロマンサーなの……!えっと、ちょっと変なところもあるけれど、お兄様のこと蘇らせてって言ったら本当に、蘇らせてくれたの!」


「しかし、お嬢様。ネクロマンサーというのは、その……。」


使用人はフリージアの顔色を伺うかのように、チラチラと見ながらカタリーナに反論しようとして、結局途中で口を噤んだ。フリージアは今すぐにでもこの場を逃げ出したい衝動に駆られた。その瞬間大きな音がして、扉の向こうから手が伸びてきた。


「本当か!本当に……。バルト……!私の愛しい子よ!」


先ほど出会った顔が嘘かのように、旦那様と言われていた人は輝かしい目をしていた。そして、フリージアやカタリーナ、他の使用人には目もくれず、カタリーナの兄であるバルトに向かって手を差し伸べ、抱きしめた。カタリーナの父であるその人は、バルトの体の感触を確かめるかのように長い時間抱きしめていたが、他の使用人の様子が途中でおかしいことに気づいた。


「バルトが、生き返ったというのに、どうしてそのような辛気臭い顔をしているんだ!」


カタリーナの父はそのように使用人たちを軽く怒鳴りつける。それに一人のメイドが反応した。


「しかし、彼女がネクロマンサーだと……。」


そのメイドはフリージアの方を見た。カタリーナの父と他の迎えに行った使用人、そして少し遅れて入ってきたフェリーネが一斉にフリージアの方へと視線を向けた。フリージアはその視線に恐怖を感じ取った。そして、カタリーナの父はフリージアに向かって言った。


「ネクロマンサー様……。代償はどのようなものをお考えで……?」


先ほどの使用人たちへの態度が嘘かのように恐怖に駆られ、それでいて何かを期待するような声色でフリージアに告げた。フリージアは、代償を求めるつもりは元々なかったため、必要ないと告げようとするとカタリーナが


「私が、お金を払うって言ったの。」


と言った。フリージアは


(そういえば、そんなこと言っていたような気がする。)


と心の中で思った。しかし、お金もいらなかったので、


「でも、代償?お金を取る気は元々からないです……。」


とフリージアは言った。しかし、その言葉が聞こえてないのか、フリージアの言葉を聞いて少しほっとしたような表情を見せたのも束の間、カタリーナの父は


「お金をありったけ持ってこい!」


と使用人に告げる。そして、使用人は急いで移動をし、


「こちらでよろしいでしょうか。」


とフリージアに大量のお金を渡した。フリージアはカタリーナがパンを出すときに出したお金が入っていた袋よりもさらに大きな袋があることに困惑した。そして、断ろうとする間もなく、フリージアは使用人たちに、


「今回は本当にありがとうございました。日も暮れてしまいますし、早めに宿をお探しになってください。」


と門の外へと引っ張り出された。使用人たちの言葉はフリージアを気遣っているようにも聞こえたが、半ば追い出されたような状況にフリージアは戸惑いを隠せなかった。手には大量のお金があったが、何かをやり遂げたという成果はなかった。カタリーナには別れの挨拶ができなかった。フリージアはこの街の喧騒に取り残されたような気分になりながら、夕暮れで赤く染まる建物たちを眺めながら、


(宿……。泊まったことないけど、探すしかないのかな……。)


と呆然と自身の今後の予定を考えていた。

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