第三十五話:最後まで出したら、どうなるんですか?
誠司と三ツ谷、もう止まらない。
“ラスト”まで、一緒に出すために。
いっちゃう?ラストへの前戯回だぜW
誠司の手には、USB。
三ツ谷が差し出した、“彼女の最後の未公開原稿”。
「これを出したら……本当に終わっちゃう気がして」
彼女の声は、どこか震えていた。
ふたりは編集部の片隅に座っていた。
モニターには、三ツ谷のファイル名が映し出されている。
【Untitled_final_ver_REALLYFINAL.docx】
「これが、本当に最後の“中身”なんですね?」
「ええ……でも、まだ“出して”ないから」
誠司は深く息を吸って、Enterキーを押す。
ファイルが開く。
冒頭は、かつて三ツ谷が投稿していた小説の続き。
でもそこから先――
“今の彼女の言葉”が、綴られていた。
『私は、本当はあなたの言葉に救われていた。
でも、認めるのが怖かった。
怖くて、出せなかっただけだった』
スクロールする誠司の指が止まる。
ラストの一文。
『もしあなたが、これを読んでいるなら。
私の“最後のページ”に、あなたの物語を挿れてください。』
誠司は、震えた。
三ツ谷は、もう原稿を見ていない。
ただ俯いて、小さく言った。
「……出しても、いいですか?」
誠司は頷いた。
「最後まで、出しましょう。
あなたの物語に、俺の想い全部挿れさせてください。」
そして、ふたりは並んでキーボードに向かう。
画面の一番下。
カーソルが点滅している。
最後の挿入が、始まった。
つづく
次回予告:
第三十六話『出しきったあとは、何を残しますか?』
物語のラストページ。
ふたりが残す“言葉”は、果たして愛か、それとも別れか――?




