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ガムテープ

作者: のらねこ




おかしい。


大学の為に上京はした私は、引越し業者の帰った部屋で腕を組んでいた。

私は可能な限り荷物を減らした。全部でダンボール10箱だ。

業者の明細にも10箱と書いてある。


なのに何故11箱ある?


しまったことに何処に何が入ってあるか明記してなかった。

少ないし、だいたい何が入ってあるか分かっていたからだ。


怖い。


開けるのは簡単だが、どれが11箱目かわからない。

もうしかしたら最初に空けてしまうかも知れない。


小一時間悩んだ。


するとひとつの箱がガタガタと震えだした。

私は心臓が止まるかと思った。

明らかに動物だ。

私はダンボール箱のガムテープに手をかけた。


すると今度は飛び跳ねるくらいダンボールが動き出した。

私はなんとか息を整え、まず他のダンボールを片付けた。


そしてパソコンデスクに座り、母に電話した。

母は笑っていたが、万が一の間違いもあるかもしれないと、

明日引越し業者に電話しなさいと言われた。


そして日常会話をしていた。

そうするとダンボール箱が足元にいた。

私は飛び跳ねた。

どうもスリスリしてきてるようだ。


キッチンもトイレも、体をゆらしてドッタンバッタン追いかけてくる。

でもガムテープに手をかけると飛び跳ねるくらい暴れて怒る。


ご飯も食べない。排泄もしない。というか穴がない。


夕方大学から帰ると、玄関で待っている。すごく嬉しそうに跳ねる。


ガムテープで封をされたこのダンボールには、一体何が入っているのだろう。

でもずっとついてくる。私のことが好きなようだ。


私は箱の中身なんてどうでもよくなってきた。

ただ一筋のガムテープが今の私たちを繋いでいる。


一人暮らしは初めてだけど、君がいるから寂しくないなぁ。

おやすみ。居なくならないでね。




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