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閑話 高杉スミレは見た

中学時代、何度も告白したが翼くんとは両想いになれなかった。それでも中学の3年間翼くんを想い続けた。忘れることができなかった。

本当は同じ高校に行きたかったけど、翼くんはあたしより勉強が苦手だから違う高校を選んでしまった。

仲が良かった中村サクラは翼くんと同じ高校、金井アヤメは女子高へ行ってしまった。

高校進学を機に、頑張って伸ばした髪に縮毛矯正をかけてサラサラにした。付け睫毛で睫毛が抜けて悩む友達を見ていたので、あたしは睫毛を大事にしていた。本当は睫毛のエクステをしたかったが親に反対されたので睫毛パーマにした。目がパッチリに見える。

鏡の中の自分を見る。やっぱりカワイイ。

高校では彼氏も作って、少女マンガみたいなキラキラした毎日を送ってみせるわ。



新しいクラスで親友ができた。隣りの学区から来た子でマリエとリツコという。服の趣味が一緒だったり、オシャレに興味があったりと気が合って楽しい。

彼女達が言うには、同じ中学出身の男の子がすごくカッコいいそうだ。隣りのクラスらしい。

マリエとリツコに教えてもらって見に行ったその男の子は本当にすごくカッコ良かった。


「あっちの子が内田健人くんで、隣りが藤沢和維くん。まだ彼女できたってきいてないから望みあるかも」

「ねぇ、後でまた来て話してみたいっ」

「スミレならカワイイからきっと大丈夫だよ」

「ふふっ、そうかなぁ」


謙遜はしてみたけど、きっと好きになってもらえる自信があった。

昼休みを待ち、隣りのクラスへ行った。マリエとリツコもついてきてくれた。


「内田くーん、藤沢くーん」


二人が手を振って彼らの元へ行く。周りに何人も女の子が居たが、彼らはウンザリしている様子だったので、女の子を掻き分けて前へ出た。


「うわぁ、モテモテだね。友達連れてきたんだー」


あたしは笑顔で話しかけた。


「隣りのクラスの高杉スミレです。

内田くん、藤沢くん、二人共背高いですね。何部でしたか?あ、もう部活決めました?

あたしは第一中出身なんです。バレー部だったんだけど、高校ではどうしようか迷ってるんです」

「あ、俺達も中学バレー「あっ、そうなんですか?一緒ですね。高校でもやっぱりバレー続けますか?」

「うん、その予て「あーそうなんですかぁ。あたしもまたバレーにしようかなぁ。マリエとリツコはどうする?」

「あたしはマネージャーしてみたい」

「うん、あたしもー」

「そうなんだぁー。あたしもそうしようかなぁ。内田くん、藤沢くん、あたし達マネージャーってどうですかぁ?」

「したいならすればいい「そうですよね。自分達で決めることですよね。こんな事きいてごめんなさぁい」


バレー部共通で話題もバッチリ。悪いと思ったら直ぐ謝る素直さで好感度良好のはずだわ。


別の日。


「内田くーん、藤沢くーん、次の休み一緒に出掛けませんか?駅に10時に待ち合わせでどうですか?ウィライローのケーキが美味しいって聞いたんで一緒に食べに行きましょう!」

「その日予定があ「そうなんですかぁ。内田くんも予定あります?」

「うん、オレもその日はちょっ「ええ~!残念ですぅ。仮入部、やっぱりバレー部ですよね。あたしも第一希望はバレー部のマネージャーですけど、他の部も一応見ようかなぁ」


別の日。


「内田くん、藤沢くん。仲良くなってきたので名前で呼んでいいですか?」

「イヤ、やめ「え~、彼女にしか名前呼び許さない派ですか?あたしのことはスミレって呼んでいいですよ」

「イヤ、やめてお「がーん。そうですよね。中学一緒のマリエとリツコも名字呼びですもんね」


別の日。


あれ?内田くんも藤沢くんもいない。


最近全然会えないなぁ。

部活の時に会えるからいっかぁ。





あたしは内田くんと藤沢くんに避けられている事に気付いた。


「どうしてなんだろう」


がっくりしているあたしが見たのは、井上さんと片桐さんと仲良くしている内田くんと藤沢くんだった。

遠くから見ると気付く。


「そういえば、あたしといる時って二人共あんまり喋ってなかったなぁ。そっか。あたしばっかり話してたんだ」


気落ちしたあたしはその日バレー部をさぼって、他の部活を見に行った。

そこでは最後の大会に向けて頑張っているレギュラー対控え選手のバスケの練習試合が行われていた。

その中の一人に目がくぎ付けになった。同じ様に見学していた隣りにいる子にその人のことをきく。


「3年の藤沢翔惟先輩だよ。超カッコいいよね。そういえば今年1年に弟くんが入ってきたんだけど、その子もカッコいいよね」


聞けば藤沢くんが先輩の弟だそうだ。

あたしは先輩に一目ぼれをした。

翼くんを好きだった時とも内田くんと藤沢くんをみた時とも違う。


「これが本当の恋だわ」


翌日早速告白をした。玉砕だった。あんな素敵な人に彼女が居ないわけがなかった。


「想い続けるのは自由ですよね。陰ながら想っています。先輩の幸せを祈ってます」




今日の部活は午後からである。夏休み前に借りた本を返しておきたかったあたしは早めに出掛けた。思ったより図書室が混んでいて落ち着かなかったので、暑いけど教室にでも行こうと廊下を歩いていた。誰もいない廊下は広く静かに感じた。

ぼーっと歩いていると声が聞こえた。


「―――……気づいてよかったね」

「……奈央ちゃんが妊娠……超あせった」

「―………ニイに引導渡す………」


全部聞こえたわけじゃないけど、今の話何?

『奈央ちゃんが妊娠』って聞こえた。

そっと覗いてみる。

中にいたのは内田くんと藤沢くんと片桐さんと井上さんだ。それを確認すると急いでその場を離れた。


「井上さんが妊娠。相手は誰?焦っていたのは内田くん。でも、藤沢くんが誰かに引導渡すって。

何とかニイに。『ニイ』って誰?」


あたしは直ぐにマリエとリツコに電話をした。話したくて堪らない。二人にも早く来てもらった。


「何とかニイってお兄さんのことかも。あとは聴き違いとか?」

「藤沢くんて先輩のこと『翔兄』って呼んでるよね?」


藤沢先輩、彼女と別れたんですか?

井上さんが寝取ったというの?

先輩の幸せを願っていたあたしは、これが本当か色々な人に尋ねてまわった。

噂であって欲しい。そう信じて。



新学期になると噂が広がっていた。


「やっぱり本当なの?」


井上さんを観察する。お腹は全然目立たない。走るのを嫌がっている。

藤沢先輩と付き合っているのも本当らしい。

先輩を待たせている。昨日ぶりとか言ってた。

親しそうなその姿が憎らしい。


そう思ったら、井上さんを突き飛ばしていた。

高杉も悪意があって広めたわけじゃないんですけど、尋ねてまわりすぎて拡散してしまいました。

恋する乙女の暴走でした。…ちゃんと以前の奈央の言葉は高杉に届いたので、彼女と別れろとは言いませんでしたよ。


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