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第43話 名医になります

「お母さん、クリスマスに欲しいものがあるんだけど、いいかな?」


今日はお父さんは残業で遅くなるようなのでお母さんにお願いしてみる。


「なぁ~に?奈央が何か欲しいって滅多にないから、余程のものじゃなきゃいいって言えるわよ」


なら、大丈夫かな?


「携帯電話が欲しいんだけど、駄目?」


様子を伺うようにお母さんの顔を見ると笑っていた。


「ふふ。いいに決まってるでしょ。お母さん、前から言ってたでしょ、自分の携帯持っていいのよって。

…ちょっと聞いていい?

どうして今更持つ気になったの?雅くんに持って欲しいって言われた?頑固な奈央の気が変わるなんて、正直思ってもみなかったわ」


私、そんなに頑固かな。物欲少なめだとは思うけど。


「雅さん全然そんな事言わないよ。本当はそう思っているだろうけど、付き合ってから1度も言われた事ないよ。多分」


お母さんが意外だと驚いている。


「雅くんて束縛しまくりかと思ったらそうでもないのねぇ。随分と奈央の事を尊重しているのね。

それはそれで奈央が我が儘になりそうで心配だわ」

「むぅー。お母さん何それ。私そんなに我が儘?」


気が強い方だと思うけど、言われる程我が儘だと思わない。


「明日ショップに行きましょう。取り寄せになるとクリスマスに間に合わないかもしれないしね。

雅くん、すごく喜んでいたでしょ」

「内緒なの。お父さんには内緒にしないけど、千里には言わないでおいて。雅さんにはクリスマスまで内緒にしておきたいから。玲奈も知らないんだ」


お母さんがニヤリと笑った。


「ふぅ~ん。面白いからお父さんにも内緒にしよう。お母さんが許す」


フッフッフッフッ…と笑うお母さんがコワイ。

ケンカでもしたのかな。お母さん大丈夫?ときくと、


「気にしないでいいのよ、奈央。久しぶりに性格の悪さをみたから奈落の底へ突き落としてやろうかとね。

今年はクリスマスケーキ、二人で作るわよ。明日は材料の一部を買いに行くという口実で二人で出掛けるからね」

「はい」


嘘だとは思っていなかったけど、本当に携帯持っていて欲しかったんだね。普通に考えれば、仕事でも使うのに娘と一緒に使ってるんじゃ迷惑だったよね。数回とはいえ、夜遅くに借りた事もあったし。やっぱり我が儘だったかな。





夕方、お母さんと携帯ショップへ行った。欲しい機種は決まっていたのでお母さんに言うと


「一緒に選ぶ楽しみ無かったわね。残念」


と肩をすくめられてしまったが、


「お母さん、次に自分が使うのどれにしようか、よく話を聞きたかっただけでしょ」


と言うと


「あら、バレてた?お母さんも次はスマホにしようと思ってたのに、奈央ってばガラケー選ぶんだものね。チェックし損ねたわ。でも、早く帰れそうだし、千里にも変に勘ぐられなくて済みそうね」


ところでと切り出す。


「千里は何を欲しいって言ったの?」


お母さんは首と手を振る。


「本っ当に困ってんのよ。第一希望スマホ。二番目パソコン、三番目が部屋にテレビ」

「何でそんなことになってるの?」

「悪い友達でもできたのかしら?どれも却下だけどね」


そのうち千里の部屋にコッソリ入ってみよう。何か分かるかも。…やっぱり余計なことはしないでおこう。うん。

4日後またショップを訪れる事になった。


夕ご飯の時に千里に話してみる。とっかかりは何がいいかな。

ただの興味本位であってクリスマスは関係ない。


「千里は最近、何かハマってるものとかあるの?」


千里に耳と尻尾があったらピンとたててパタパタと振っているのであろう表情で話し始めた。


「姉ちゃん、オレいつか異世界行くよっ。異世界でスマホ使うとすげぇんだよ。ゲームの世界に行ける事もあるんだぜっ」


…熱く語る弟は中二病を患ったようです。


「千里、どれ読んだか知らないけど、行く条件に最も多いのが事故か何かで死んでしまうっていうのなのよ。千里が居なくなったら悲しいし、夕菜ちゃん置いてきぼりよ」


千里が今気付いたと言わんばかりに目を見開き固まった。

お母さん、頬がヒクついてます。箸を持つ手が止まってますよ。

私は見ないふりをして食べ続ける。


「千里、チートは必ずもらえるわけじゃないからね」


千里の手から箸が落ちた。拾って洗って千里の前に置いておく。

味噌汁を一口飲む。


「巻き込み、巻き込まれ転移って後の人間関係や扱いが悲惨だと思うよ。召喚だった場合、完全に誘拐だし、相手の言いなりにならなきゃそこで直ぐに殺されるかもしれないのよ」


あと何があったかなと考える。


「魔法のない世界にいくかもしれないし、日本より進んでいて知識は時代遅れかもしれない。ゲーム世界にいってしまうパターンだと本体はこちらで重体とか植物状態ってこともあるのよ。私達、悲しみにくれるんだよ。千里の体だって色々大変だけど、少しは想像してみた?」


千里が動き出す。


「母さん、オレ、クリスマスプレゼント、やっぱ前に言ってたゲームソフトが欲しい」

「わかったわ。お金渡すから売り切れないうちに買ってらっしゃい。お釣とレシート忘れないのよ」

「うん」


中二病は完治した。軽症でよかった。

…行けると思っていたという事は重症だったのかも。

本棚の本の配置かえよう。夕菜ちゃんも感染しているかもしれない。玲奈にも言って病原菌は隠してもらおう。

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