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第25話 三文の徳はどこでしょう

翌朝、いつもの時間朝5時半頃に目が覚めてしまった私は、着替えて顔を洗うと、ヨガマットを持って静かに下の階に降りた。まだ涼しい時間なので、エアコンをつけずに窓を開ける。深呼吸して、んーっと伸びるとマットを敷いてヨガを始めた。

ゆっくり呼吸する。気の流れを感じながらポーズをとっていく。すっかり自分の世界に入り込み、家でするのと同じ様に人に見られると恥ずかしいポーズもしていた。きっと皆疲れて遅い起床だろう。そう思って。

上半身をゆっくり後ろにひねる。

玲奈と健人くんと和維くんと雅さんが立っていた。ニヤニヤする三人とニコニコする一人。玲奈の手にはデジカメがある。何で朝から持っている。


「ぐっどもーに~ん♪」


ヒラヒラと手を振りながら玲奈が来た。


「もーに~ん♪奈央さん」

「おはよう、奈央ちゃん」

「フッ、おはよう奈央さん」


私はポーズを解いて、ちょっと勇気を出してきく。


「皆さんおはようございます。ところで、いつからそこに?」

「うーん、15分位前?」


玲奈が答えた。あー、見られたなとがっくりする。


「声かけようと思ったら、片桐さんに邪魔しちゃ悪いって止められてね」

「そうそう。奈央さん一生懸命してたからさぁ」

「俺達、小声だけど話していたのに全然気がつかないし」

「そしたら、何だか素敵なポーズが始まったから、つい、カメラを構えちゃったのよね。上手く撮れているわよ」


健人くんと和維くんと私の黒歴史は玲奈に握られ、玲奈の黒歴史は私(母のデジカメ)が握る事になった。そんな私達に関係なく、


「オレにも教えてよ。一緒にしたいな」


なんて言ってきた雅さんに「あーはいはい」なんて、おざなりに返事をしたせいで、このあとすぐ、またヨガをする事になってしまった。

筋力が足りなくて私にはまだできないポーズも、教えたら難なくやってしまった雅さんに嫉妬したのはしょうがないはずだ。




朝食を食べながら、今更だけどきいてみた。


「ねぇ、どうして私のことはいつまでも『さん付け』で呼ぶの?

玲奈のことは呼び捨てだよね。玲奈もいつの間にか呼び捨てで呼んでるし」


玲奈が頬をポリポリとかきながら言った。


「コイツらが、あたしの事を変態扱いして、もう、あたしには『さん』は付けないって言ってきたのよ。その時に、あたしも呼び捨てにしてやるってね」


ふぅーんと彼らを見る。


「今まで通りでいいじゃんっ、な、和維?」

「俺もそれでいいと思う」


よそよそしさを感じてシュンとしてしまう。じゃあせめてと


「『さん』じゃなくて、『ちゃん』で呼んで欲しいな。お願い。ダメ?」


何故か彼らは雅さんをチラチラ見る。


「奈央ちゃんがそう言ってるんだから、ちゃん付けで呼んであげたら?」


雅さんは私を見てニッコリと笑う。


「そのかわり、オレが『奈央』って呼んであげるよ」


言葉と共にキラキラウィンクを飛ばしてきた。

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