4-2
続きです。
「あ、あと、ちゃんとここにいる理由も入れてくださいね」おそらく1番大事なことだ。
「あー理由?めんどっちーなあ。何となくかな、もうやりたいこと全部やったし」あまり自分のことについて話したくないのだろうか。
「チッ」とメガホンの女が舌打ちをした。「じゃあ代わりに説明しますよ。彼女は確かに天才です。彼女は自分の研究所を持っていて、これが『山下研究所』っていうなんの捻りもない名前なんですが、魔法かってぐらいどんな薬でも作れるんスよ。例えば、30日間飲まず食わずで働けるようになるとか、体感として時間が止まる薬とか」
「でもとうとう不老不死の薬だけは無理だったんだよねー。じゃあどーせ死ぬし?何のためにやってんだか、もういっかー!とね」
たしかにこれでは、神様が死なせないのも納得だ。
「別にはぐらかすことでもないと思いますが?」僕が聞いた。
「えー?なんかさあ、自画自賛じゃね!?イヤでしょ!」
「さっき自分で天才って言ってました…」静かな声でありながらも鋭い指摘だ。
「まあそれでいっスかね、次!」金髪ポニーテールの彼女を指さした。
「えっと、名前はトルターシャ・タリアンネです。ターシャって呼んでください」やはり日本人ではなかった。「数え年十六歳です。ここに来た理由は、学校で私は弱虫だ、と言われたので、勇気があると言うことを証明しようとしたんです」胸を張ってそう語った彼女もネジが何本かぶっ飛んでいるらしい。
「えーと、最後は木ノ崎 響さんっスね」そう、これが僕の名前だ。これこそはぐらかすものではなかろう。
「僕も、涼香さんに同じく、人生に飽きたので」不老不死と自分で言うのは何だか気恥ずかしかった。
「あー、誰も興味無いと思いますが、一応私も。クリロです、短い間になりますが、よろしくお願いします、っと」
「フルネームはなんて言うんだい?」涼香が問うた。
「いえ」彼女は短くそういった。名前がたった三文字とは、不思議なものだ。
「まあ私はただの案内人っスからね」
「案内人?どこへ?」今度は僕が聞いた。
とその瞬間、クリロに後光が差した。僕ら三人は「うわっ!」と目を閉じた。
次から一二話だけ地獄に立ち寄ります。仏教とか詳しくないんで、テキトーですがご了承ください。ブックマークお願いします