元号を定めた初代女王の孝行心
挿絵の画像を作成する際には、「AIイラストくん」を使用させて頂きました。
建国の詔の公布と即位式。
これらを滞りなく遂行し、私こと愛新覚羅紅蘭は中華王朝初代女王として正式に認められました。
我が国が立憲君主制国家である以上、紀年法にも元号を採用して然るべき。
そこで我が治世下の元号を朝議で定める事となったのです。
「陛下の候補案である『栄起』は、『起きて栄える』と解釈出来ますね。」
「正しく建国の年に相応しい元号です。」
太傅と軍師の賛同は喜ばしい限りでした。
「完顔夕華、張荒烈。そう仰って頂き恐悦です。実は恥ずかしながら、この元号には私情が入っておりましてね。母の名から一字頂いたのです。」
清朝最後の皇帝の娘である母の栄蘭とは、幼少時に死別致しました。
従って私は、母の顔を写真でしか見た事が御座いません。
そんな母の名を、何とか我が国の歴史に刻みたい。
私の心の底には、そんな本心があったのです。
それを後押しして下さったのは、亜父と慕う相国なのでした。
「私情なものですか、陛下。この徐福達、陛下の王太后への孝行心に感服致しました。」
「亜父…」
こうして亜父を始めとする文武百官の賛同により、私は母の名を冠した元号と共に治世を始められたのです。
母の名に誓って、善政を敷かねばなりませんね。