ゲームの中の世界へ
こんにちは
誤字脱字があると思いますがよろしくお願いします
ーーーカチカチ、カチ
その部屋には、マウスをクリックするだけの音が聴こえる
別段何も無さそうな少年が、暗い部屋に一人でパソコンと向き合っていた
名前 ー 白木 零十
年齢 ー 17歳
容姿 ー 普通
成績 ー 上の下
身体能力 ー 下の中
学校 ー 不登校
友達 ー 無し
職業 ー 特になし。ネットで小遣い稼ぎ
そんなパッとしない少年。
勉強に飽きて、クラスから孤立して、親は仕事で帰ってこない
何にも取り柄はないが、ゲームだけは少し違った。
ネットでは噂されるほどの腕。実際、ネトゲで会うと敬語を使われるほど。
数多くのゲームを最前線で攻略している
こうしてネットの中では別人のように扱われることによって、どっぷり浸かってしまった
それもまた、運命なのかもしれない
「ふぁ、あー、ねむい・・・」
一日の内、言う言葉はこれぐらいだ
現在、深夜2時
徹夜して3日たっている
今は新しいオンラインゲームを最速で攻略している途中だ
無論、追い付いて来ているプレイヤーはいない
そして、攻略サイトや掲示板を見つつ、違うパソコンでゲームをしている
眠い目を擦りつつ掲示板を眺める
「ええと、F13階にて効率のいい経験値を発見・・・これはいらない。あとは、おっ、F16階にモザッキーが大量・・・そんな場所あったのか、まぁ、いつか行くか。メモメモ・・・」
自分が見つけられなかった場所を教えられるのは、悪くない気分だった
こうして情報が飛び交う中、自分は遥か先をしていると思うと、にやけが止まらない、端からみると、さぞ気持ち悪く映っているのだろう
「武器屋で・・・これは知ってる。えー、F11のボス・・・も知ってる。あとは・・・!」
急に声をあらげる
どうやら掲示板のバグ報告ページにてなにか見つけたようだ
「F1階の右壁に、隠し通路ぉ!?」
少年は、急いでゲームのなかで、そこに向かおうとするが、冷静になって落ち着く
「いやまて、慌てるな。まずは真偽からだ、ええと、コメントは・・・。なに?誰も確認できていないだと・・・?」
これは異常な事態だった
普通は見つけた人が結果を報告、もしくはコメントに何か書かれているはずしかし書かれてはいない
さっき見つけたのか、もしくはデマか
「十中八九ガセネタだよなぁ・・・。でも一応明日にでも確認に行くかぁ」
ふぁーっ、とあくびをしつつメモをとる
そして、オンラインゲームをオートプレイで続行しつつ、ベッドで横になり、就寝につく
3日ぶりの睡眠だからさぞや気持ち良く寝れるだろうと思いながら、目を閉じる・・・
しかし、つけっぱなしのパソコンの明かりだけが、怪しい光を放っていた
*
寝てから何時間か経過した頃、眩しい光で目が覚めてしまった
「ぅん?・・・眩しっ、あれ?こんな明るかったっけ」
部屋はカーテンを閉め、もちろん電気は点けていなかったはず、明かりといえば、つけっぱなしのパソコンだけだが、あいにくその程度では、眠りを妨げることさえできない
ではなぜ?・・・その疑問は、早々に答えがでた
なぜなら、寝ていた場所は、自室のベッドではなく、固い、石でできた道の上だったから
「・・・は?」
困惑した
疑問だらけではあったが、落ち着いて整理をする
「ええ・・・?まずここは、どこだ。見た感じは外国のどこかだよなぁ、家がレンガだし」
キョロキョロと辺りを見渡す、どうやら、寝ていたのは大通りではなく店と店の間のスペースだった
「そしてなぜここに、俺が?運び込まれたのか?誰に?なんのため?」
疑問はどんどんでてくる
確かに3徹してたから運んだとしても起きないだろうが、そんなことをするメリットがない
「通ってる人の顔は・・・・。統一性がないな、顔立ちがバラバラだ。だが全員耳がながいな」
ふとここで気がつく
「あれ?この道、場所、知ってるような・・・」
初めて来たはずなのだが、なぜか知っている気がする、そう、この町の店の配置や、衣装、さらに天まで伸びる塔まで・・・・
「うん?塔?塔があるということは・・・あの塔は、俺がゲームでやってた・・・」
何かを思い出したかのように、再度キョロキョロする
「間違いない、ここは、俺が昨日までやってたゲームの、中の世界だ・・・!」
だから見たことがあるのか、と自分の中で納得するふと考える、これは夢ではないか?寝る前までゲームしていたのだから、夢にでてきてもおかしくはない、というか現実だったら怖い
試しにギューッと頬をつねってみる
「おお、痛い。感覚もある。夢じゃないならなぜ?ドッキリ?こんな大掛かりな?俺だけのために?・・・だめだ、わからん」
いくら考えても答えはでなかった
「俺が一番進んでたからかな・・・。まぁいい!どうせ来たんだ!やるだけやってやろう!」
自分の考えを振りきって、大通りの方へ駆け出す
「うわ、まんまゲームの中だなこりゃ・・・。あ、そういや持ち物は何が・・・。」
そういって、ガサゴソとポケット等をあさくる
「えっと、財布はある。ケータイは・・・げっ!机の上置きっぱだったか。いや、確か予備のが・・・あった。けどWi-fiないとなぁ、やっぱ繋がんないか」
ガクッと肩を落とす、最近のはインターネットに繋がらないとほとんど何もできないため、特に意味は無い
そしてトボトボと歩いて行く
「うお、人の視線が痛い。というか多すぎだろ、東京の新宿じゃあるまいし」
格好が珍しいのかじろじろ見てくる
「冒険者とかやっぱいるんだな・・・。そうか、まずは装備を揃えないとな」
と言って、財布の中を見る。入っているのは一万円が二枚と、千円札が七枚、あとは小銭が少しあるだけ
「・・・二万七千円で鎧とか買えるのかな。無理だよなぁ、でも一応行くか」
少し期待を込めて歩きだす、目指すは鍛冶屋
「話し掛けるのか・・・。いや!大丈夫だ!元はNPCだから、うん、行ける気がしてきた!」
と言ってゴツい男が座る場所へ来た
ゴクリ、と生唾を飲んでいざ話そうとする
「ぁ、あのぅ。」
(ヤバイ!声が裏返った)
「あん?おお、どうした少年。珍しい格好して」
ひとまずは大丈夫だったようだ
「え、えっと。武器や防具が欲しいんですけど・・・こういうお金って、使えますか?」
そう言って一万円札を取り出して見せる
「これが、お金ぇ!?」
(ぐあぁ!しまった!やっぱ使えないか・・・!)
そう後悔すると、予想外の言葉がとんできた
「おいおい、勘弁してくれよ。うちは鑑定屋じゃないんだ。こんな大層な物持ってこられても迷惑だよ」
「・・・え?」
これが、大層な物?
「あとお金ってぇのはこういう金色の石の事を言うんだ。にしてもこれどこで手に入れたんだ?見たことねぇが・・・」
そうだ、この世界はまだそういう技術がないんだった
だからこれが何かの美術品に見えても不思議ではない
「あ、ありがと、おっちゃん!」
そういって鑑定屋の所へ駆け出す
「おう!あまりそういうのみせびらかすんじゃないぞ!」
もしかしたら、案外簡単なのかもしれない
そう淡い希望を持って・・・