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とある老婦人の話② R15

花子さんもお料理は得意じゃないし、手伝えることもないってことで言う通りにしててね。

花子さん、その徹底ぶりに首をかしげることもあったんだけど、あまり気に留めなかったらしいわ。

家にいる日でも自室に飲み物とかがあって、切らしたこともなかったらしいから。




あ、このコーヒー美味しいわねぇ、友達に聞いて来たみたけど、いいお店ね。

沢田さんは? そう、よかった、気に入ってもらえて。




話が前後してごめんなさいね。

昨日のこともあったから、花子さんお嫁さんに台所に行く前に声をかけようとしたんだけど、返事がなくてね。

飲み物程度で呼びつけるのも気が引けるし、我慢できなくて花子さん台所に行ったの。




台所はお嫁さんが言う程散らかってなかったらしくて。

でも、知られると嫌がるだろうから、水を飲んですぐに戻ろうとするとね。




カラフルな袋の塊がゴミ袋のビニールごしに見えたの。

不思議になって、行儀が悪いのを承知で探ったら何が入ってたと思う?

その家はペットなんて飼ってやしないのに、ドッグフードの袋が出てきたそうよ。




近所の誰かのために買ったとしても、わざわざうちに袋は捨てないだろうし、それが何枚も何枚も驚くほど出てくるわけだから、花子さんもさすがにおかしいと感じたらしくて。




するとふいに、風邪のときの食事を思いだしたんだって。

やけに色がついてて、ふわふわしたお団子だったらしいんだけど、まるで固形物を溶かして固めたような。

色もドッグフードに似ていて、茶褐色だったみたい。

そのときも変だなって感じたそうよ。




でも、お嫁さんは元気になるためって、私の実家は病気になったら

これを食べるんですって言ってね、あなたが言うなら確かねって、花子さんも仕方なく食べて。

それにしては、他の家族が病気のときに食べてるところは見たことがなかったらしくて。




花子さん、背筋が一気に冷たくなって、腰が抜けたんだって。

嫁は自分にこれを盛って、にこにこしながら食卓に出して私を嘲笑ってたのかと想像すると、もう怖くて怖くて仕方なくて、吐き気が込み上げてきたそうよ。

そりゃあ、そうよね。




呆然としてると、台所には入らないでくださいと頼んでましたよねって声がして、後ろに嫁が立ってたの。




まさか台所から私を遠ざけていたのも、病気のときだけじゃなく、普段から私の食事にこれを入れていたからなのって、花子さんが震えながらやっとの思いで口にするとね。

その嫁、これからはもっと美味しくつくりますからねってわらったらしいわ。

楽しみにしてくださいねって。




よくもそんなことができるわよねぇ、狂ってるわよ。

花子さんそれ以来鬱病になっちゃったらしくて。

それで、その嫁がまた甲斐甲斐しくないお世話するのよ。

花子さん発狂しそうになって、一時は入院するくらいまで悪くなったらしくてねぇ。




でもね、もう大丈夫みたいよ。

今は施設で楽しく暮らしてるみたい。

知り合いに話したのも入居して半年くらいだから、笑い話することができたみたいね。

本当、よかったわぁ。





ただねぇ、息子夫婦一家が犬とかのペットに異常な反応をするようになったらしくてね。

ペットショップの前なんか、絶対通らないらしいの。

特に嫁がひどくて、以前にドッグフードって言葉を聞いたときなんか、その場で奇声をあげて倒れたそうよ。

不思議よねぇ。

何かしたのかしら、花子さん。




あら、見て。

雲行きが怪しくなってきたわ。




満樹です、閲覧ありがとうございます。

「とある老婦人の話」はこれでおしまいです。


地の文なしのひたすら会話スタイルはいかがでしょうか?

この作品ではこのスタイルでいこうと考えてます、読みにくかったらすみません汗


お洒落なカフェ、喫茶店でお茶っていいですよね。

作者は和テイストのカフェが好きです。


感想、コメントお待ちしてます。

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