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ネクロマンサー〜手紙が紡ぐ旅路〜  作者: 西瓜すいか
第二章 つぎはぎの化け物〜宿場町ブルーメンベルクより〜
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第十五話『森に潜む』

カタリーナとフリージアは一緒に先ほど来た壁の穴から共にまた外へと出た。フリージアはカタリーナの家で何が起きるか分からないので、自身で鞄を肩にかけた。鞄には大事にしている手紙と先ほどカタリーナから貰った本が入っている。先ほどの町はフリージアたちの出来事など気にしていないだろう。先ほどと変わらず、賑やかに動いていた。カタリーナは不安そうにフリージアに話す。


「本当に、見つかるのかしら?」


「探してみないことには……。」


フリージアにも腕を探すなどという体験は初めてだった。何事もまずは情報収集からだろう。しかし、フリージアはヴィントモレンでの騒動から少し情報収集が億劫になっていた。何か噂をしている人などの話を盗み聞きするのがいいのだろうか。もし、魔物のような存在がいるのだとしたら、森の中などを探すのが良いのだろうか。フリージアは街での調査か森の中の調査どちらが良いのかを考える。


ブルーメンベルクは城壁がない。そのため森の中には簡単に入ることはできそうだ。しかし、魔物のようなものがいる場合にはフリージアは死なないとしてもカタリーナは危険だ。


フリージアの悩んでいる様子を見て、カタリーナは近くにあった町のベンチに腰をかけた。


(待たせてしまっている……)


と少し焦りを感じ、


「ニーナ、森の方と町の方どちらを調べたい?」


とフリージアはカタリーナに聞いた。すると、カタリーナは疑問を浮かべた。なぜその二択なのか分からないような表情を浮かべていた。しかし、カタリーナが口を開く前に近くの街頭の近くに立ち、新聞を読んでいる男が声をかけた。


「君たち、森の中に行くのかい?」


「……行くと決めたわけでは、ないけど……。」


フリージアがそういうと、男はやれやれという顔をしながら新聞を雑にたたみ、言った。


「噂、知らないのかい?」


「噂?」


カタリーナが口を開く、すると男は揶揄うようにして言った。


「森の噂だよ。最近、猟師たちが森の中で行くへ不明になっているとか。それに、はっきりはしないが、生還した男たちも皆変なことを言っている。『森の中に、変な奴がいるんだ……!あれは悪魔の僕に違いない!』ってね。」


と男はその猟師たちの発言を面白おかしく真似をした。


「変な奴?悪魔の僕?」


カタリーナは変だと思い、不思議そうな顔をして聞いた。フリージアはその言葉に耳を傾ける。その男はまるで、目の前の少女たちを怖がらせたいと思うように言った。


「なんでも腕が六本あるとかなんとか。」


「それよ!」


「それ!」


フリージアとカタリーナは顔を見合わせる。目の前の男はその二人の発言に困惑した。


「嬢ちゃんたち?どういうことなんだ?」


「ごめんなさい!もう行くわね!」


そう言って、カタリーナはフリージアの腕を引いた。フリージアはカタリーナに腕を引かれながら、その男に手を振った。その男は困惑しながらもフリージアに手を振りかえした。


 森の方へと足を運ぶと、猟師と思われるグループの人たちにフリージアとカタリーナは声をかけられた。するとカタリーナはどうやら見知った顔があったらしい。


「カタリーナお嬢様!どうして、こちらに?」


礼儀正しき若者の一人がカタリーナに声をかけた。フリージアはカタリーナの横でその男たちを見た。見るからに屈強そうな男の人が多い。カタリーナは少し気まずそうな顔をしながら答えた。


「えっと、探検よ!」


「探検ですか……?この森は最近危険なのです。お嬢様に何かあってからでは困ります。お引き取りを。」


とその若者はカタリーナに言った。カタリーナは


「でも!」


と反論しようとしたが、それをフリージアが止めた。


「分かりました。帰ります。」


「ちょっとフリージア!」


「ご友人でいらっしゃいますか?カタリーナお嬢様をお願いいたします。」


とその若者は少しホッとした表情で森の奥へと仲間につられ、入っていった。カタリーナはフリージアのことを少し睨んで言った。


「どういうつもり!?」


「落ち着いて、彼らをついていけばいい。」


その言葉にカタリーナはなるほどと言わんばかりの納得した表情を浮かべた。フリージアは思わず、作戦を決行させるためとはいえ、嘘をついたことを恥じた。しかし、反対にカタリーナは嬉しそうな顔を浮かべてフリージアに、


「ありがとう!フリージア!行きましょう!」


と笑顔でいうものなので、フリージアにとっては良い嘘のように感じられた。


その猟師たちを後ろから姿を捉えられる距離で着いていく。バレないようにとその行動は慎重だった。幸いにも今日は風が吹いており、草や木々の揺れる音が多くしていたため、足音でばれる心配はなさそうだと思った。フリージアとカタリーナはアイコンタクトをとりながら、どんどんと奥の方へと進んでいく猟師たちの後を着いて行った。


「あ、ああああ、ああ、、あ、」


と若干であるが、何かが苦しんでいるような声がする。その猟師たちが進んだ奥の方から聞こえるようだった。人の苦しんでいる音にも聞こえるその音はこの森で聞こえる声としては異常だ。カタリーナが膝がガクガクと震えており、進むのにも大変そうな様子だった。フリージアはその様子を見て立ち止まる。


その途端、森の奥からマスケット銃と思われる音が鳴り響いた。森に住んでいる鳥たちが一斉に飛び立っていくのが見える。その奥に潜んでいる何かと戦っているのだろうか。その銃声にカタリーナは腰を抜かしてその場にしゃがみこむ。フリージアはその肩を優しく撫でた。


しかし、銃声が鳴り止んだかと思うと今度は生きている人間の男の野太い悲鳴が聞こえた。


「ひい!化け物だ!つぎはぎだ!」


という声と共に猟師たちが一斉に走って戻ってくるような足音がした。フリージアはカタリーナの肩を少し持ち上げ近くの茂みに隠れた。その途端後ろの道を走って去っていくような音が聞こえ、フリージアはじっとその場に身をかげめ、気配を消した。その音が遠くの方へと消えていくのを確認した後、フリージアは先ほどの森の奥に耳を傾けた。先ほどの不気味な音は聞こえない。


「ニーナ!」


とフリージアがカタリーナに声をかけると、カタリーナは体を震わせて言った。


「もう大丈夫なの?」


「うん、もう大丈夫。」


そうフリージアが言うと、カタリーナはゆっくりと体を立たせ、


「ごめんなさい。行きましょう。」


とカタリーナがいい、二人は森の奥の方へと足を踏み入れた。

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