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二人の魔法

「熱い友情パワーさえあれば何だって勝てるってか!?じゃあ現実見せてあげるよ!この天体を覆い大地を支配せし生物!根を張り苗木で全てを払え!」


ララはこちらに向けて詠唱を開始しだす。

何か魔法が来る。

そう思いそちらへの警戒をより一層強めた。


千本苗木(ミールリヴスミ)!」


すると詠唱が終わった直後、ララの両隣の大地が大きく盛り上がりうねった。

そして地面に亀裂が入り割れ、巨大な何かがそこから顔を出した。


「……あれは!」


巨大な根が地面から飛び出し束となってこちらへと向かってきていたのだ。

束となった根がうねり、鞭のようにしなってこちらへと振り下ろされる。

私とイリスはそれぞれその根の両隣へと逃げそれを回避する。

振り下ろされた根は地面へと激突し、鞭を打ったかのような音が辺りへと鳴り響いた。


「これは中々すごい威力だな……」


一撃でもくらえば再起不能になるくらいの威力がそれにはあった。

ここは何とか一撃もくらわずにこの場を収めたい。


「レイラ!こいつは植物魔法だ!地面から出現させた植物を操り、対象へと攻撃を行う!かなり広範囲に攻撃を行うことも可能だから気をつけて!」


そう考えていると隣からイリスの声が聞こえてくる。

どうやら今の攻撃でどんな魔法か解析を終えたらしい。


「そいつはどうも!今の一瞬で相手の魔法を解析するなんて相変わらず頭の回転が早いね!」


「魔女になるとどうでもいい情報まで入ってくるからね!魔法解析とかそれくらいなら瞬時に出来るようになるんだよ!」


「じゃあその魔法とやらの弱点とかも分かるの?」


「いや、それは分からない!」


「がくぅ!」


「でもこの威力の攻撃、そう瞬時に打つことは出来ない!攻撃の合間の隙を狙うよ!」


「分かった!」


「全部聞こえてるよくそがぁぁぁぁ!!」


私たちが大声で話していたからだろう。

丸聞こえの会話を聞き取り、若干怒ったララが叫びながら次の攻撃を仕掛けてくる。

先程、地面に激突した根がうねり地面を平行に沿うような動きをして私たちの足を狙ってくる。


「ん!」


「ほっ!と」


根が足へと直撃する前に、根が通過した直後の地点に両手をつけそのまま逆立ちするかのように足を地面から上げ、根の動きを回避する。


「ふー!危なかった!」


私たちはそのまま駆け出し、ララの方へと向かう。


「うげっ!ルル!」


ララはそう言うと自らの右手を地面へとつける。

するとララの足元の地面がうねり、そこから巨大な丸太が出てきてララを空中へと押し上げた。


「くっ……」


「この!上へと逃げちゃって!」


しかし今、ルルとか何か叫んでたよな。

一体何をして……。


そう考えた瞬間、風を切る様な音が聞こえ瞬時に頭を後ろへと下げた。

すると頭を下げる前の場所を紫色のオーラ纏った刃が通り過ぎた。


「ちっ……」


舌打ちの方へと顔を向けるとルルが苦虫を噛み潰したような顔をしているのが分かった。


「そういや二人いたもんね。あなたも相手しなきゃいけないのはなかなか大変そうだな」


「めんどくさいな……レイラ、アクセサリー屋で何となく知ってだろうけどあれは対象に呪いを込める魔法だ。くれぐれも攻撃が当たらないよう気をつけて」


イリスは気怠げな感じで頭を掻きながらそう言った。


「当たったらどうなるの?」


「死にはしないだろうけど。動けなくなるとかそういったペナルティはあると思う」


「なるほどね。了解」


「舐めるんじゃないよ!」


すると丸太の上に乗ったララが叫び右手を横へと降った。

すると根がうねりこちらへと矛先を向ける。

とりあえず二人の攻撃を回避しながら一人ずつ無力化させていけば……。


呪篭呪法(じゅろうじゅほう)……」


「……!」


ルルはそう呟くと呪いのこめられたナイフを根っこへと突き刺した。

すると根の先端部分が紫色の禍々しいオーラを帯びて言った。


「いっ!?」


「まさか!」


身を捩り根を回避するとイリスのすぐ近くへと転がり込む。


「あれって……」


「恐らく二人の魔法をかけあわせたんだと思う。おそらく組み合わせによっては巨大な大技が出せるのかもしれない」


「それって結構まずかったりする?」


「大丈夫。ちゃんと避ければなんてことは無いから」


「簡単そうに言いますけどねぇ……」


根は向きへと変えこちらに襲いかかってくる。


「とりあえず私に考えがある。こっち」


イリスがそう言い終えると、足が地から離れる感覚がきた。


「ん?え、ちょ!」


よく見るとイリスの両手が私の足と背中を支えておりお姫様抱っこの姿勢となっていたのだ。

イリスは根を回避するように跳ね上がるとララとルルから大きく距離の離れたところに着地した。


「い、イリスさん?」


「レイラ、ちょっと耳を貸してくれないか?」


「ひゃ、ひゃい……」


イリスが耳元で囁くものだから動揺で声が裏返ってしまう。

なんなら顔も熱くなってきた気がする。


「あの二人に倒すにはとりあえず……」


イリスはそう言うとその作戦とやらを話し出した。

一方それを横目で見ていたララとルルは次の攻撃を仕掛けようとしていた。


「ちょっとー遠くに行っちゃったじゃん」


「大丈夫……私とお姉ちゃんの技を合わせればあそこまで届く」


「それもそうだね。それじゃ!」


「長距苗弾」


「呪飛呪法」


ララは地面から茎のものを生やしその先には一つの蕾があった。

そしてルルはその花に向け魔法を念じた。

するとその花が紫色に染まり、一輪の花を咲かせた。


「さぁ飛べ!あいつらに向けて!」


すると咲いた花から呪いの込められた弾が大量に飛び出した。

そしてそれは話し込んでいるイリスとレイラへと直撃しそうになり……。


「やられちまえよ!おぉん!?」


弾は彼女らにいる地面へと激突し土埃が辺へと舞った。


「ふふ……あはは!これで任務は完了した!すぐにリーシア様に報告してご褒美を……」


「何勝手にやられた扱いにしてくれちゃってるの?」


「……っ!?」


土埃から聞こえてきた声を耳にするとララは目を見開き驚いた顔でこちらを見つめた。


「何?」


「そんなに驚くようなことじゃないと思うけど……」


私の声が聞こえて来るのが信じられないといった顔立ちだが、これくらいでやられると思われるなんてさすがに過小評価過ぎないだろうか?

私がカードを使って張ったバリアとイリスの風魔法を使えばなんなく防げるレベルだった。


「レイラ……あの二人が息を合わせて攻撃してくるっていうならこっちも息を合わせて攻撃すればいい」


「分かった。じゃあここからが反撃の時間だ」

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