邪教聖女~ピンクブロンド男爵令嬢、私物を壊される件
ちょいと、上級生のお姉様方、お止め下さいな。それは、私物でございます。壊さないで下さいませ。
人をお間違いではないですか?あたしは、サリーという、訳ありのケチなピンクブロンドの聖女でございます。
貧民出身でございますよ。
「サリー!ピンク頭!」
「琵琶を持って、今、音楽の授業中じゃなかったの?」
「話し方が違う・・・」
最近、私物がよく壊される。
いえね。名もなき職人がつくった。どこにでもある学用品ですが、名をあげるため、一品、一品心を込めてつくっているに違いありません。それを壊すのは、淑女のなさることではありませんよ。
あたしゃ、貧乏男爵家の養子の身、また、買ってもらうのも気が引けるってもんでさ。
べベン♩
「どうか、お止め下さいませんか?」
ペコ!
「そう、バレちゃ、仕方ないわ。私たちは、エリザベス様の取り巻きよ!貴女、最近、殿下に近くなくて?」
「そうよ。エリザベス様の命令よ!」
「絶対に、絶対に、殿下に言ってはいけませんわ!命令よ!」
「クク、取り巻き?お里がしれますね」
上品なご令嬢は、『学友』『側近』というのではなくて、
「その殿下って、どちらの殿下でございましょうか?」
「「「!!!」」」
「エリザベス様の婚約者、ヘンドリック王太子殿下に決まっているでしょう!」
「まあ、どちらでも、ようございます。お止め下さいな。あたしの養子先は、貧乏男爵家さ。貴公子捕まえてこいこい。うるさいけど、恩はあるのさ。面倒な政争に巻き込むのはやめてくださりませんかね」
ガラガラガラ~~~
「「「殿下!」」」
「ここに来てはいけません」
「このピンク頭、何か変です」
「フフフフ、アハハハハ、話は聞いた。ここまで、推理するとはな。兄上と話す時とは違うではないか?」
『キャー!キャー!殿下ぁ、あそこに、猫ちゃんがあるいてますぅ~~~』
てな、感じではなかったか?
「そりゃ、ヘンドリック殿下は、誠実で、お顔がようございます。黄色い声が出るってものですわ」
「兄上が好きではないのか?」
「そりゃ、略奪愛は避けるもの。恋は秘めるものでございますわ。ルスカ第2王子殿下」
「どうだ。俺の企みに乗らないか?兄上に、エリザベス様の取り巻きに、私物を壊されていると吹聴してくれないか?そしたら、証人と証拠はそろえよう。
そして、私は、エリザベスと、結ばれるのだ!
たった、1年、生まれるのが早かっただけで、兄上は、王太子で、公爵令嬢エリザベスと結ばれる!
私は、地方の侯爵家だぁ!なあ、世の中、不公平ではないか?
貴様も、聖女なのに、貧民出身というだけで、教会に白い目で見られ、力があるのに、未だ男爵令嬢だ!
どうだ。手を取れ!一緒に、下剋上をしようじゃないか?!」
ベベン♩
「殿下、お心違いでございますわ。私が、白い目で見られているのは」
ベベン♩べべベン♩
「訳あり。それも、邪教持ちだからでございます。
【術式!東京大戦果研究会!グレート勤業会、国会証人召喚の仏難!】
南無妙法蓮華経!南無妙法蓮華経!南無妙法蓮華経! 南無妙法蓮華経!南無妙法蓮華経!南無妙法蓮華経! 南無妙法蓮華経!南無妙法蓮華経!南無妙法蓮華経! 南無妙法蓮華経!南無妙法蓮華経!南無妙法蓮華経!・・・・・・・
「うわ。く、苦しい」
「「「キャアアアーーーーー」」」
・・・・・・
『佐里!仏敵調伏の勤行!3時間やるわよ!』
『お母さん、ヤダよ・・・・』
『ピキー!ミョウザイ天とベンザイ天は見ているのよ!ご本尊に報告するのよ!』
『分かったよ』
南無妙法蓮華経!南無妙法蓮華経!南無妙法蓮華経! 南無妙法蓮華経!南無妙法蓮華経!南無妙法蓮華経!
・・・・・
「うわーーーーー!」
ドタン!
「「「ヒィ!」」」
第2王子殿下と、お姉様方は、倒れたか。王子は、まだ、意識はある。
「こ、これは、何だ」
「さあ、業が出ているのでさ。業が苦しみを与えているって言っている。業って、あたしにも分からなかったのさ。サリー不二!これで、あたしと、呼吸を合わせられるのさ」
「何だ。そりゃ・・意味分からない」
「分からなくて、正解さ」
「・・ウグ・・・私を倒しても、伯父上がエリザベスを狙っているぞ・・・・・」
ドタン!
それだけ言って、意識を失ったか。起きたら、脳内お花畑。
・・・スパダリか。
キーンコーンカーンコーン!
☆生徒会室
「サリー、遅いぞ。音楽の授業ばっくれたそうだな」
「テへ、殿下ぁ、ごめんなさい~」
「サリー様、少し、近くないですか?」
「ええ~、エリザベス様の言っていること、サリー、分からない~~」
ガラガラガラ~~
「学園長!」
「伯父上!」
・・・校長、こいつが、スパダリか?
ファンが多いな。悪役令嬢エリザベス様、ヘンドリック殿下苦難の道だぜ。
ヘンドリックを王にすれば、少しはマシになる。
「ところで、耳に挟んだのだが、サリー君の私物が壊されていると聞く。皆で、捜査をしよう」
「学園長ぉ、サリーの勘違いだったの~、テへ」
「な、何?何かないか?他に、悩みとか・・・」
「学園長どの、それこそ、副学生長の私の役目ですわ」
「テへ、エリザベス様、あたしの家の猫ちゃんが、子猫を産んで、可愛すぎで、学園に行きたくないの」
「真面目な話ですわ!」
「アハハハ、仲が良いな」
さて、スパダリか。どうやって、サリー不二で、沈めようか?
サリー、ジョブ聖女、ギフト・・・マインドコントロールであった。
あれから、第2王子と令嬢たちは、闇のない笑顔を振りまくようになる。
最後までお読み頂き有難うございました。