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第二十五話:このまま、出してもいいですか

「このまま、出してもいいですか?」


原稿を送りながら、

誠司はLINEのメッセージ欄に、

ついさっき書いたこの一文を何度も見返していた。


「いや、重いだろ……? これ、“ガチ告白”に聞こえるだろ……?」


でも、それでも送った。


今回の原稿は、これまでとは違っていた。


三ツ谷の書いていたであろう“未完の物語”。

そこに誠司なりの答えを込めた。


“君の心が空っぽなら、僕が物語を挿れるよ”


そのセリフが、原稿のラストにある。


自分でもバレてる。

この原稿は、“仕事”じゃない。


誠司はスマホを握りしめたまま、

通知が来ない画面を、じっと見つめていた。


1時間後。

既読、つかない。


2時間後。

メールは開封されたが、返信なし。


「……もしかして、やりすぎたか……?」


そのとき。

スマホが震えた。


【三ツ谷:……原稿、読みました。】


誠司の心臓が跳ねる。


【ちょっと、泣きました】

【……でも】

【これはもう、“私の物語じゃない”ですね】


【だから、出していいです。

このまま、全部。

“あなたの物語”として】


誠司の目に、じんわり熱がこみ上げた。


ノートPCを開く。


出版ファイル名:


『空っぽの心に、君を挿れる』ver.final


「ありがとう。

……じゃあ、俺、“全部出す”よ」


つづく

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