装備しないと効果を発揮しません
「どうして…こうなった」
こんな発言が出たのには訳がある。
先ほど手に入れた宝物庫の宝。
その中には剣やら弓やら色んな装備があったりして、元現代日本人としては非常に興奮するラインナップがあり意気揚々と月夜と一緒に物色していた。
とりあえず身を守るため取り回しのいいナイフ(なんか宝石が埋め込まれたきれいなやつ)を見つけたので取り分けておき、なにか鎧でもないかな~とか考えていたときにそれは見つかった。
「ん?何だこれ。洋服か?」
手に取ったのは黒い布のローブ。
「あ、それは魔国の旧友に貰った防具だね!廃棄処分とか言ってくれたんだけど、防御性能と補助性能は抜群だよ!だけど私にはサイズの関係で着れないんだけどね。」
と月夜が説明してくれた。
ふむ、話を聞くと良いものではあるようだ。
「良かったら着てみれば?今の装備じゃ少しボロそうだし」
「そうだな、ひとまず着てみるよ」
月夜に進められるがままに下側から頭を通し、袖を通してみる。サイズはぴったり。
うん、着心地はかなりいい。滑らかな肌触りだしかなり上質な素材を使っていることが窺える。初期装備とは段違いである。
これは良いものが手に入った。
「ありがとう!めっちゃ着心地いいねこれ!」
「それは良かったわ!ん?でも何か忘れているような…」
と月夜が呟いた瞬間。
ピカッ!!
自分の着ていたローブが急に輝き、光が収まると
「え、何ですかこれ。なんか足元がめっちゃスースーするんですけどってええ!?」
何の変哲もなかったローブがフリフリのついたいわゆるゴスロリ服に変形していた。
「あ、思い出した。そのローブは装備した人に相応しい形に姿を変えるとか言ってたわ。とっても似合ってるし完璧じゃない!」
「ええ…いやでもスカートとかこんなフリフリはちょっと…」
一応男なのでこの格好は抵抗がある。姿が幼くなっても中身はおっさんなのである。
「いやいやせっかく可愛いんだから良いじゃない。女の子なんだし。」
おっと。もしかして
「月夜?一応自分男なんですけど…」
「?こんなに可愛いのに男の子のわけないじゃない。仮に男だとしても可愛いから関係ないわ」
「え、そんな馬鹿な。」
どうやら一ミリも信じて貰えない。
だけどさすがに女性相手に下にぶら下がってる物を見せるわけにもいかないしどうしたら信じて貰えるのか。
そもそも男だと証明しても月夜相手では意味が無い気がしてきた。
「あ、ちなみにその装備は伝説級の防御力と一定時間ごとの魔力回復、浄化の機能がついてるわ。」
くっ!聞いただけで強いことがわかる。しかも相変わらず着心地は足元がスースーする以外には最高である。
正直初期装備に戻れる気がしないくらい気持ちいい肌触り。
これが呪いの装備か。(違います)
という経緯がありこの装備を着ていくことになったのだった。