セリエに巻き起こる非日常
5年前
オランドル=シュタグラス村にて
鏡の目の前に立ち、私は自分の容姿を改めて見つめ直す。
「大丈夫。きっとどうにかなるはずだから」
私、レイラ=ユリウスは自信をつけるよう、そう鏡の前の自分に言い放った。
セリエ=ユースター
彼女は不安を抱えつつも騎士団の執務室にて、作業を行っていた。
その時だった。
チリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリンチリン!!!!!!!!!!!!!!!!
突如として外のドアノブに設置されているベルが大きな音を立て始めた。
「な、何!?」
セリエは突然の出来事に思わず立ち上がり、叫んだ。
すると、ドアの外から声が聞こえてくる。
「いえ〜〜〜い!!セリエちゃん!!元気してるぅ?!」
「げっ、その声は!」
そうその声は騎士団と仲が悪く、セリエにとって天敵なような存在だった。
バンッ!と勢いよくドアが開け放たれると、そこには見覚えのある双子が突っ立っていた。
「ララ、ロロ……」
「ん〜?何さ、そんなに嫌そうな顔しちゃって」
「ピタッとハウス。お〜、ここがセリエの執務室ですか。よく整っているではありませんか」
「入室の許可を出した覚えはないんだけど?」
「いやいや、何言ってんのさ。ちゃんと入る合図したじゃんか」
「私の超連続ベル鳴らしが聞こえませんでしたか。では改めてもう1回」
「あぁ!もう分かった分かったから!もう1回鳴らさなくてもいいから!」
セリエはため息をつきながら、改めて2人を見つめる。
「で、あたしになんの用?」
「用?用なんてべっっつに何にもないよ〜」
「ただ仕事をサボってないか監視しにきただけです」
「は、はぁ!?」
2人の予想外の回答に、セリエは若干の怒った表情を浮かべた。
「まぁ、そんな訳でこれからも監視をし続けて行こうと思うから、よろしく〜」
「あでゅー」
そう言うと2人はセリエのいる部屋から退出して行った。
「なっ……なんなのよあいつら!」
いや、気にしても仕方ない。
それに仕事してるかの確認なんて、そう多くする必要がない。きっとあの1回でもう飽きることだろう。
そう思うことしたセリエは仕事へと戻っていった。
しかし……
「とうっ」
「アダッ!」
中庭を歩いてたセリエは突如として現れたものにつ躓き転んでしまった。
「な、なんなよ……一体」
「ぷー!クスクス。転んでやんの!」
「さすがに今のはダサいです」
何が起きたのか分からず戸惑うが、声のした方を見つめ、全てを察する。
「また、あんたたちかっ!」
「何よ何よ、なにか文句でもあんの?」
「今のは不注意で歩いてたセリエが悪いと思います」
「くっ!」
目の前にいたのはララとロロ。
恐らく、歩いてたセリエに足をかけ転ばせたのだろう。
「ま、今のは私たち悪くないし!だって"たまたま"歩いてたら足がセリエのにひっかかっちゃっただけだし」
「じゃあ、私たちはこれで。アデュー」
「ちょ!あんたたち!」
セリエの呼び声も虚しく、ララとロロは逃げてしまった。
「あいつらほんとに許さないんだから!」
二度あることは三度ある。
先人はそう言っていた。
もしかしたら、ララとロロからの嫌がらせ三回目もあるかもしれない。
そう警戒心を強めるセリエはこんばんの夕食を作ろうと棚を空け……
ブワァッ!!!
「!?!?!?!?」
突如としてセリエの視界が真っ白に染った。
正しく言うならば棚の中に入った小麦粉が、棚を開けたことでひっくり返りセリエの顔へ降り注いだのだ。
「ゲホッゲホッ……な、なんなのよ一体……」
セリエは当たりを見回し、小麦粉が降り注いできたことを察する。
だが、一つ疑問が生じる。
いくら適当に小麦粉を棚に入れたとしても、そう簡単にひっくり返ることなんてあるだろうか?
そんなことを考えていると、真後ろから突如として笑い声が聞こえてきた。
「ギャァーハッハッ!ヒィーッ!お腹痛い!単純な罠でこんなにも上手くいくなんて!」
「ククッ……笑いを堪えられません……だって棚を開けると、顔に小麦粉をサーッと」
「イヒヒ!やめてロロ!わ、笑っちゃうじゃん!やばい!まじでお腹痛いんだけど!どうしよ!」
「あ、あんたたち……」
セリエは我慢の限界に達したと言わんばかりに、両拳を握りしめ、顔を俯かせて、体をプルプルと震わせる。
「あおっと!セリエちゃんがついに怒った!」
「セリエ選手。カンカンに怒ってますが、顔が真っ白なため赤いのかよく分かりません!」
「いい加減にしろ!!!!」
セリエが怒鳴ると同時、ララとロロは勢いよく逃げ出した。
セリエは追いかけようとするが、今の自分の惨状を省みて足を止める。
今、外に出れば嘲笑の的だ。
セリエは鏡に映る真っ白な顔と、真っ白な服を見てため息をつく。
「うぅ……お気に入りの服だったんだけどな……」
ララとロロからの執拗な嫌がらせは、今日の分はこれで終わった。
そして次の日。
「はぁぁぁぁぁ!!!!」
セリエはわざとらしく盛大なため息をついた。
だがそれもそのはず、なんせ朝起きて騎士団の仕事に着くまでの間、色々あったのだ。
例えば家のドアを出てすぐ先に仕掛けられていたロープに引っかかったり、歩いてる道中突如落とし穴に落とされたり、靴箱をみれば靴ではなくサンダルになってたり、階段を登っていたらタライが落ちてきたり……。
「一体全体、どうなってんのよ……」
セリエはもう既に嫌気がさし、机に伏せる。
「おやおや〜、セリエちゃんが勤務中なのに疲れてるぞ〜」
「仕事をサボってる悪い子発見です。騎士団長代理さーん。女王陛下でもいいですよ」
「ちょちょちょ!!」
セリエは慌てて起き上がると、目の前に天敵となる二人が現れていた。
「ララ……ロロ……あんたたち……」
セリエは二人を見るや否や。
もう怒る元気もないとばかり、疲れた表情を見せる。
「んー、何だかもう一日分の仕事をこなしたと言わんばかりの表情だね」
「しかし、私たちの仕事はこれからだ。です。ブイッ」
「…………」
セリエはもう返す言葉もないと言わんばかりに無言を貫く。
「なーんにも反応してくれないじゃん。つまんないの。ま、今日はそんなセリエちゃんに耳寄りな情報があってね。それを伝えに来たの」
「……耳寄りな情報?一体何なのよ……」
「ふっふーん。西日の乙女って言葉、聞いたことある?」
『西日の乙女』その言葉を聞いた途端、セリエはビクンッと身体を震わせ、目を見開き驚いた表情を見せる。
「なっ、なんでそれを……」
「はっはーん。その反応、ビンゴみたいだね!」
「!?し、しまった!?」
「おやおや、やはり優秀なセリエちゃんにも隠し事の一つや二つあるのですね」
ロロは眉毛を動かし興味ありげな仕草をし、ララはキャハハと笑う。
「うんうん。情報がほんとに正しいのか、半信半疑だったけど。どうやら確定みたいだね!」
「セリエ。私たちが何を言いたいのか分かってますよね?」
「くっ!」
セリエは歯を食いしばり、二人を睨みつけ言う。
「それで、私に一体何を望もうって言うの?」
次話は今週中に投稿できるといいな……




