エピローグ
騎士団が行った魔女捕獲作戦は失敗に終わり、永久に中止となった。
それから三日経ち、私とイリスはカフェ店にてゆっくりと休んでいた。
「まぁとりあえず一件落着ってことで良かった良かった!」
「そうだね」
あの日からのイリスの態度は柔らかく……なってなかった。
しかしこうして私が話をしたいから呼び出しても素直に応じてくれるようになった辺り、僅かながらも確実に変化している。
あの時イリスが言った言葉は嘘偽りのない本音。
私に期待しているというのは間違いない。
だったらその期待に応えられるよう頑張らなきゃ行けないなと思う。
そう思いながら私は頼んだカフェラテに口をつけた。
ちなみにイリスが飲んでいるのはブラックコーヒー。砂糖もミルクも何一つとして入っていない。
やっぱり魔女になるとこう苦いものを好むようになるのか?
いや、ただのイリスの好みとも考えられるけど……。
「そういえばセリエらの騎士団はどうなったか、レイラは知ってる?」
「あぁ、そのことね」
騎士団は作戦が失敗したことにより、その他政治の中枢機関から猛批判を受けることとなってしまったらしい。
また今回の騒動はエーデルワイスらを1部の人間が独断で行ったこととされ、彼女らの処分については現在審議中であるらしい。
作戦を命じたのは上の人らであるはずなのに責任を擦り付けるあたり恐ろしい。
ちなみにエーデルワイスとセリエは現在もこの村に残っており、最低限現在の魔女についての報告とこの地域についての調査を行っている。
これが現在、私が知ってる情報だ。
それをイリスに伝えると呆れたような顔をしていた。
「はぁ。この事件の片付けも中々にめんどくさいことになってたんのか」
「やれやれって感じだよね」
ちなみにカモミールさんとエーデルワイスは絶賛仲直りの最中らしい。
それにイリスとも何回かまた話してるみたいだし、三人が元の仲に戻れるのも時間の問題だろう。
余談だが、あの戦いの後酷い怪我を負った私とイリスとエーデルワイスの看病をしてくれたのもカモミールさんだった。
おまけにいろいろ後片付けもしてくれたみたいだし、私たちは頭が上がらない。
そういえば私がした怪我は一日足らずで跡すらも残らず治っていた。
これに関してはカモミールさんはとても驚いていたし、私も自分の治癒力がここまでなのかと愕然した。
その後も私たちは情報交換とたわいもない話をしていたらあっさりと時間が過ぎていった。
私はカフェの外に立ちイリスのお見送りをすることにした。
本当は家まで送りたかったがこの後カフェでお仕事の予定が入っていたため仕方ない。
「じゃあね、イリス」
「うん、あとレイラ……その……」
このまま見送りとするつもりでいたが、イリスが何か言いたげにたじろいている。
「そのさ、この前ここでレイラに酷いこと言っちゃって……ほんとにごめん!」
レイラはそういうと頭を下げた。
まさか頭を下げるまでするなんて思わず、私は驚いてしまう。
あの時、エーデルワイスとの騒動に顔を突っ込もうとしていた私を引き止めるために、イリスがいろいろ嘘をついたのだ。
それがずっとイリスの中で引っかかっていたのだろう。
「いやイリスの気持ちを考えもせず、勝手について行こうとした私も悪いし……ごめん……」
なんだか急に申し訳なくなってしまい、咄嗟に私も謝ってしまう。
お互いが謝罪をするというおかしな状況に若干、変な空気となってしまった。
「いや、レイラに謝るようなことなんてないよ。それに来てくれて、その……本当は嬉しかったんだから……」
「……え?」
イリスは少しだけ俯きむずむずと体を揺らしていた。
「あの時、レイラが助けに来てくれなかったらどうなっていたか本当に分からない。だから、ずっとずっと言いたかったんだ」
イリスは恥ずかしそうに顔を赤くしながらも、必死な表情で私の目を見つめてくる。
それは今までのイリスなら絶対に見せなかった表情だろう。
「助けてくれて、ありがとう」
私がやったことは無駄な事じゃなかった。
そう実感するとたまらなく嬉しくて、これからもイリスを助けるためならなんだって出来るような気がした。
イリスにはずっと笑っていて欲しい。
その笑顔が奪われるというならこの国ごと変えてしまいたい。
そんな願いをを再確認すると、ただのうわ言では終わらせず絶対に叶えてみせると決意する。
「これからも私が困ったら助けてくれる?」
少し不安そうな顔をしてそう問いかけてくるイリスに私は精一杯の笑顔で浮かべ言う。
「もちろん!任せてよ!」




