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魔女捕獲作戦①

イリス=ユア=ツゥヴァリネが相対するは精鋭の騎士団メンバー。

そしてそれを仕切っている騎士団長エーデルワイス。

エーデルワイスは右手を手高く振り上げ言う。


「総員!かかれ!」


そして右手がイリスに向かって振り下ろされたのを合図に、騎士団メンバーが一斉に襲いかかる。

全員が片手に剣を持ち、イリスを切り裂かんとしている。


(人数は10人か……)


イリスは人数を目視で確認すると、口を小さく動かした。

そして真っ先にイリスの元まで辿り着いた騎士団の一人が剣を振り上げ、イリスに向かい振り下ろした。

それをイリスは素手で受け止めた。


「なっ……」


騎士団の1人が信じられないとばかりに驚きで声を上げる。

それもそのはず、剣先はイリスの素手など捉えていない。

まるで剣と手の間に見えない壁があるかのように、そこで止まっていたのだ。

剣先は空中で静止され、勢いが殺されてしまう。

すると唐突に、間の見えない壁が無くなったのか、イリスの素手が剣を掴み取った。

そして、凄い握力で剣を真っ二つに折ってしまう。

剣先を折られた衝撃で少し後ずさった騎士は、すぐさまイリスの右膝でみぞおちに蹴りをくらい吹き飛ばされる。


次にイリスへ襲いかかったのは2人組。

左右から挟み撃ちするかのように剣を振り上げ攻撃を与えようとする。

しかし……


ガギンッと音が鳴り響き、またしてもイリスを守るような見えない壁に阻まれる。

イリスは1歩後ずさると、襲いかかってきた2人の後ろ頭を掴み、2人の顔面がぶつかるようにすざましい速度で激突させる。


「がっ……」


「ぐぅ……」


情けない声を上げ2人はそのまま気を失い倒れ込む。

今度はイリスの後ろ姿に向けて、青の閃光弾が3発放たれる。

放たれる音と同時に振り返ったイリスは左手で振り払うような動作を見せる。

すると放たれた閃光弾は、左手で本当に振り払われたかのように弾き飛ばされる。


「……っ!!」


(閃光弾を放った術者は3人……後方支援部隊ってとこか……)


イリスは左から襲いかかってきた騎士の1人を殴り飛ばすと落とした剣を拾い上げ、後方部隊に向け走る。


「げっ!!」


イリスがこちらを標的を定めたことに焦った騎士団メンバーは、慌てて詠唱を始める。


「青の光よ。その姿をもって……」


だが。


「詠唱が遅い」


イリスが辿り着く方が早かった。

イリスはまたも何かを呟くように何かを口ずさむと、右手に持っていた剣が風を帯び始める。


「なに……」


何それ。

そう騎士の1人が呟く前に、イリスは剣を逆さに持ち直すと剣の柄で、1人のお腹に向かって突き刺す。


「うぐっ……」


胃が逆流したのか吐きそうな顔をした騎士の顔を容赦なく左手で殴りつけ、意識を刈り取る。

そしてイリスは持っていた剣を真上に向かい投げると、両手を地につけて逆立ちするような姿勢をし、顔を青ざめた騎士2人に両足を使いそれぞれの顔面を蹴り上げる。

これで後方支援をしていた3人は全員気を失った。


「「うおーーー!!」」


それを見ていた騎士の2人は怒り心頭と言わんばかりの顔でイリスに剣先を向け突撃を始めた。


「はぁ……」


イリスはため息をつくと、先程投げた剣を片手で受け取り再び剣先に再び風を帯びさせる。

そして剣を騎士2人に向かい、2回振りかざす。

すると振りかざした軌跡に合わせて、2つの斬撃が放たれた。

向かってきていた騎士団2人は驚いた表情をしたが、放たれた斬撃を避けることは出来ずそのまま斬撃に直撃してしまい気を失った。

そして放たれた斬撃は騎士団2人にぶつかった後、まるで元からそこには無かったかのように空中へと消え霧散していった。


残った騎士団は1人のみ。

その騎士は女の子で、両手で剣を持ち子兎のように震えていた。

見たところ敵意は完全に奪い取られた様子。

イリスはその子まで倒す必要は無いと判断したのだろう、エーデルワイスに向き合う。

騎士団に襲うよう指示を出した団長であるエーデルワイスは、まるで面白い喜劇を観たあとのように拍手をしていた。


「いやー、やっぱすごいね。イリスは」


「余裕そうだね」


「まさか、むしろ焦ってるよ。まさかここまで強くなってたなんて思わなくてさ」


「そりゃただ何もせず引きこもってた訳じゃないよ」


「でもね。私たち騎士団の勝利条件は一つだけ。とりあえず魔女であるあんたを捕らえればそれでいい」


「捕らえればね。あんた1人で本当に出来るって言うの?」


「さぁね。でも何事もやって見なければ分からない。そうでしょ?」


そういうとエーデルワイスは腰に携えていた剣を抜き取り構えを取った。


「出来れば今ので戦意消失して欲しかったけど……仕方ないね」


そう言うとイリスは覚悟したようにエーデルワイスを見つめた。

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