お菓子タイムでもいかがですか?
そんな訳でイリスの屋敷から私のカフェへやって来ましたよ!!
「あんたのカフェじゃないでしょ」
イリスからの無慈悲なツッコミは置いといて!!
今日ここにイリスとやってきた理由は、なんと言ってもイリスとの親睦を深めるためでもあるのだ!!
さて、さっそく中へ入って行きましょう!!
扉を開けるといつも通り、お客さんが来たことを知らせるベルが鳴り響く。
「いらっしゃいませー、ってなんだレイラとイリスじゃないか」
そんな私たちを迎え入れてくれるのはカモミールさん。
カモミールさんは茶髪のロングヘアを腰まで下ろした背の高いお姉さんだ。
今はカフェでよく見る特有の白いワイシャツに黒のズボン、茶色のエプロンを身につけている。
「ちょっとイリスと遊ぼうと思って」
そんなカモミールさんはイリスと同じ先代の魔女に育てられた人らしい。
これに関しては私も初耳だったからとても驚いた。
しかし、カモミールさんにこのことについて何も聞いてないし、イリスについても聞く気はない。
イリスのことは自分でどうにかしたいと思ってるから。
カモミールさんは少し驚いた顔をしたが、後ろにいるイリスを見ると優しく微笑んでいいよと同意してくれた。
私たちは何をしようか考えた結果、キッチンへとたどり着いた。
「何故そうなった」
「いやー、ちょっと作りたいものがあってね」
ちなみにイリスには教えてないが、私は料理を含む家事全般が得意である。
それに、今日やっておきたいことがあったのだ。
「レイラが作るの?」
「うん!ついでだし、よーく見ててね」
私はそう言うと棚から材料を取りだし、準備していく。
その様子をイリスは遠くから物珍しそうに眺めていた。
それから調理を進めていきついに……
「できた!!」
私がそう言うとイリスは少し興味を持った顔をして、私の隣に並んだ。
「これって……」
「うん、これはね」
私はオーブンから出来上がったものを取り出す。
「チョコクッキーだよ!!」
イリスはそれを見た後、ごくりと唾を飲み込んで言った。
「食べていい?」
「ちょっと待って!!早い早い!!」
このまま手で掴んだら火傷しちゃうでしょうが!!
出来上がったクッキーは皿の上に置いておくことにした。
それを机の上に持って行ってその席へ二人で座る。
「えっと、もう食べていいのか?」
「うん、いいよ」
もしかしてイリスって甘いものとかが好きなのだろうか。
もしそうなら、ギャップがすごい。
イリスは魔女で魔法は強くて冷酷なだけではなく、甘いものも好きと……
「いただきます」
そう言うとイリスはからに乗っているクッキーへ手を伸ばし、頬張る。
「美味しい!」
イリスはそう言うと、まるで子どものように嬉しそうに食べる。
こう見るとイリスはやっぱり魔女だとかそういうものだとしても、やっぱりただ一人の少女であることは変わりのないように見える。
やっぱり、イリスを捕まえてる騎士団や偏見の目で見つめる村人たちがおかしいよ。
魔女になったとしても一人の女の子であることは間違いないんだ。
もし仮にイリスがピンチに陥った時、私だけは手を差し伸べていたい。
だってそうしなければ……
そう考えながらクッキーを食べるイリスを見ていると、店のドアがバーンと大きな音を立てて開け放たれた。
「ちょっと!!レイラはいる?」
声を上げた少女は紫のツインテールをしていた。
そして白いカッターシャツに青いネクタイ。その上から青いブレザーを羽織り、下には青いスカートを履いており、左胸には騎士団の紋章であり、以前私とイリスを襲った少女だった。
私は彼女に相談があったらここに来るよう、住所を渡した。
確か彼女の名前は……
「……セリエ?」