月夜サイド 出会い
私は月夜。
数百年前にちょっとやんちゃしてたら人類総掛かりで封印された九尾の狐。
そりゃあ色んな国のお宝をちょっと貰ったり?色んな国の重鎮さんと仲良くしてたらなんか戦争が起きて国が何個か滅び掛けたりとか色々とあったけど、私を悪者にして責任を擦り付けて封印してくるんだから人間って良くわからない。
封印されたときはまあこんな封印すぐとけるだろうと思っていたけど、割りと強固な封印だったみたいで全然駄目だった。
そもそも封印された時点で意識だけが残ってて肉体も魔力も全く使えなくなっていた。
聞いたことがあった。
恐らくこれは内側からは決して開かず、外からのしかもかなり強力な魔力を当てないと解放されない封印。
つまり詰みの状態。
とても長い時を真っ暗な感覚の中で過ごす。
つまらない。寂しい。
もうどれだけの時が経ったのかもわからない。
いっそ殺してくれたほうが楽だった。
同じことを何度も思い続けていつもと同じ虚無の時間が繰り返される。
更に時が過ぎ考えることも無くなり、虚無に身を任せていたときそれは起こった。
暗い感覚の中に大きな光が差した。
とても長い間感じてなかった光。
身体も動かないけど突然の事に意識はそちらの方向に向かおうと必死だ。
お願い。助けて。この苦しみから解放して。
そんな思いで光の方向へ意識を向かわせる。
そして光の根本へたどり着いたときついに封印がとかれた。
久しぶりに感じる自身の肉体の感覚。
恐る恐る目を開ける。
空気や魔力の感覚、色鮮やかな景色。ついに私は解放された。
とても嬉しいのだけど突然の事過ぎて言葉にならない。
ふと自分を閉じ込めていた扉を見ると、開いていてそこに可愛い女の子が倒れている。
銀髪の小柄な女の子。
この子が封印をといてくれたようだ。
どうやら魔力を一気に吸い取られたせいで気絶してしまったようだ。
とりあえず女の子を抱き上げる。
軽い。こんな小さな子がなぜこんなところにいるのかわからないけど。
まずは寝かせてあげましょう。
この子の意識が戻ったら色々お話ししよう。
そして私の全てをかけてこの子の力になろう。
暗闇の世界から救ってくれた小さな英雄さんのために。