第三十三話:まだ中、出してないよね?(再)
「三ツ谷の物語を、誠司が“最後まで挿れにいく”ターン」
ここまで誠司が書いてきたのは、“自分の物語”。
でも今度は違う。
これは、三ツ谷が書けなかった物語の“続きを、誠司が書く”話なんだ。
深夜の編集部。
机の上には、一冊の古いノート。
表紙には手書きの文字でこう書かれていた。
『空っぽの心に花を挿して』
それは、三ツ谷がかつて投稿していた未完の物語。
誠司が偶然見つけた、**彼女の“出しそびれた中身”**だった。
「どうして、ここで止まってるんだろう……?」
誠司は、物語のラストページの空白を見つめる。
主人公の女の子は、最後に誰かに“手紙を書く”ところで終わっている。
肝心の手紙の内容が、書かれていなかった。
そこへ、三ツ谷が静かに入ってきた。
「……見つけちゃったんですね」
誠司は、そっと彼女を見た。
「……まだ、中、出してないよね?」
三ツ谷は少し笑った。
「……うん。
怖かったんです。
書いてしまったら、それが“終わり”になっちゃう気がして」
「だったら――俺が書くよ。
続きじゃない。“答え”として。
……あの子への手紙を、俺の言葉で書いてもいい?」
三ツ谷は、目を伏せて、そっと頷いた。
数時間後。
誠司は、書き終えた1ページを、そっと三ツ谷に差し出す。
『君が空っぽなら、俺の中身を全部あげる。
怖がらなくていい。
物語は、終わらせなくてもいい。
一緒に挿れ続けていけたら、それが“幸せ”ってことなんだと思う。』
三ツ谷は、黙ってそれを読んでいた。
ページを閉じたあと、ぽつりと呟いた。
「……やっと、“中”まで、出せた気がします」
つづく
次回予告:
第三十四話:もうどっちのが先とか、わかりません
三ツ谷と誠司、初の共作短編を“完全リンク作品”としてリリース!
読者たちの反響と、二人の距離が“確定演出”を迎える――!




