二人の狂人
初投稿です
「嗚呼ァァァ!!美シイィ!!その身
から魂を失くした彼らの奏でる最高ォのコーラス!!」
その光景は傍から見ればさぞ奇妙なものだろう。廃れた工場の中、円を描く様に配置された死体。そしてその真ん中で狂人の如く喚き散らす痩せた白人の男。
この光景を作り出した立役者である白人の男は、その円の外にいる"友"に話しかけた。
「どうだい、君も聞こえるだろう彼らの奏でる美シィィ、音楽がァァ!!」
そのやたらめったに響くどこか不快な高音。話しかけられた男も見て見ぬ振りを諦めた。
「少しは静かにしてくれないか。頭痛が悪化してくる。」
苛立ちの強く含まれた、まだ何処か幼さの残るテノールは、明らかに殺されたばかりの死体が数多く転がる工場。そこに何処か不釣り合いなほどに美しい声音をしていた。
「大体死体なんぞに囲まれて何が楽しいんだ。生憎と俺は幻聴なんぞ聞こえないんでね。お前の感覚はさっぱり理解できん。」
「なぁにを普通ぶっているんだね!。他人の断末魔を聞いて興奮する変態に言われたくはないねえ。」
その美しい声音に対しての反論する不快な声は、不満そうにそう言った。
「何を言っているんだ、素晴らしいじゃないか、今際の際に彼らが発する声は。
今までの人生の全てがその一瞬に込められるんだ。美しくないわけがないだろう。」
そう高らかと語った彼の声は、キリシタンが聖画を崇める様な信仰にも似た何が含まれていた。
「ふん!まぁいいだろう。いつまでもこんなくだらない話をしてないで、新たな美を探しに行こうじゃないか!!。」
そう不快な声が叫び二人の狂人は廃工場を後にした。
そこにはまだ微かに暖かい死体のみが転がっていた。
なんかすいません。
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