それはある7月のこと…3
晴人を玄関で迎えてくれた咲希の父親について行く。少し歩いて目的地である応接室に到着した。
あれ?俺応接室は行ったことないな…どんな感じなんだろ…
部屋に入ると西洋の城にあるような長い机に並ぶ高級感漂う椅子、それを照らすかのようにシャンデリアが吊るされていた。
「Oh…」
心の声がつい漏れてしまった。
部屋に驚いている晴人に咲希の父親が話しかける。
「さぁ座ってくれ」
「はっはい…」
「そんなかしこまらなくてもいいんだぞ?晴人くん」
てか、お父さんの名前忘れた…やらかした…
「そっ、そういえばお父さん!本日はどうされたのでしょうか!?」
「ふふ…お父さんとは随分早いな、高校を卒業するまで娘はやらんぞ?」
「いや、そういう意味ではなくてですね…」
カッカッカッと笑う咲希の父のからかわれる晴人。しつこいな、おい!と思いながらも愛想笑いで何とか晴人はやり過ごす。
そして5分後…
「脱線してしまったな…今回君を呼び出した予定だが…」
流石に脱線しすぎだわ!というのは心に閉まっておこう。
「君には咲希との結婚が決まっているね?それで結婚式場を早めに取っておきたいんだ」
「すみません、なんか幻聴が聞こえてよく分かりませんでした」
「結婚式場なんだが…」
待て待て、幻聴じゃねぇなこれ今すぐ言わねぇと!
「待ってください!なんで結婚式場!?あれは小学生の頃の自分でして、今は…」
「今は?君は咲希の気持ちを踏みねじるのかい?」
「い…いや、そういう意味では…」
「よろしい。これから君に何かあっては咲希が泣いてしまうだろう、だから君にはボディーガードをつけようと思う」
「はい??なんかおかしくないですか?」
「もうこんな時間か今日はこれでお開きにしよう」
今話逸らしたよね!?逸らしたよなぁ!?
「いやだから結婚するとは言ってないですよ!」
「いつまで戯言を言うつもりかね?そろそろ切られたいか?」
「すっすみません!!」
そして、咲希パパに威圧されながら歩いてきた道を戻る。
玄関に到着したら咲希がいた。
「パパに何かされたの?なんか威圧されたような顔してるけど……」
「大丈夫だ。咲希のお父さんがかっこよすぎて惚れただけだ」
「え?ホモなの…?まぁいいわ。これから毎日貴方の家に紫苑がボディーガードとして向かう予定だから仲良くね?」
「おっおう…。じゃあ俺もう遅いし帰るわ」
「わかったわ、じゃあね」
「あぁじゃあな」
咲希と別れ100mという長い庭を歩きそのまま家まで歩く。人生で1番長いと思われる一日が終わると晴人は確信しどこかホッとした。
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