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狼人族の少女

セブンスの国の王様と会ってから数日。


自分達の家(城)の中で月夜の美味しいご飯を食べながら、お喋りしたり一緒にお昼寝したりと穏やかな生活を送ること数日。


あ、いえ、違うんです。

決して働く気が無いわけではなくて、なんか聞いたところによると金銭の蓄えがこの間の賠償金とあわせてかなりあるとのことで、無理してすぐに動く必要が無さそうだということが分かったのでじゃあ色んなことがあったしということで少しのんびりすることにした次第です、はい。


とまあそんなわけでのんびりと過ごしていたある日、家に兵士さんが訪ねてきた。そしてその兵士さんはこう言ったのである。


「失礼します!本日は賠償の奴隷をお届けにあがりました!」


ん?奴隷?

そういえば王様がそんなことを言っていた気がする。

あまりに話が大きかったせいですっかりそっちの方は触れていなかった。


「あら、思ったより早かったわね。さてそういうことなら、テンちゃん行きましょうか」


「あ、はい」


あまりにもさらっと月夜が言うものだから思わず返事をしてしまったけど、なかなかにヘヴィな貰い物である。

奴隷とか貰ってもどうすれば良いのかいまいち分かっていない。


まあとにもかくにも行ってみるとしますか。





所変わってここは城の前の広場である。


周りを見てもうびっくり。

数百人に及ぶ奴隷達がそこらかしこに溢れかえっていたのだ。


「大妖怪殿、こちら賠償の奴隷300となります。どうぞお納めください!」


どうやら300人いるらしい。

規模が凄まじい。


「私じゃなくてテンちゃんにでしょ。さ、テンちゃんへの賠償らしいわよ」


「えーと、あはは…」


月夜により丸投げされ苦笑するしかない。


とりあえず兵士さんに詳しい話を聞いてみると、奴隷達の生活費は王国負担、以降の奴隷達の処遇は所有権はテンにあるためこちらが決めて良いらしい。


そう言われてもかなりの人数がおり、住む場所にも苦労しそうなのが見てわかる。

月夜に聞いてみると奴隷は基本物扱いとのことで野ざらしでも構わないと言っているが、平和な世界で生きていた身としてはその対応はちょっといただけない。

彼らも人間なのだ。

国の都合で勝手に引き渡されたりして、大変なのにさらに低い生活水準にする追い討ちはしたくない。

何なら企業の奴隷のようだった自分を見ているようでなんか嫌だ。

一応キャンプ的な形で野営するとのことだけど、早いうちに住む場所をなんとかしてあげたいところである。


そんなことを考えていると顔色の悪い白い毛の犬耳娘と目があった。


やだ、あの娘ストライクなんですけど。

見た目的に割りと好みのタイプの娘がそこにいた。

それと言うのも前世では銀髪とか白髪とかのキャラが大好きでよくゲームのキャラの設定もそれに寄せたりしていたのだ。

まあ、今は自分の毛色が銀髪だからゲームと同じような設定になってたというわけで。

自分の容姿が好みになっていて悪い気はしないけどね。

とまあそんなことは置いておいて、その犬耳娘、何だか凄く顔色が悪い。

よく見ると顔やら身体やら傷や腫れだらけで見ているだけで痛々しい。

きっと良くない体調で無理して連れてこられたのだろう。


基本的に可愛いは正義、基本的には優しくするのがモットーなのだ。

あのままだと辛いだろうから助けてあげたい。


そう思い、犬耳娘の所に近づいていき、ポカンとしている彼女の首もとに優しく噛みついた。

そして吸血治癒のために血を吸い始める。

ちぅー。

美味しい血液が自分の中へと流れ込んでくる。

今だからわかる。血液には魔力が詰まっているみたいだ。


「へ?うひゃう…ひぁっ」



血液を吸い始めると犬耳娘は驚いたあと未知の感覚に悶え始めた。

顔を赤らめながらビクンビクンして、喘ぎ声を出しながら段々と力が抜けていく様は控えめに言ってエ…ゲフンゲフンあまり人に見せてはいけない光景な気がする。

