4-1
4話の前編になります。長くなりました。キャラの登場の仕方が難しかったので、シンプルにしました。ここら辺からだんだんと話のペースを上げていくつもりです。是非ともブックマークお願いします
「無駄にしぶといアンタらには地獄に落ちてもらいまーす」音割れを交えながらも輝きを失わない美しい声が響いた。内容はともかく…
彼女が『アンタら』と言ったように、僕を除いてその場には三人いた。かいつまんで語ろう。
まず、絵に書いたような白と赤のメガホンを携えた女性。彼女は無機質な目で、しかし確実に僕らを見下していた。長い黒髪が風に靡く。全てが怠そうな挙動を見るに、彼女が義務を背負ってそこに立っていたのは明白だった。
次にポニーテール金髪美少女。アヒル座り(個人的には女の子座りの方が馴染み深い)をして、キョトンとしていた。自殺するには少しガーリーな服を着た彼女も、同じく状況が掴めていないらしかった。
最後に、白衣を着た女性。こちらは大学生くらいのように見えないこともなかったが、この時代に大学へ行くやつなんてほとんどいない。ショートヘアーを掻き上げた指は粗雑ながらも手入れが施されている。
「ここは地獄ではないのですか」誰もメガホンの音に続こうとしなかったので、僕が口を開いた。
「まだじゃあないの?」白衣の女性が元気に言った。
「飢餓状態という生き地獄よりはマシでしょうか」金髪の彼女は、とても慎ましやかな声を出す。声色が外見とハマりすぎているようにも思えた。
「3日も経ったんスよ」その通り。
「『太陽が三度顔を出し、三度沈みました』」メガホンの彼女は棒読みで手元の本を読んだ。「『それでも尚ここにいるということは、あなた方に死ぬ覚悟がないということを他でもなく示して』、……やっぱ意味わかんねー。台本通り講釈垂れても自分が何言ってんのかわかんねースわ」彼女は突然話を打ち切った。
「ともかくここにアンタらがいるってことは、まだ死にきってないってことスよ。産まれた以上、生きるという義務を果たさんアンタらは、地獄に落ちるべき。ってことッスかね。能書きなんてどうでもいんで」
つまり彼女は見届人、というか案内人ということだった。言葉遣いは別として、その美しさは冥土の土産に十二分になり得るものだった。
「ではでは、先ずツアーメンバーのご紹介を賜りたいと思いまーす」抑揚のない話し方だ。
「じゃ、リョーカさんから」
「え!?あたし?えーじゃあ大まかにしますとねー、山下涼香、研究所をもってまーす!と言ってもあたししかいないけどー!」身振りが激しい女だ。「好きな食べ物はボロネーゼ!!もう食べられないと思ってたよ…」何を言ってるんだ。
「えと、失礼かも知れませんけど、お幾つなんですか?」
「ヘイ、パツキン彼女!あたしは死のうとしてたんだよ!?今更歳なんて野暮なこと聞かないでちょうだいね!」口調と音量はアホだが、理由と結論はちゃんとあった。「でもまああれだね、敢えて言うならば、『天才』かね」と言って、くせっ毛ショートヘアをかき上げた。やはり彼女は紛うことなきアホだった。
後編は明日投稿します。下らないことしか呟いてませんが、ユーザ名と同じく「山椒魚No.5」の名前でTwitterもしているのでそちらもよろしくお願いします。人物のキャラは安定してますかね?
コメントや感想には積極的に返信して行きます。
ブックマークお願いします!!