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ネクロマンサー〜手紙が紡ぐ旅路〜  作者: 西瓜すいか
第二章 つぎはぎの化け物〜宿場町ブルーメンベルクより〜
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第十二話『寂しき屋敷』

 フリージアとカタリーナは裏の方へとこっそり回った。裏の方へ行くと、そこにはレンガで高い壁が作られており、フリージアは入ることが不可能のように思った。もし、ここに入るとするならば、このレンガの壁もしくはその壁に沿う様に植えられている低木を登り、上から飛び降りるしかないだろう。しかし、カタリーナはそんなことお構いなしのように低木を掻き分けた。フリージアは何をしているのかと思ったが、カタリーナについていくと何をしているのかが分かった。


カタリーナはレンガの壁に開いている穴を探していたのだ。人が一人匍匐前進で進めば通れるだろうぐらいの穴は開いていた。シーとカタリーナは口の前で人差し指を立てて、ジェスチャーをした後、その穴の中をくぐり抜けていった。フリージアもそれに続く。


そして、カタリーナはこっそりと窓から侵入した。カタリーナがフリージアに向かって合図をしたので、フリージアもそれに続いて、窓から侵入した。そして、カタリーナは言った。


「私の部屋へは大広間を通らなくちゃいけないの。」


その言葉にフリージアは若干肝を冷やした。バレてしまったら、この家のものからも迫害を受けるのだろうか。しかし、カタリーナは震えているフリージアの方を見て言った。


「何かあったら、私が誤魔化すから大丈夫よ!」


カタリーナのその自信に満ちた発言にフリージアは少し安心するものの、若干の不信感を持っていた。


カタリーナと共に足音を顰め、フリージアは大広間寸前の廊下までたどり着いた。ここに来るまで全く人に合わなかったことにフリージアは不思議に思った。マールテンのいた城ほど広くないにしても、使用人がここに来るまでに全くいないなんてことはあるのだろうか。


(マールテンの城にはどこに行っても、使用人がうろついていたのに……)


それにこの屋敷はあまりにも静かすぎる。静かであまり人の気配がしなかった。壁についている照明は汚いというほどではないが、使用人が毎日掃除をしているのか疑問が出るぐらいに埃がかぶっていた。フリージアは若干の疑問を抱えたまま、カタリーナが


「あとこの大広間を突破すれば、私の部屋まで行けるわ!」


とまるで、小さな冒険をしているようにワクワクした声色でいうのに対し、フリージアは少し笑顔になったのだった。大広間に続くドアを開け、大広間を早足で抜けようとしたところで、


「お嬢様!」


と誰かの声が聞こえた。その声にフリージアは身を固め、カタリーナは顔を青くして、震えた声で、


「……フェリーネ。」


と言った。その女性はおそらくこの屋敷に勤めている使用人と思われ、メイド服を着ていた。その顔立ちからかなり長く努めているのではないかとフリージアは考えた。その使用人は目の下に大きな隈をつけていて、ここ最近は忙しかったことが推測できた。そのフェリーネと言われた女性は少しため息をついてカタリーナに言った。


「お嬢様!今、家をあまり出てはいけません!お坊ちゃんが亡くなった直後なのですよ!」


「ごめんなさい。フェリーネ……。」


そう言って、カタリーナは頭を下げ、反省しているという態度を見せた。そして、フェリーネはフリージアの方を見た。フリージアは今すぐにでもこの場から逃げ出したい心情に駆られたが、今逃げても屋敷の外からは出ることはできない。フェリーネはフリージアの顔を見た後、


「とても綺麗なお嬢さんですが、どちらから?」


と尋ねた。警戒はしているものの、今すぐ追い出そうなどの感情は感じられず、何かこちらを探っている様だった。フリージアはどう答えれば良いのか悩んでいると、フェリーネはフリージアの全身を観察し始めた。すぐにフェリーネはフリージアのヴィントモレンの商会の証が刻まれた手袋に気づいた。そして、フェリーネは顔を真っ青にして慌てて、


「これは、申し訳ございません……!ヴィントモレン商会の方でいらっしゃったのですね!すぐにでもこの屋敷の主人に報告して参ります!」


と言った。しかし、屋敷の主人に報告されてはたまったものではないと感じたフリージアはすぐに止めようとしたが、大広間に続いている大きな二本の階段の一つの扉が音を立てて開いた。そこから出てきたのは、若い男性の使用人と大柄の平たいレースのついた襟に腕の先の部分には大きな切れ込みが入り袖が膨らんでいるような服を着た男だった。その男の方がこの屋敷の主人であるとフリージアは感じていた。


「旦那様!こちら、ヴィントモレンからのお客人、」


「違うわ!私のお友達で!」


フェリーネがそう言ったところにカタリーナは被せるようにそう言った。カタリーナはフリージアはヴィントモレンの商会の方と紹介されることに腹を立てていた様だった。


「お嬢様!」


そうフェリーネが怒ろうとしたところで、この屋敷の主人が言った。


「ああ、そうなのかい。仲良くね。」


その会話でこの屋敷の主人からフリージアはカタリーナの友人だと認識したと悟ったが、この屋敷の主人はまるで目に生気を宿していない様だった。死体というわけではない様だったが、この屋敷の部外者であるフリージアのことはどうでもいいと言った感じであった。その後またすぐに屋敷の主人は扉の方へと引き返して言った。フェリーネは急いで謝罪する。


「申し訳ありません。御坊ちゃまを失われた悲しみに伏してしまっているようで、最近はずっとあのような感じなのです……。」


フリージアはその光景はアレントが死んだ時と重なって少し悲しくなった。

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