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プロローグ

プロローグ

 コブラは目を覚ます。そこは文字通り何もない白い空間だ。

「ここは……」

 コブラの声に合わせて1人の女性が目の前に現れる。

 ピンク色の髪をポニーテールにし露出度の高い白い布で体を覆った女性。


「初めまして化け物さん」

 そう。コブラは化け物だ。

 全身墨より黒い肌、4本の腕に背中には黒い翼と長いサソリの尻尾。そして3メートルある身長。


 コブラはその女性を見た途端、立ち上がる。気づいた時には女性の首を右手で握りしめていた。

「……ッ。いきなり……だね」

「黙れクソ。お前の顔と名前は知らんが神の類だろ?」

「いかにも私は神さ」

 その答えを聞きより一層力を強める。

「なら死ね」

「ま…待って」


 ――ゴキっ!!


 鈍い音が響く。コブラの前に女性が力無く倒れる。

「はっ、何が神だ」

 コブラはその場から踵を返す。


「話だけでも聞いてかない?」

 と女性の声が聞こえた。その声に思わず足を止め振り返る。

 そこには死んだはずの女性が立っていた。しかも折れたはずの首は治っていた。

「……不死身か?」

「この空間ではね」

 その答えにコブラは座る。

「とっとと話せ!」

「では。――あなたは人類の敵として人生を送りました。まずは感謝を」

「はっ!何が感謝だ!何も救えねえ!俺が人類の敵だあ!?てめえらが勝手に決めただけだろ!俺は俺の正義を貫いただけだッ!!」

 気が付いたらコブラは立ち上がって叫んでいた。そのことに気づいたのかコブラはすぐに座る。

「大体敵なんて祝うもんじゃねえよ」

「いえ。あなたは必要悪です。その役目を十分に果たしてくださいました」

「そ。ならよかったよ」

「ですので褒美を授けにきました」

「褒美だぁ?てめえらの褒美なんてどうせろくなもんじゃねえだろ」(経験あり)

「今回の褒美は、じゃらららららららん!――第二の人生です!」

 その予想外の答えにコブラは言葉が出なかった。

(は?何言ってんだこいつ…神もとうとう落ちたか?)

「は?何言ってんだこいつ…神もとうとう落ちたか?」

 そして思ったことをそのまま言ってしまう。

「いえいえ。本気です」

「なら尚更だな。こんな化け物を送り込んで何になる?」

「あなたは人の姿になれるじゃないですか」

「なれっけど…俺はこの姿の方が好きだ」

「そこは我慢してください」

「へいへい。まあ行く気ないから別にいいけど」

「ええっ!?」

 女性は思わず声を荒げる。

「何でですか!転生ですよ転生!!日本人といったら転生!これ常識じゃないですか!」

「知らんわそんな常識。そもそも日本人じゃねえし。ってか人でもねえ」

「どうしても?」

「ああ。生物は死んだらそこで終わり。それが常識だ」

「くっ、意外とまともなこと言うこの化け物」

「当たり前やろどんだけ生き死にに関わってきたと思ってんだよ」

「そうでした。では異世界に行く前に何かチート能力は欲しいですか?」

「待て」

 コブラは思わず静止させる。

「なんですか?」

「何で行く前提なんだ?行くって言ってないよね!?」

「行かなかったら行くって言うまでここに置いておきますよ?」

「最終的には無理やりにでも行かせる…なぜ俺にこだわる?」

「それは簡単です」

 女性はコブラの前で膝をつく。そのまま手を床につけ頭を下げる。

「あなた方にはとても酷いことをしました。これは私達が死んでお詫びしたところであなたは許さないでしょう」

「まあな。死んだところで許さん。むしろ生き返らせてボコす」

「次の人生では楽しく過ごして欲しい。それが我々神ができる最大限のお詫びなのです」

「……まず武器をくれ」

「え?」

 女性は顔を上げる。

「前に使ってた黒い刀に銃、片手斧、手裏剣、短刀にロープ、スマホ…俺の武器の互いのもの全部よこせ」

「はい。ただ銃器とスマホ等の電子機器はお持ちいただけません」

「そうか。なら持ってこれるだけ持ってこい」

「では」


 女性は立ち上がり手を前にする。するとコブラの前に魔法陣が現れる。そこから武器が現れた。

「すっご」

「これはサービスです。あとなにか望みがあればいってください」

「知識、言語、金、服」

「それもサービスで。お金は数ヶ月は暮らせる分渡します」

「じゃあ…」

 コブラは顎に手を置き腕を組みながら頭を掻いて考える。

「……何でもいいんか?」

「はい。大抵のものなら。能力でもいいですよ」

「なら……仮面」

「仮面…ですか?」

「ああ。素顔を見られないように。あとその仮面を被るとなんか強くなる的なやつお願い」

「わかりました。――ハアッ!」

 女性は魔法陣をコブラの上に展開する。魔法陣から白い光が現れコブラを包み込む。

「おおっ!何だあ!?」


 光が消えるとそこには白い仮面を被りフードを被った人物がいた。

 口元まで高い襟元が特徴的な黒いパーカーに腰に刀を刺し、黒い手袋をしたいかにも不審者の風貌の男性。


「おい今どんな感じだ俺?」

「はい鏡」

 女性がどこからか鏡を出す。コブラは自身の格好を見る。

「うんいいじゃん。仮面も仮面してない時みたいに視野が広いし。文句なしだな」

「では異世界へいってらっしゃい」

「いってらっしゃいって言ったってよおおおおお」

 話してる途中で足元の床が開きコブラは穴の中へと飲み込まれてしまった。

「楽しんでおいで」

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