まさか血を吸われるとも思っていなかったのだろうし、スキル説明によれば相手には快楽が走っているとのこと。

今この瞬間にも身体の回復はされているはずだが、どのくらい吸えばいいのかよくわかってないし、首に噛みついているため身体もよく見えていない。


一度吸血を止めて聞いてみようか。


「ぷぁ、ふう…急にごめんね、血を吸って。身体の方は大丈夫そう?」


力が抜けて女の子座りになってしまっていた少女に話しかける。

パッと見た感じは全身の傷が癒えているように見える。腫れや傷もひいていて痩せている以外は健康そうに見える。



「ふぇ?あれ、私は噛まれて、ってなんか身体が軽いです…あれ?身体が痛くないし動くです…」


少女は不思議そうに身体を捻ったり肩を回したりしてみて身体の変化に驚いている。


「とりあえず大丈夫そうでよかった。僕はテン。君は?」

とりあえずは自己紹介だ。ちなみに一人称は僕。

俺って言ったら月夜に怒られて何とか僕で妥協して貰った形である。


「はっ!ごめんなさいです…急に身体が軽くなったからついびっくりしちゃって、私はフェイと申しますです。えっとテン様は先ほどはいったい何をされたんですか?凄く調子が良くなったです。」


「それならよかった…さっきやったのは吸血治癒をしたんだよ。顔色が悪そうだったから急いでなんとかしないとって思ってね。」

ついでに吸血鬼であることも伝えるとフェイは眼を輝かせた。


「テン様は吸血鬼の方でしたか!狼人族と仲の良い種族ですね!それにしても奴隷である私に治療をしてくださってまるで神様です!ありがとうです!スゲーです!」


尻尾をぶんぶんと振りながら尊敬の眼差しで見つめてくる。

正直悪い気はしないけれど段々とデメリットが発動してきた。

身体が熱い。

意識が少しポヤーっとしてきた。


「あれ?テン様大丈夫です?」


突然のテンの変化に戸惑うフェイ。


しかし答える余裕もなく、段々と身体に力が入らなくなってきたな~といったところで


「またテンちゃんはすぐに自分のことそっちのけで助けるんだから。まあそこが良いところだけどね。」


何時の間にか月夜が真後ろに立っており、フワッと抱き抱えてくれる。

今回はお姫様抱っこ+尻尾ホールドである。


「はぁ、はぁ…月夜ゴメン、ありがと…」


「はいはい、とりあえず楽になるまでゆっくりしてなさいな」


抱き抱えられていることと、もふもふに包まれていることによる2つの暖かさにより少し気が楽になる。

耐えなければ倒れるという緊張感を和らげることが出来て正直とても助かる。

月夜と一緒だと安心できて、もう欠かせない存在になってしまっている。

腕と尻尾の中で脱力していると


「あわあわ…テン様死んじゃうですか、私のせいですか…」


涙目になってオロオロしているフェイ。


「大丈夫よ。死んだりはしないわ、血を吸うとちょっと疲れちゃう体質なのよ」


月夜が自分に変わって説明してくれた。

ありがたい。

吸血鬼なのに血を吸うと疲れるとかよくわからないけどね。

というか、月夜の血を吸った時並みにしんどいんだけどもしかしてこの娘も凄い種族だったのかな?

そんなことを考えながら耐えること数分。

熱が引いてきて少しづつ意識がスッキリとしてくる。


身体はまだ痛むけどなんとか動けそうだ。


「んぅ…ありがとう月夜、だいぶ良くなったよ…月夜?」


回復したことを伝えるが、月夜は降ろしてくれない。


「まったく、すぐ無茶するんだから。罰としてしばらく私に抱かれてなさい!」


そう言って思い切り抱きしめてくる。

さっきは優しく抱かれてたから感じてなかったけど抱きしめられたことによってあの…2つの柔らかい弾力が…


嬉しいやら恥ずかしいやらで顔を真っ赤に染めたテンはその後月夜が満足するまで大人しく固まっていたのだった。

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