井上千里1
今日は家族と姉ちゃんの友達と彼女の夕菜と一緒に、姉ちゃんの友達の藤沢さんという人の家に来ている。姉ちゃんの友達が『霊獣通行券』のDVD‐BOXの特典映像を見せてくれるというからだ。オレにとっては初めましての人が多いので、話相手は専ら夕菜だ。
途中で、姉ちゃんと一緒に海斗兄ちゃんと同じ位の人が現れた。藤沢さんちの雅さんという人だという。どういうワケか、姉ちゃんに付いてまわっている。
「ねぇねぇ、千里くん。奈央ちゃんとお付き合いしてるのかなぁ?」
「違うと思う」
そう答える。付き合っているヤツがいるなら、姉ちゃんならきっと家族に紹介するはずだ。
父さん達を見ると、二人共ギロリとコワイ目付きで静観している。
うん、やっぱり違うようだ。ヤツは彼氏じゃない。
この場の空気を全く意に介さないで、姉ちゃんは呑気にクッキーとケーキを勧めている。
何だか口の中が渇き、ぬるくなったコーヒーを口に含んだ。クッキーを食べる。また口の中が渇いてしまった。 一息ついて、チラッと姉ちゃんを見ると、まさかの『あーん』をしていた。
オレの目がおかしいのか、あの辺りだけピンク色に見える。見てるこっちが恥ずかしくなって夕菜を見ると、顔を赤くしている。小さく「いいなぁ」と言う声がした。それがとてもかわいくて、「二人の時にしてやるよ」と夕菜にだけ聞こえるように答えた。
そう言ったオレの顔もきっと真っ赤になっているんだろう。
気恥ずかしくなって視線をずらすと―――………
くわっとの目を見開き驚いている顔から引きつった顔に変わる父さんと背後に鬼の幻影を出し、キッと怒気を含んで睨み付ける母さん、羨ましそうな顔で姉ちゃん達を見る藤沢父さん、笑う口元を隠しきれていない藤沢母さんが見えた。
心の中で「カオスだ」とつぶやいた。勇者よ来いと願う。
姉ちゃんと目が合う。
きっと姉ちゃんも同じような事を思っているんだろう。
だが、断言する。カオスをもたらしたのは姉ちゃんだ。だから姉ちゃんが勇者になれ!!!




