第三十六話(最終話):三発目、今度こそ入れてみせるで候!
誠司の物語、ここでいったん完結。
でも、終わりじゃない――「三発目、今度こそ入れてみせるで候!」
その言葉に、すべてが込められている。
それでは、
全力で、泣ける最終話をお届けします。
俺は、“出せない人間”だった」
自嘲気味にそう口にした日から、どれだけ経っただろう。
タイトルだけでバズった処女作。
『もっこり大戦争』。
内容なんて誰も語らなかった。
それなのに“伝説の一発屋”として、名前だけが独り歩きした。
そして、そのあとが――出せなかった。
何度書いても、途中で止まる。
頭では出したいのに、心が立たない。
誠司は、そんな自分に絶望していた。
だけど――
そんな彼に、手を伸ばしてくれた人がいた。
「ちゃんと、“中まで読んでくれる人”が、いたんだよな」
三ツ谷。
元作家。未完の物語を抱えた編集者。
彼女もまた、自分の“続きを書けなかった人間”だった。
でもふたりは、出会った。
出せなかったものを、一緒に書くことができた。
『その名前、まだ入れてないだけ。』
あの一発目が、“ちゃんと読まれた”とき、
誠司の物語は動き出した。
そして今。
「三発目、いくんだろ?」
誰に言われたわけでもない。
自分の中から、自然とそう聞こえた。
誠司は、三ツ谷のUSBに入っていたラストの原稿を開いた。
そこには、たった一言だけ書かれていた。
『続き、欲しいって言ってくれたから。
今度は、“あなたと”出したいです。』
彼女はもう、どこにも逃げていなかった。
出せなかった自分を許し、
出しきった彼の隣に、ちゃんと立っていた。
「……俺、“三発目”書くよ。
もう、ふざけて笑われるのも、誤解されるのも怖くない」
誠司はキーボードを叩く。
もう、止まらない。
画面に表示される、新しい物語の一行目。
『これは、一発屋だった僕が、
本当に“愛される物語”を出そうと決めた日の話。』
タイトル入力欄に、こう書いた。
『三発目、今度こそ入れてみせるで候!』
その瞬間――
どこからともなく、あの声が聞こえた。
「先生ェェェェェェェェ!!三発目なら任せろォォォ!!」
「モッコリウス!? まだいたのかよ!!?」
「貴様の中でワシは生きておるッッ!!さあイクぞォォォ!!!」
「うるせぇええええええ!! でも……ありがとな!!」
笑いながら、誠司は涙をこぼした。
バカみたいにふざけた物語だった。
でも、誰よりも真剣だった。
「俺はまだ、立てない日もあるかもしれない。
でも、もう書けないなんて言わない」
「“次”を待ってくれてる人がいる限り――
俺は、出し続ける作家でいたい」
✨――完――✨
読者のみなさんへ。
もし、あなたにも「出したくても出せなかった想い」があるなら、
この物語を読んで、ほんの少しでも“書いてみよう”と思ってくれたなら。
それが、誠司にとっての――三発目です。
さあ、次は君の番だ。
もう、“立てない”理由なんて、いらない。
(第二部・開幕予定アリ)




