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レイラとイリスの剣技練習

「はぁっ!」


私、レイラ=ユリウスは両手で剣を持ち、勢いよく対象に向かって振りかざす。


「ふん!」


その振り下ろされた剣先をイリスも剣で受け止める。

剣と剣がぶつかる音が森の奥深くまで鳴り響く。


「くっ!」


あっさりと剣を受け止められてしまったことに歯噛みし、頬を汗が伝う。

次の手を、そう考えている間に数瞬ではあるが隙が生まれてしまった。

イリスはそれを見逃さずすぐさま剣を上へと押し上げる。


「うげっ!?」


持っていた剣が押し上げられたことにより、バランスを崩し剣を上後ろへと掲げたまま仰け反るという不格好な姿勢となってしまう。

それに対しイリスは剣先を、こちらに向け切り裂こうとしてくる。


「っ!!」


攻撃が迫ってくる。危険と次にくる痛みを察知し私は勢いよく目を瞑る。しかし、痛みが襲って来ることは無かった。


「……?」


私は恐る恐る目を開けると、両の掌で持っていた剣を左手に持ち替え、私の服の胸元を空いた右手で掴みかかってくるイリスが見てとれた。

そして。


「どわっ!?」


右手で胸元を掴むと、私の体をイリスの方へと手繰り寄せる。それと同時にイリスは左足で足払いをしてくる。バランスを崩し素っ頓狂な声を上げながら私は地面へと組み伏せられた。


「うぅ……」


「はい。一本」


イリスはそう言うと左手に持っていた剣の柄で私の額を叩いてくる。


「痛っ!」


ジーンとした痛みが叩きつけられたところから額全体へと広がっていく。イリスが起き上がると同時に、私は両手を額に持っていき蹲った。


「容赦なさすぎだよ……」


「これくらいしなきゃ特訓にならないでしょ。ほら立って、次行くよ」


何をしていたかというと、これは私が頼み込んでイリスに特訓して貰っていたのだ。

まぁ、誤算だったのは想像以上にイリスがスパルタだったことだが。


「す、少しハンデ貰えない?」


「ハンデを貰って本当にそれで特訓になるの?」


「そ、それは」


「元はレイラが頼んできた特訓なんだし、嫌ならやめてもいいんだよ?」


「っ!まだまだ!」


私がこうしてイリスに特訓を申し込んだ理由。

それは先日のデートに起因する。

あの時、突如として襲いかかってきた魔法研究省。それと似たようなものがこれから先も襲いかかってくるかもしれない。そう考えた時、あの二人より強い人が襲いかかってきた場合本当に勝つことが出来るのだろうかと思ってしまった。

それらを撃退するには私も強くならないといけない。少なくともイリスについて行けるくらいには強くなっておきたいのだ。


当然、私が張り切ってる理由はそれ以外にもある。

それはイリスの指導だ。

以前、イリスと魔法の特訓とやらをした時はまだ仲良くなりきれていなかったからか、それともただ単にめんどくさかっただけなのか、あっさりと終わってしまった。

だけど今回はイリスも十分にやる気がある。だから私もそのやる気に答えないと意味が無い。


「うおおおお!」


「……剣を振る時、隙がありすぎ」


「ふぐっ?!」


だからといってイリスに勝てるかと言われるとかなり難しいですが。


何回か実戦形式でやってみたがことごとく私はイリスに敗れた。その度に額を剣の柄で叩かれたのでかなり痛かった……。


「いてて……」


「今やってて思ったけど剣筋とかは悪くないね。やっぱり元々の運動神経がいいのかな」


イリスは今の一連の流れを見てそう判断する。


「今はまだ見よう見まねで動かしてる状態なんだと思う。色んなパターンを経験しておけば動きのレパートリーが増えるからこれを続けていけばものすごく良くなると思う」


それを聞き倒れ伏していた私はカッと目を見開いた。


「本当!?」


「うお、元気になった」


「それを続けていけばイリスに並べるくらいにはなれる!?」


「うーん。レイラがどれくらいになるのを目指してるのか分からないけど、全然なれると思うよ」


「ぬおー!それならもっともっとやらせてください!何ならもっと激しいやつでも!」


「えっと、やるの自体はいいけどその分しごきも激しくなるよ?レイラってもしかしてM?」


「Mかどうかは分からないけど、やる気だけはあるよ!」


「そっか、なら良かった。でも剣での戦闘だけでなく次は魔法とかそっちの練習もした方がいいんじゃない?」


「でも私に魔法は扱えないんじゃ?」


「以前はね。でも前言った通り、魔法を使えるのは魔女の影響によるもの。私の近くに居続けたレイラなら微力ながら、魔法が宿ってると思うよ」


「なんと!」


「だから……」


もしそれが事実であるならこの上なく、嬉しい事実だ。私は興奮を抑えるようにごくりと息を飲んだ。

するとイリスは左の手の平を上げると言う。


「とりあえず、この手に握り拳を打ち込んでみて。それでどうか見るから」





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