ステータス確認 新たな自分
草の匂い。
水の音。
やっと目を覚ましたとき、真っ先に感じたのはそんな感覚だった。
「どこだここは。」
目の前に広がるまさしく森の中といった感じの景色。
寝て起きると景色が変わってる。
もう2回目だぜ。
なんてくだらないことを考えながら伸びをした。
ぼーっとする頭で考える。
まだ意識がはっきりしない。
日頃の習慣でこういうときはとりあえず飲み物を飲むと覚醒が早くなる。
そう思ってとりあえず水辺へと近寄る。
どうやら近くに動物とかの気配は感じられない。
まあ気配なんて感じ取れた試しは無いけれど。
水を手ですくって飲んでみる。
普通においしい。軟水って感じだ。
何口か飲んでスッキリしてきたので改めて考える。
転生の神とやらはとりあえず能力の確認をするように言っていた。
とりあえず「能力確認」と口に出してみる。
すると能力が表示された。
名前 未設定
種族 吸血鬼
性別 ?
能力 吸血 吸血治癒 吸血浄化 超魅了 眷属化
これだけである。
まずつっこみたいのは名前。
未設定ってなんだ!
俺には名前が!大事な名前が、なまえ、あれ?
自分の前の名前が浮かばない。
店長をやってたことも物心ついた頃からの記憶も基本的に残っているのだがぽっかりと穴が空いたように名前の部分だけ思い浮かばない。
もしや転生のデメリットなのか?
まあ現状困らないから納得はいかないがとりあえず後回しにしよう。
次。種族。吸血鬼です。
ファンタジーっぽいのになったぞ。
能力も吸血とかわかりやすいスキルだがいまいち防御系とは思えない。
強いて言うなら謎の超魅了のスキル。
どんな効果があるのか判らないが変なスキルじゃないことを祈る。
そして最後。
性別不明?
ふと自分の容姿を確認していないことに気付いた。
鏡もないのでとりあえずじっと水辺を覗き込む。
するとそこには、
「誰だ君は?」
肩口まで伸びた光るような銀髪。
男女どちらでも通用する中性的で幼く愛嬌のある顔立ち。
その瞳はどこか眠たそうにしていて自分で言うのも何だが、保護欲をそそられる。
口を広げてみると小さな八重歯がちょこんと生えている。
そんな子供のような姿の自分がいた。一応簡素な半袖半ズボンの服着用である。
改めて意識すると声も生前より高くなっていて、身長も心なしか目線が低くなったように感じる。
肝心の性別については下を確認したところ、とりあえず生前と同じようだということが判明した。
これは…いわゆる男の娘というやつでは?
自分の新たな姿に若干戸惑いつつも、冷静に分析してしまう自分に小さくため息を吐くのであった。