月夜と少し仲良くなった。
ふと目が覚めた。
もふもふに包まれている感触。暖かさ。
そうか、俺は月夜の尻尾に包まれて寝てしまったのか。
いつにも増してよく寝たきがする。
社畜時代には基本的に仮眠程度の睡眠ばかりで常に頭のどこかがぼーっとしたり、痛かったりしていたからな。
なんだか気分がすっきりしていて体も軽く感じている。
これだけで異世界に来た甲斐があったように感じる。
ただ、このまま埋もれていると月夜にも悪いからちゃんと起きよう。
「あ、目が覚めた?おはよう!」
俺が体を起こすと月夜が笑顔で挨拶をしてきた。
寝起きに美女から笑顔で迎えられるとかどんなご褒美でしょう。と、そんなことよりも
「お、おはようございます!月夜さん、尻尾で寝かせてもらってありがとうございました!きっと重かったですよね」
挨拶とお礼を述べる。流石に一晩中乗っかられてたらさぞ重かったことと思う。
「え、君全然重くないから大丈夫よ?それよりさん付けとかしないでいいから月夜って呼んで?」
そう言うと月夜はひょいっと俺を持ち上げた。
確かに重そうには持っていないが俺の体重はどんだけ軽くなってしまったのか。
女性に軽々と持ち上げられるとかなかなか無い経験である。というかちょっと恥ずかしい。
あと、さりげなく呼び捨ての許可が出た。
「えーと、わかりました。つ、月夜。わかりましたからおろしてもらえますか?」
とりあえず呼んでみたがまだおろして貰えず。
ちょっと不機嫌そうに月夜が言った。
「あと、敬語も禁止ね?仲良くなろうと思っても敬語だと距離感あって嫌なのよね。」
え、この子ほんとにかわいい。
「わかった月夜、俺も仲良くなりたいから敬語にならないように頑張る!」
俺がそう言うと月夜は満足そうな顔をして俺を下ろしてくれた。
少し距離が縮まった気がした。