変化
初めての吸血により、月夜の正気を取り戻すことに成功したのだがここで自分の身体にある変化が起きていた。
身体が熱い。吸っている時にもある程度は感じていたのだが今は急激に体温が上がっている感覚がある。
身体の節々が痛み、インフルエンザにかかった時のような怠さが襲ってくる。
段々と息が上がってきて少し立っているのも辛くなってきた。
「月夜、ごめんちょっと休ませて…」
「あら、どうしたのって…顔が真っ赤じゃない!急にどうしたのかしら…凄い熱だわ。とりあえず私のほうに寄りかかって。」
そう言って月夜はまた出会った時と同じように尻尾の上に寝かせてくれる。
ふさふさでふわふわな尻尾が身体をくすぐり、気持ちいいのだが如何せんグロッキー状態である。
身体に力が入らなくてどうしようもない。
恐らく吸血したことで何かが起きているのだけれど何の説明もないからわからない。
これからどうなるんだろう。
吸血鬼なのに血を吸っただけで死んじゃうんだろうか。
苦しい。
しんどい、辛いとか考えていると。
急に全身がむず痒くなってきた。掻いて治るような感じではない内から来るような痒みだ。
もう感覚が忙しい。もうどうなっても良いから早く終わってくれ。
熱と痒みで意識が飛びそうになりながらも、なんとか耐えていると。
ポンっ!と
なんかコミカルな音がして急に痒みが収まった。
まだ熱っぽくて感覚は鈍いが少しましになった気がする。
心なしか頭とか腰の辺りが重くなった気がしなくもないが怠さは幾分かましになった。
「月夜ありがとう…少し楽になったかも…ってどうしたの?」
なにやら月夜がこちらを向いて固まっている。
「えと、君、私と同じ耳と尻尾生えてるよ?」
ん?何を言っているんだろうか。吸血鬼になったときから特に歯が伸びた以外は人と容姿はあまり変わらないはず。
変に思いながらも頭に手を当ててみると
ふさっ。
お尻の辺りに手を持っていくと
ふぁさっ。
あれ?
思わず全身をまさぐる。
そして気づく。
あれ。息子がいない。
獣耳と尻尾が生えてる。
どうやら身体に重大な変化が起きたようだ。
多分ケモ耳少女になってるんですが。
なんで?どうして?
月夜の血を吸ったから?吸血治癒の後遺症?
理解の追い付かないことが次から次へと矢継ぎ早に起きている。
段々と目が回ってきた。
もう無理。きゅう~パタン。
高熱が出てたこともあり、また意識が闇の中へと落ちていった。