転生の説明と設定
『転生は理不尽な死を遂げた者への救済措置です。前の世界には戻せないですが、他の世界、すなわち異世界であれば転生をさせられます。』
最近の小説とかでは割とありがちな話だな。
だいたいこういう話だと魔法とかあるのが鉄板か。
「ほう、ちなみにその他の世界とやらは平和なのか?魔法とかあったりするのか?」
『魔法はありますね。火を噴くトカゲ、こっちの世界で言うところのドラゴンとかみたいなのが普通にいますし。平和かと言われるとその人のさじ加減次第ですね。日本だって平和とか言われつつ犯罪だらけでしょう?こっちの世界も表面上は平和でも奴隷とか普通にいる世界ですからね。』
ふむ、言われてみればその通りだ。
にしても奴隷か。
俺も言うなれば会社の奴隷みたいなものだったからなぁ。
あまり気分の良いものではないな。
「とりあえずわかった。それと救済措置で転生されるのにすぐ死んだら意味ないと思うんだが何か優遇措置とかあるのか?」
『前世の状態から考えて適正な種族をこちらで設定して転生できます。あとは適当な能力を多少付与できる程度ですね。世界を滅ぼしたり歪めちゃうような能力とかは危険なので基本的に与えられないです。』
なるほど。能力でチート無双みたいなのは出来ないようだ。
「種族はこちらでは選べないのか?」
『はい、転生者の偏りを防ぐためこちらで決定する決まりになってます。みんなエルフばっかとか魔族ばっかではバランス崩れるので。』
そうか、自分で好きにできないとはなんとも微妙な転生だな。
「まあわかった。んで能力とかもそっちで決めるのか?」
こっちは死活問題だから出来ればこっちに決めさせて欲しい所だ。
『能力に関しては大まかな方向性だけ決めてもらってあとはこっちで設定って感じです。』
ふむ、まあそれなら何とかなるか。
変な技能を貰わないように無難な所をリクエストすることにしよう。
『あと、転生者の人にはとりあえず言語翻訳と身体能力の底上げスキルの2つをまず付けさせて貰ってます。言語翻訳は知性のある生物の言葉がわかるようになります。身体能力の底上げスキルは初期段階で平均の人よりちょっと上の人達には身体能力だけならそれなりに勝てるくらいの能力にはなりますので襲われたりしたらとりあえず殴るか逃げるの2択が出来るようになるオススメスキルです。』
これまた便利なような中途半端なようなスキルだ。
「何だかパッとしないような感じだな。まあいいや、じゃあとりあえず他の部分の能力をリクエストさせてくれ。生き残るために防御アップとか能力をアップできる系のスキルにして貰えると助かる。」
下手に攻撃系の魔法とかスキル覚えてもたぶん人には向けられないだろう。
ゲームじゃないんだから、防御を上げておいて逃げるのが早い。
『わかりました。その位でしたら受理できます。防御系ということで回復系スキルも一緒に付与します。ただし、防御系となると攻撃スキルの総数が大分減りますが大丈夫ですか?』
確認のためか聞いてくる。
確かに普通のやつらなら攻撃系のスキルをほしがるんだろうが。
「まあなんとかなるさ。もとより誰かと戦ったりするような人間じゃ無いからな。現代日本の一般人舐めるな。」
殴り合いの喧嘩をしたことも無ければ武術すら学校の授業で少しかじった程度だ。
戦えというほうが無理がある。
逃げるが勝ちという言葉もあるくらいだからいざとなったら逃げてればいいのだよ。
『肯定と受け取ります。ではその条件を基に種族、能力を決定。転生の準備をしますね。能力とか自分の種族の詳細とかは転生後に頭に知りたいことを思い浮かべると判ることになってます。神様はサプライズ好きなので行ってみるまでは内緒です。』
なんと、行ってみるまで判らないとかどんな宝くじ?
転生ってこんなに適当なのか?
『では、転生を始めます。転生後まずは能力確認をすることをオススメしてます。』
この後ちょっと浮遊感を感じたら俺は意識を失っていた。